■J2最速の監督交代へ踏み切った愛媛 5月25日に解任された岩瀬健監督指揮下の大宮アルディージャは、極端に得点が少ない…
■J2最速の監督交代へ踏み切った愛媛
5月25日に解任された岩瀬健監督指揮下の大宮アルディージャは、極端に得点が少ないわけでなく、極端に失点が多いチームでもなかった。監督交代へ踏み切るタイミングは読み切れなかったが、他チームとの比較では遅きに失した感が否めない。
今シーズン最初の監督交代は、愛媛FCだった。6節終了後に和泉茂徳監督が辞意を表明し、實好礼忠コーチが昇格した。
昨シーズンは京都を指揮した新監督は、初采配となった岡山戦を2対2で引分けると、アウェイの大宮戦で勝利をつかみ、翌節の松本山雅FC戦も勝利した。
その後は新潟、京都、磐田、琉球と上位対決が続いた。この4試合は2分2敗に終わり、14節のモンテディオ山形戦も0対1で惜敗したが、實好監督のもとで攻撃の狙いは出ている。
ガンバ大阪から将来性豊かなFW唐山翔自を育成型期限付き移籍で獲得するなど、補強にも動いた。J3降格圏での戦いが続いているものの、早期の監督交代はプラスに作用したと言っていいだろう。
■山形は20位から8位まで上昇
2チーム目は山形だった。4月21日の9節終了後に、石丸清隆監督を解任した。石丸監督は7位でフィニッシュした20年シーズンを受けての続投だったが、この時点で1勝4分4敗の20位に沈み、得点はリーグ最少タイの「6」に止まっていた。新潟と琉球が走り、京都やジュビロ磐田が追走する上位陣の戦いとの比較から、このタイミングで決断を下したと言える。
これが奏功した。佐藤尽コーチが監督代行として指揮した4試合を2勝1分1敗で乗り切り、ピーター・クラモフスキー新監督にバトンタッチする。昨シーズンは清水エスパルスを率いたオーストラリア人指揮官は、就任初戦で愛媛を退け、ホームで無敗だった琉球に土をつけた。15節終了時点で5勝5分5敗の五分まで成績を戻し、8位まで順位を上げてきている。
佐藤コーチもクラモフスキー監督も、方向性を大きく変えたわけではない。自分たちでボールを保持するスタイルを維持しながら、最短距離でゴールへ向かう選択肢を持つようにした。シーズン途中の対処としては現実的だ。一人ひとりの役割が明確となり、それによって個々が能力を発揮しやすい環境が整っている。得点力に改善の兆しが見られ、守備が安定しているのは好材料だ。
■長崎は「失点減」の課題に取り組む
山形のあとに監督を交代し、山形よりも先に新監督が着任したのは長崎だ。5月2日の11節終了後に吉田孝行監督がアシスタントコーチへ立場を変え、佐藤一樹ヘッドコーチが1試合指揮したのちに、松田浩監督がチームの先頭に立った。
新監督の就任初戦で北九州を1対0で退けると、ジェフユナイテッド千葉と2対2で引分け、岡山を1対0で下している。山形と同じように6勝3分6敗と五分まで挽回し、開幕戦を除く最上位の7位まで順位をあげてきた。20節の磐田戦、21節の京都戦と、シーズン折り返しを前に上位との対戦も残している。自力で上位との勝点差を詰めることも可能だ。
チームトップの6得点をマークしているブラジル人FWエジガル・ジュニオを筆頭として、長崎は5人のブラジル人を擁している。彼らのクオリティこそがチームの強みだが、吉田監督のもとで戦った11試合は、クリーンシートが1試合もなかった。守備の再構築は最初に着手すべき課題で、北九州戦と岡山戦を無失点で終えているのは監督交代の効果だろう。
シーズン途中の監督交代はリスクを伴う。
代えないまま戦うことにもリスクはある。
どちらが正しかったのかは結果でのみ判断されるが、早いほうが修正は効きやすい。深い傷を負う前に体制を変えれば、チーム内にフレッシュな風が吹き込み、文字どおり気持ちを切り替えて立て直していくことができる。監督交代に伴うちょっとした序列の変更が刺激となり、チーム内競争が活発になる。愛媛も、山形も、長崎も、そうやって負の流れを断ち切ろうとしていった。
すでにシーズンの3分の1を終えた段階での監督交代で、大宮はどこまで巻き返すことができるのか。そして、J2リーグ全体にどのような影響を及ぼしていくのか──。