「今シーズンの選手権に向けて」Katsu One インタビュー2021年5月31日に一次予選からスタートする、日本ダンススポーツ連盟「ブレイキンブロック選手権2021」。昨年から本格的に日本選手権が始動し、2020年12月には2024年パリ…
「今シーズンの選手権に向けて」Katsu One インタビュー
2021年5月31日に一次予選からスタートする、日本ダンススポーツ連盟「ブレイキンブロック選手権2021」。昨年から本格的に日本選手権が始動し、2020年12月には2024年パリ五輪の新種目としてブレイキンが承認されたことにより、ダンススポーツとしてのブレイキンに更に社会の注目が集まっている。
今回の記事では、今シーズンの選手権開幕を前に、日本ダンススポーツ連盟(以下JDSF)ブレイクダンス部、部長のBBOY Katsu Oneへインタビューを行い、選手権に向けての想いやJDSFが与えるシーンへの影響などを聞いた。
プレイヤーとして活動するBGIRL・BBOYはもちろん、今ブレイキンに興味を持っている人にも必ずチェックしてもらいたい。
提供:日本ダンススポーツ連盟 ブレイクダンス本部
ブレイキンのライフスタイルスポーツ化「アメリカのバスケットボールシーンのような環境を目指したい」
ライフスタイルスポーツとはどのようなイメージでしょうか?地域に少年野球チームがあったり、公園でゲートボールをしている人がいたり、ブレイキンも究極はそこにいきたいです。
IOCの委員である渡邊守成さんは、アーバンスポーツは今のスポーツの黒船になっているとよく言っていて、僕はそれがいい考えだなーと思っています。
スポーツは勝たないと意味がないし、勝てないとやめてしまう。ただ、アーバンスポーツは、勝つことだけがメインじゃない、という考え方がある。
提供:日本ダンススポーツ連盟 ブレイクダンス本部
ライフスタイルとしての考え方もあるから、「勝ち負けだけじゃないでしょ」という部分がアーバンスポーツは根強いです。
ブレイキンのライフスタイルスポーツ化のイメージは、例えば日曜日の公園でおじいちゃんがブレイキンをやっているとか、HIPHOPで言うならラップをしているとか良いですよね(笑)。
最近、ダンスが認知症防止になるというデータも発表されているので、健康促進という意味でも、勝ち負けだけではないライフスタイルスポーツを目指していきたいです。
まず大事なのは、ブレイキンを愛している人が自分よがりにならないことだと思いますね。
世の中に普及していく過程で、社会とのバランスを保つために柔軟な感覚を持つことが必要です。一般の方が「は?」ってならないように、連盟や県連の中心になっている人たちが「ここは合わせないといけない、でもここは譲れないよ」という感じで、中和性をとって地域の方とどうやって盛り上げていけるか?が重要だと思います。
提供:日本ダンススポーツ連盟 ブレイクダンス本部
この考え方がファンデーション(下地)にあったとして、そこから影響力がある人達がどんな事ができるか?も重要だと思っていて、JDSFとしては県連の組織をつくる、そしてサポートする。また、ブロック選手権や日本選手権を運営すること。
そこでメディアに注目されて、情報が広がっていくサイクルやシステムをつくる役割があります。
提供:日本ダンススポーツ連盟 ブレイクダンス本部ロールモデルやベンチマークとして意識しているスポーツはありますか?
ユース五輪の話がきて「まず、どうやってやろうか」という時に、僕はバスケットボールに注目しました。
バスケって、特にアメリカでは公園でものすごい数のコートがあって、ライフスタイルとしてやっている人がる。プロリーグとしてNBAもある、オリンピックの競技としてもありますが、オリンピックだけが注目されているわけではないですよね。
オリンピックがなくてもバスケットボールはバスケとして成り立っているのが良いと思います。
時には、ストリートの選手とNBA選手が交流していることもあるし、NBAのハーフタイムショーにしてもストリート要素が入っていたり、ストリートへのリスペクトもあるのがカッコいいですよね。
ライフスタイルからプロリーグまでの幅と、カルチャーとスポーツのバランスが個人的には参考になります。
提供:日本ダンススポーツ連盟 ブレイクダンス本部
強化選手を目指し、国際大会で活躍するプロセスについて
具体的にはどのようなプロセスがありますか?JDSFはダンススポーツとしての文脈で活動しているので、まず連盟に会員登録が必要になります。そして、ブロック選手権や日本選手権で好成績を出すことで、強化選手に選出されます。
強化選手の中でも競争があって、国際大会への派遣選手が選ばれます。強化選手は基本的には2年間が期間で、毎年の全日本選手権の結果次第で選手が追加されることもあります。
提供:日本ダンススポーツ連盟 ブレイクダンス本部
もう一つ、オリンピックへのプロセスとして、多くの方が「国際大会で上位の選手がオリンピックにいくんでしょ?」と思っているのですが、オリンピックへ出場するためには、まずJDSFと強化選手が協力して『日本の出場枠』を獲得することが必要です。
オリンピックといっても例えば200カ国の選手が出れるわけではなくて、16人なんですよ。だからまずは16枠に入るために(出場枠を獲得するために)、頑張らないといけない。
選手はその後の選抜になるので、日本の出場枠を獲得するまでは、連盟もJOCも一緒になって選手をサポートしながらプッシュする団体戦の意識で戦うことが必要です。
※JDSFの強化施策については別途7月以降にインタビューを予定しています
世の中やメディアの注目が更に加速!
2020年は周りの反応がどのように変化しましたか?2018年のユース五輪、またパリ五輪への推薦が決まった時もかなり相当注目されているな!と思っていましたが、パリ五輪の新種目として承認された2020年12月17日は、これまでと比べ物にならないくらいの問い合わせが事前に想定されるほどで、記者会見も事前に企画しておきました。
結果『41』のメディアが川崎に集まって、会見が終わった後のインタビューも含めて、すごい盛り上がりを見せました!
提供:日本ダンススポーツ連盟 ブレイクダンス本部注目が集まる中で今後もっと伝えていきたいことは?
まず第一に、僕が「伝えたい!」と思っていることを頭でっかちに言っても伝わらないと思っていて、ブレイキンの人口を増やすためには、最初に「ブレイキンってこうなんだぜ!」と言ってもだめで、まずは「楽しい!」と思わせることが大事だと思っています。
例えダサくても、HIPHOPではなくても、最初は「楽しい!」と感じてもらい、そこから「もっとやりたい」と実際に始めてくれた人に対して、「実はブレイキンってこうなんだよ」って教えていくというストラテジーがあります。
提供:日本ダンススポーツ連盟 ブレイクダンス本部
ブレイキン人口が増えた時に言いたいこととしては、歴史の話やバックグラウンド。例えば、時代背景として昔に何人もの若い子どもたちが、ギャングの抗争で命を落としていて、そのパワーを音楽に変えようということがHIPHOP文化が生まれるきっかけになっていたりします。
そういった歴史もそうですし、自分の経験からも、ブレイキンって勝ち負けじゃなくて本当にピースなんですよってことも言いたい。
言葉が通じなくても一緒に踊るし、勝っても負けても抱き合うし、BBOY・BGIRLという共通点があるだけで海外でも仲良くしてくれたり、バトルの勝ち負けだけじゃないHIPHOPの素晴らしさをいつか伝えていきたいです。
そして最終的には、ブレイキンは貧困地域から始まった文化なので、貧困地域をサポートすることや、日本との交流を深めることで恩返しをしたいです。個人的な話ですけど、HIPHOPの恩返しをしたいですね。
提供:日本ダンススポーツ連盟 ブレイクダンス本部
BGIRL・BBOYとしてブロック選手権へ出場することの意義
ブロック選手権へエントリーすることのメリットは何でしょうか?オリンピックを目指す人でも、そうでない人でも利点はあります。
もちろん、オリンピックに出る目標がある人が出場する大会ではあるのですが、ブロック選手権にエントリーすると、予選では全国各地域で自分が何位にいるのか?ということが把握出来ます。
オリンピックという目標でなくても、例えば50歳、60歳の年齢まで「お前には負けないからな!」みたいなやりとりが始まるのはとても良いと思っていて、自分も昔「あの有名な先輩には勝てないけど、地域が近い隣にいるやつには絶対負けないからな!」みたいな闘争心はありました。
一年に一回、そういったチャレンジが出来る面白い大会だと思います。
提供:日本ダンススポーツ連盟 ブレイクダンス本部
加えて、エントリーして目標に向かっていくプロセスでも、成長出来ることがあると思います。
出場して何位だったとしても、「自分はここまでいきたい」という目標に向かって練習すること。目標達成のために、本気でどれくらいやれたのか?という経験が人生の糧になると思います。
その経験が出来るのがこのブロック選手権です。代表になるとか重いことを考えずに、自分との勝負をして欲しい!ブロック選手権は自分との戦いにチャレンジできるコンテンツになっています。
提供:日本ダンススポーツ連盟 ブレイクダンス本部このイベントが盛り上がることでシーンに与える影響は?
まずは「この大会、こんなにエントリーがあるんだ!じゃあ俺も出なきゃ」って思われる状態をつくりたいです。
ブレイキンの今までの流れって全部それなんですよね。
最初はあまり盛り上がらないんだけど、イベントが同窓会化したり「とりあえず出ておくか」という風潮になるととても影響力が増します。
そういう意味でも本来はリモートではなく、オフラインでリアルに実施するのが良かったなと思っています。
ブロック選手権にエントリーすることで、BBOY・BGIRL同士の交流が深まったり、イベントの雰囲気が良くなることが、これからのダンス業界を盛り上げることにも繋がります。
あとは、出来上がったものを世界にアピールしていきたいですよね!そういう現場が出来た時に、他の国から「日本の選手権って何であんなに盛り上がっているんだ?」って言われる環境をつくりたいです。
世界でもダンススポーツの文脈でリードしているし、リードしていき続けたいと思っています。
提供:日本ダンススポーツ連盟 ブレイクダンス本部ブレイキンが世の中に普及した時にどうありたいか?
今まで、40年以上HIPHOPが続いてきて、それをずっとやってきた人が日の目を浴びていなくて、今シーン全体が注目され始めたと思うんですよね。
もっとブレイキンが注目された時に、昔からやってきた人たちの存在を知ってもらいたいです。
あの先輩たちがいるから、今の僕たちがいて、オリンピックでメダル取れたんだよ、ということが伝わる環境をつくらないといけないし、そのような先輩たちが「おー頑張ってるな」ってブロック選手権に遊びに来るとか本当に理想ですね。
提供:日本ダンススポーツ連盟 ブレイクダンス本部
やっぱりHIPHOPツリーがしっかりしている地域って、BBOY・BGIRLのレベルも高いし、自分たちの歴史を大事にして愛がある。
HIPHOPツリーがしっかり保たれるように、文献なり、映像なり残しながら、後世に伝えていくことを僕はやりたいです。
大会概要
【大会名】:ブレイキン ブロック選手権
2021JDSF Breaking Block Battles Series 2021
【大会説明】:日本国内6つの地域(ブロック)で開催されるブロック競技会を通して、各ブロックのランキングを決定します。また、上位入賞者は第3回全日本ブレイキン選手権への出場権が与えられます。
【競技】:ブレイキン 1on1 バトル
【期間及び日時】:
■オンライン予選
インスタグラム動画投稿によるジャッジ審査
後日大会HPへアップされる課題曲を選択し動画投稿
動画投稿期間
・5月31日(月) ~ 6月6日(日) <ジュニア・ユース>
・6月7日(月) ~ 6月13日(日) <オープン>
・7月3日(土) 予選通過者発表(予定)
■ブロック選手権 本戦
・中部北陸ブロック選手権 – 9月12日(日)
・関西ブロック選手権 – 9月18日(土)
・関東甲信越ブロック選手権 – 9月19日(日)
・中国四国ブロック選手権 – 9月23日(木祝)
・九州沖縄ブロック選手権 – 10月2日(土)
・北海道東北ブロック選手権 – 10月17日(日)
※各日程は予定であり変更となる可能性があります。
■第3回全日本ブレイキン選手権 12月予定
【実施ブロック】:北海道東北/関東甲信越/中部北陸/関西/中国四国/九州沖縄【競技区分】:
・ジュニア部門 (小学1年生~6年生) BBOY
・ジュニア部門(小学1年生~6年生) BGIRL
・ユース部門(中学1年生~高校3年生) BBOY
・ユース部門(中学1年生~高校3年生) BGIRL
・オープン部門(高校生を除く18歳以上) BBOY
・オープン部門(高校生を除く18歳以上) BGIRL
【主催】:公益社団法人日本ダンススポーツ連盟 ブレイクダンス本部
【エントリー料】:※会員登録した選手のみ無料
【オフィシャルパートナー】:bayfm78 / Xperia / KOSE
【オフィシャルメディアパートナー】:FINE PLAY / PR TIMES
Interview / text by Shin Akiyama
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