もうすぐ、UEFAヨーロッパリーグ2020-21の決勝が、ポーランドのグダニスクで行われる。5月26日(日本時間は27…

もうすぐ、UEFAヨーロッパリーグ2020-21の決勝が、ポーランドのグダニスクで行われる。5月26日(日本時間は27日早朝)、会場はスタディオン・エネルガ・グダニスクだ。ポーランドの人といえば、ベガルタ仙台でスーパーセーブを連発しているGKのヤクブ・スウォビィクがすぐ思い浮かぶ。さて、放浪するジャーナリストはポーランドに親近感を抱いているようだが、その理由とは――。

■耳を疑った列車内のアナウンス

 僕は、初めは何か聞き間違えているのかと耳を疑いました。「列車の到着が5分遅れまして、大変に申し訳ありません」と言っているように聞こえるのです。

 日本でならごく当たり前の、聞き慣れたアナウンスです。

 しかし、日本以外の多くの国では列車の遅れなどはいつものこと。「5分の遅れ」で謝罪するなんて、ありえへんことでっしゃろ?

 イタリアなどでは列車の遅れに何度泣かされたことでしょう。フィレンツェ方面からミラノ方面に向かう列車がアペニン山脈の真ん中の小さな駅で止まってしまいました。ナポリやシチリアなど南イタリアからやって来る特急列車が2時間遅れ、3時間遅れになっているので、その通過を待つのです。取材の約束などがあると「いつまで止まっているんだ?」と気が気ではありません(とくに、携帯電話もなかった時代には……)。

 つまり、列車の遅れなどはあまりにも当たり前のことなので、誰も気にも留めないものなのです。いちいち嘆いたり、怒ったりしていたらストレスで寿命を縮めてしまうでしょう。

 それなのに、その英語でのアナウンスは確かに「5分遅れて申し訳ない」と言っているのでした。

 それは、ポーランド北部の人口約50万人の都市グダニスクの中央駅でのことでした。

■ポーランドを好きになった理由

 そういえば、来週の水曜日(5月26日)にはグダニスクでヨーロッパリーグ決勝がありますね。チャンピオンズリーグ決勝はマンチェスター・シティチェルシーの顔合わせとなりましたが、ヨーロッパリーグでもマンチェスター・ユナイテッドが決勝に進出。あわや両大会ともイングランド勢の独占になりそうでしたが、アーセナルは準決勝でビジャレアルに敗れてしまいました。

 ビジャレアルの監督は元アーセナルの指揮官でもあるウナイ・エメリ。かつて、セビージャを率いてヨーロッパリーグで3連覇しており、さらにアーセナル時代にも決勝進出を果たしているのですから、よっぽどこの大会がお好みなのでしょう。

 僕が初めてワールドカップを観戦に行ったのは1974年の西ドイツ大会でした。その時はシベリアを横断してモスクワ経由で行ったのですが、モスクワからまず列車でワルシャワに出て、そこから再び列車でベルリンに到着したのです。モスクワまでは団体旅行でしたから、僕にとっての海外一人旅初体験がワルシャワだったのです。

 当時のポーランドはまだ共産党(統一労働者党)の一党独裁政権下で貧しくて、暗いイメージでした。毎日雨が降って天気も悪かったですしね。

 でも、僕はポーランドという国が大好きになりました。ここ数年でも、2012年にはウクライナとの共同開催だったEURO(ヨーロッパ選手権)があり、また2019年にはUー20ワールドカップがあったので、ポーランドのあちこちを旅行しました。グダニスクではグループリーグでスペイン対イタリアの好カードなどが行われましたし、2019年の大会の時には日本代表のメキシコ戦もグダニスクの隣のグディニアでありました。

 グダニスクとその北隣のソポト、そしてさらに北のグディニアという、グダニスク湾に面した3つの港湾都市は別々の町なのですが、まるで一つの町のようにつながっています。そして、3都市の中で最大なのがグダニスクです。

 Uー20ワールドカップの時も、グディニアにはホテルが少なかったのでグダニスク郊外に泊まっていました。中央駅からバスで15分くらい行ったところの小高い丘の上にあるロッジでした。ロッジのオーナーの年配の女性が作る朝食も美味しかったです。

■通りの両側に並んだ寿司屋

 たしかにポーランドでは列車が時刻表通りに正確に発着しています。5分遅れることなんて滅多にないのです。だから、わざわざ謝るわけです。時間に正確な代わりに、列車は信じられないほど遅いのですが……。

 だいたい、東ヨーロッパでは列車の運行は正確のようです。ロシア・ワールドカップでもずいぶん長距離列車に乗りましたが、時間は正確でした。

 旅行者としては、たとえ速度が遅くても列車が定刻通りに動いてくれるのはとてもありがたいことです。列車が遅れたり、あるいは逆に定刻より早く発車してしまったりすると、後の予定が狂ってきて本当に大変です(第54回「さっすが、ドイツのアウトバーン」の巻)。

 とにかく、「5分遅れ」をいちいち謝るなんて、ポーランド人はまるで日本人みたいな人たちではありませんか!

 そういえば、ポーランド人はさまざまな場面で“日本人みたいな”行動をします。

■日本人とポーランド人は似てる?

 たとえば、横断歩道が赤信号の時のことです。自動車は来ない時には、みなさんどうしますか? 僕は、子供(または警官)が見ていたりしないときには、よく確かめてから渡ってしまいます。

 昔、フィリップ・トルシエが「日本人は赤信号だと横断しない」と日本人を批判しました。赤信号という指示に盲従するのが日本人。「自主的な判断ができない。だからダメなんだ。ヨーロッパではそうではない」と言いたかったのでしょう。

 しかし、ポーランド人は自動車が来なくても、信号が青になるまでみんな大人しく待っています。

 雨が降ってくると大急ぎで傘を広げるあたりも、日本人的です。

 日本人はちょっとでも雨が降ってくると、すぐに傘を差します。霧雨なんかでは傘を差しても差さなくても同じなのに、すぐに傘を取り出します。

 でも、ヨーロッパでは一般的に小雨では傘を差したりしません。雨の多い英国などでは、かなりの雨でも傘など差さずに平気な顔をして歩いています。ウールのコートやセーターなどは、もともと雨に濡れても平気なように出来ているんです。

 ところが、ポーランド人はちょっとでも雨が降り出すと、急いで傘を取り出します。

 やっぱり、彼らは日本人のような几帳面さを持っている国民のようです。

 寿司好きなのも、そのせいでしょうか? EUROの時、寿司屋街を見つけたのもびっくりでした。通りの両側に何軒も寿司屋が並んでいたのです。

 もっとも、論理と論理を戦わせる議論好きなところとか、豚の膝(もしくは足首)を好むあたりは(第58回「サッカー旅は肉食系」の巻参照)日本人とは真逆のようでもあります。そして、寿司屋のネタも日本のものとはだいぶ異なっているんですが……。

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