PGAツアー、AT&Tバイロン・ネルソン(5月13日~16日/テキサス州)に松山英樹が出場。マスターズ優勝以来となる試合で、「何もよくなかった」という松山は通算12アンダー、39位タイでフィニッシュした。 マスターズ優勝後、日本に帰国して…

 PGAツアー、AT&Tバイロン・ネルソン(5月13日~16日/テキサス州)に松山英樹が出場。マスターズ優勝以来となる試合で、「何もよくなかった」という松山は通算12アンダー、39位タイでフィニッシュした。

 マスターズ優勝後、日本に帰国していた松山は、2週間の隔離生活もあって、練習と呼べるものはまったくしていなかったという。

「(帰国中に)一度、練習場に行きましたけど、練習っていうほどの練習もしていないので。(アメリカに戻れば)すぐにメジャー大会もあるので、(クラブ)にちょっと触っておこうかな、と思って。やりたくはなかったんですけどね。

 実際に(クラブを)握ってみて、(いい状態が)継続できているか、まったくダメか、どっちかなと思ったけど、やっぱり1カ月っていう時間はヤバいですね......。結果、本当に今の状態はゼロ以下なんで、どうしたらいいのかな、と」

 それでも初日、5バーディー、1ボギーの「68」。首位と5打差の4アンダー、54位タイで発進した。

「(スタート前は)ショットはどこに飛んでいくんだろうって感じで、パターぐらいは安心して打てるかなと思っていたんですけど、逆でしたね。ショットは少しずつよくなっていったんですけど、ショートゲームが全然ダメでした。小さいアプローチ、バンカーショット、パッティングというところでミスが多かった。

 ただ、ギャラリーにね、マスターズを勝ったことを祝福されて、それはすごくうれしかった。毎ホールで声をかけられて、マスターズを勝つことって本当にすごいんだな、と改めて思いました」



ギャラリーの声援に応える松山英樹。photo by Kyodo News

 2日目、上位陣が大きくスコアを伸ばすなか、松山は5バーディー、3ボギーの「70」。グリーン上で苦しんで、2つスコアを伸ばすにとどまったが、通算6アンダー、53位タイという結果でギリギリ予選通過を果たした。

「後半に入ってショットがだいぶ安定してきたので、チャンスは多く作ることができたんですけど、パッティングを決めることができなかった。パッティングのフィーリングが以前とは違う? そうですね。グリーンのスピードもつかめていないし......。

 練習をし始めてから短期間で、よくこのスコアで回れたなというのもありますけど、(試合で)プレーしている以上は、ショートゲームのミスとか、パッティングのミスとか、だんだん許せなくなってくる。そこをしっかりとやっていければ、上位にはいけるかな、という感じはあるんですけど......」

 3日目も前半はなかなか波に乗り切れなかったが、後半に入って4つのバーディーを奪った松山。6バーディー、2ボギーの「68」で回って、通算10アンダー、44位タイと順位を上げた。

「14番までは全部ダメだったけど、15番からパットがよくなって、16番ではティーショットもよかった。(パットは)打ち方もそうですけど、いろいろと考えているなかで、15番のパットで少しハマった感じがあった。ここまで、時間がかかったな、と思います」

 最終日は強風が吹き、一時は激しい雨に見舞われる悪コンディションのなかでのラウンドとなった。おかげで思うようなプレーができず、松山の顔つきは終始険しかった。結局、4バーディー、2ボギーの「70」で終えた松山。ラウンド後も憮然とした表情で、言葉少なだった。

「4日間経って、何もいいところがない、というのが今の自分の状態というか、実力。よくなるかなと思って、いろいろと試してみるんですけど、逆に悪い方向にいったりして......。もうちょっと、練習しないといけないなと思う。まあ、4日間プレーできたっていうのが、一番の収穫じゃないですか。

 次週の全米プロ? 今の状態では優勝を狙うという感じではないですけど、少しでもいい状態で(試合に)挑めるようにしたい。コースについて? 知らないです」

 復帰初戦は不本意な結果に終わった。だが、およそ1カ月「何もやっていなかった」ということを考えれば、決勝ラウンドに進出しただけでも上々の結果と言える。本人も語っているように、今年のメジャー第2戦となる全米プロ選手権(5月20日~23日/サウスカロライナ州)に向けて、ここで4日間戦えたことは大きな収穫となったに違いない。

「マスターズを勝ったことによって、少しホッとした。気持ちにもちょっと余裕ができた感じがする。これからも、ツアーでも、メジャーでも、もっと勝ちたいと思っていますけど、今までみたいに(自分を)追い込んで、追い込んで、というよりは、少し余裕をもってやれるんじゃないかと思います。そこは大事にしながら、今までどおりがんばっていきたい」

 今大会前、松山は自らの気持ちの部分での変化をそう語った。それが、大舞台の勝負において、強みとなることは間違いない。全米プロで躍動する松山への期待が、再び膨らむ。