■5月15日/J1第14節 清水エスパルスー名古屋グランパス(アイスタ) 今季の名古屋グランパスは、すでに2度つまずい…
■5月15日/J1第14節 清水エスパルスー名古屋グランパス(アイスタ)
今季の名古屋グランパスは、すでに2度つまずいている。しかも、ダメージの大きな転び方だった。
最初の転倒は、首位攻防戦となった川崎フロンターレとの連戦だ。日程の都合でまさかの連戦となり、初戦で0-4と大敗。5日後の試合も敗れたのだが、連敗で勝ち点差が開いたという事実よりも、腰が引けた初戦の戦いぶりの方がショッキングだっただろう。
次のつまずきは前節だ。川崎相手の連敗後にセレッソ大阪を相手に得意の「ウノ・ゼロ」で勝利を取り戻したのだが、続く試合で鹿島アントラーズに敗れた。シュートを打てぬままに終わったのだから、完敗だった。
今季も続く川崎の強さを考えると、本気で優勝を狙うなら、もはや後がないと言ってもいい状況だった。本当に強いチームであろうとするのならば、ここが正念場だった。
まさに踏ん張りどころで、名古屋が見せたのは、意地であり、覚悟だった。
■清水を窒息させるプレッシング
中2日で迎えた厳しい連戦だが、3列目以降は鹿島戦と同じメンバーが先発した。攻撃陣でも、もはや不可欠な存在となったマテウスの連続先発はもちろん、鹿島戦で前半のうちに投入された柿谷曜一朗も試合開始からピッチに立った。疲労はあるだろうが、言い訳などしないと宣言するかのような戦いぶりを披露した。
まるで、清水を窒息させようとするかのようだった。プレッシングは体裁をなぞるだけのようなものではなく、本気で「狩り」にいっていた。30分のシーンが印象的だ。相手が入れた縦パスに、4人が四方から襲いかかる。清水がわずかな隙間から逃げた先でも、さらに最終ラインから中谷進之介が加わって囲い込み、ボールをむしり取った。
さらに清水を圧迫したのが、前へと進む意識である。相手がGKからつなごうとしたボールに、米本拓司が猛然と詰め寄ったのが17分だった。やはりプレスを連動させてボールを奪ったのだが、その後の切り替えの早さがチャンスにつながった。相手選手同士の狭い間を通して前にボールを送り、最後はガブリエル・シャビエルがミドルシュートでポストを叩いた。シュートも見事ではあったのだが、前へと進む意識、ゴールを狙う意欲が、清水に冷や汗をかかせた。
ややアバウトになろうとも、名古屋は早く前にボールを送ることを徹底していた。その結実が、FKから1点をリードして迎えた50分の場面だ。ハーフウェイライン付近で囲い込んだ相手からこぼれたボールを、右サイドバックの成瀬竣平が1タッチで前線へ送る。とめどなくつながったボールを最後は成瀬がクロスとしたものの弾き返されるのだが、見事だったのはその直後だ。間髪入れずに成瀬が入れたスローインを受けたマテウスは、すかさずゴール前に低く速いクロスを送る。ゴール前にいた仲間が触れることはなかったのだが、このボールが直接ゴールネットを揺らしてリードが広がった。
■「名古屋らしさを出せれば…」
狙った形ではないかもしれない。だが、大事なのは結果を出したことだ。
たとえきれいな崩しだろうとも、決まらなければ意味がない。流れをつかんでいようとも、押し切れなければどうしようもない。追加点の場面まで、勢いは完全に名古屋のものだった。そのモメンタムを逃さないことが必要だったのだ。
形ばかりのプレッシングでもなく、口先だけのゴールと勝利への意識でもない。大きなつまずきというレッスンからの学びを、この日の名古屋は体現していた。
敗戦の将となった清水のロティーナ監督は、「相手のチーム力の高さを見せられた。妥当な結果」と名古屋を称えた。ベンチに戻ってきたマッシモ・フィッカデンティ監督は、「名古屋らしさを出せれば、こういう戦いができるとずっと言ってきた」と落ち着いて語った。
川崎との直接対決は、もうない。だが、過去を嘆いても意味はない。美しい未来を信じて前へ進む者だけに、勝利の女神は微笑みかける。
■結果 清水エスパルス 0-3 名古屋グランパス
■得点
24分 柿谷曜一朗(名古屋)
50分 マテウス(名古屋)
89分 マテウス(名古屋)