【明治安田J1リーグ 第14節 ヴィッセル神戸vsセレッソ大阪 2021年5月15日 16:01キックオフ】 90+6分…
【明治安田J1リーグ 第14節 ヴィッセル神戸vsセレッソ大阪 2021年5月15日 16:01キックオフ】
90+6分、トーマス・フェルマーレンの同点ゴールが決まり、まるで優勝したかのようにスタジアムが沸いた。試合終了間際の同点劇は徳島戦、川崎戦、清水戦に加えこれで4度目。今年の神戸は気迫が違う。
アンドレス・イニエスタやトーマス・フェルマーレンらワールドクラスの選手たちは負けず嫌いの度合いもワールドクラスだ。セルジ・サンペールもそうであるし、ルーカス・ポドルスキやダビド・ビジャもそうだった。
シーズンを左右する大一番でも、優勝の可能性や降格の危険性もないシーズン終盤の消化試合のような時でも、彼らは勝てなければ心底悔しがる。
彼らは必死に勝利を目指しているが、チーム全体ではつい半年前、昨年終盤の湘南戦や浦和戦でもそうだった。多くの選手たちがいつものことのように淡々と去っていく中、彼らはサポーターの方をしっかりと見つめ、何度も拍手をして勝利の期待に応えられなかったことを詫び、誰よりも長く頭を下げた。
昨年までは、能力はもちろん、そういう部分でのあまりにも大きすぎる差が目立っていた。
しかし、今年は違う。選手たちは積極的に前に出て球際を強く戦い、勝利への気迫を見せ続けている。
■神戸は全力を尽くしている
リーグタイトルの行方は川崎の独走状態になってしまっているが、神戸にはACL出場、そしてアジアナンバーワンクラブになるという目標がある。
それ自体は2018年から掲げていることだが、昨年、実際にアジアの舞台で戦うという経験をしたことで、それが単なるスローガンや夢物語ではなく現実のものとしてチーム全体に認識されたのだろう。若い選手たちはその舞台が自身を大きく成長させてくれるものだということを知ることにもなった。再びあの舞台に戻るためにどんな試合でも最後まで全力を尽くす姿が今年の神戸にはある。
一致団結している今年のチームを象徴しているのがセンターバックコンビだ。確かな実力とキャプテンシーでチームを引き締めるワールドクラスの助っ人であるフェルマーレンと、成長著しく、気持ちを誰よりも全面に押し出す菊池流帆。
好守で前に出ていく積極的な姿勢、繋ぐことを目指すプレー、諦めない気持ち。助っ人と日本人が同じことを同じ姿勢で取り組み、同じ目標に向かって戦う彼らは今年の神戸全体の様子と重なる。
フェルマーレンは試合後「勝者のメンタリティーというのは諦めない姿勢からくる」「諦めない気持ちは良い形でチームに出てきている」と述べた。この試合の同点ゴールが生まれたのも、菊池が必死にヘディングでボールを繋いだことからだった。
一致団結を果たした神戸はここまで6勝6分2敗。簡単に負けないチームが4度勝ち取った1ポイントは、最後にACL出場に結びつくかもしれない。
■試合結果
ヴィッセル神戸 1―1 セレッソ大阪
■得点
75分 坂元達裕(セレッソ大阪)
90+6分 トーマス・フェルマーレン(ヴィッセル神戸)