男子種目別に出場「ミスがなかったところは、良かった」 体操のNHK杯最終日が16日、長野・ビッグハットにて開催され、男子…

男子種目別に出場「ミスがなかったところは、良かった」

 体操のNHK杯最終日が16日、長野・ビッグハットにて開催され、男子種目別の鉄棒に出場した内村航平(ジョイカル)はH難度のブレットシュナイダーを筆頭に離れ技をしっかりと成功させ、15.333点と高得点をマーク。4度目の五輪出場にまた一歩近付いた。演技後は「ミスがなかったところは、良かった」と冷静に振り返った。

 内村は過去3大会の五輪で団体、個人総合に出場し、個人総合を2連覇しているが、近年の負傷や年齢によるコンディション管理の問題から、東京五輪はスペシャリストが揃う種目別に絞って個人枠での出場を目指している。個人枠の代表は、最大2人。1人は、国内大会の成績で選考。もう1人は、ワールドカップ種目別で日本選手が五輪出場資格を得た場合、当該選手が選出される。

 国内選考は、4月の全日本選手権個人総合(予選、決勝)、今回のNHK杯、6月の全日本種目別選手権(予選、決勝)が選考対象。日本体操協会が主要大会を対象に作成している種目別の世界ランキング(6月の全日本種目別選手権終了時にランキングを完成)に対し、5試合で得た得点をあてはめて評価し、1位かつ0.2点差以上なら40ポイント、1位は30ポイント、2位は20ポイント……と定められたポイントを付与。5試合分で得た総ポイントの最上位者が日本代表に選出される。

 内村は、4月の全日本個人総合のトライアウトで15.166点、決勝で15.466点を記録。3回続けて15点超えの高得点をマークし、現状の世界ランキングにあてはめると、それぞれ40、30、40という高いポイントになるが「点数的には、今日も(現在の)世界ランクを超えているけど、そこを目指しているわけではない。自分の満足する演技をまだ追求していかないといけない。早く、自分の満足のいく演技を国内で出しておきたい」と体操界の頂点に君臨してきた王者らしい、飽くなき探求心を示した。

個人別出場狙う米倉は「航平さんに食らいついていけるように」

 内村と同じく種目別で出場を狙っている選手の中では、米倉英信(徳洲会体操クラブ)が跳馬で全日本個人総合の予選15.166点、決勝15.266点に続いて15.050点の高得点をマーク。現在の世界ランクでは40、40、30と内村と同等のポイントを獲得する計算になる。

 米倉は「まだ同点というか同率1位につけている。次の種目別で頑張るためのステップにはなったんじゃないかと思う。高得点を出し続けないといけない、厳しい世界。(最後の選考対象大会となる6月の種目別で)航平さんも絶対に40ポイントを取って来ると考えると、ミスは許されない戦い。航平さんに食らいついていけるように頑張りたい」と6月の最終決戦を見据えた。全日本個人総合で15.433点(予選)、15.200点(決勝)をマークしていた南一輝(仙台大)は、14日の会場練習で右足ふくらはぎに肉離れを負い、棄権した。

 なお、NHK杯の順位は、全日本選手権個人総合(予選、決勝)との総合得点で争われ、初優勝を飾った橋本大輝(順天堂大)と2位の萱和磨(セントラルスポーツ)が、最終的に4名選出される団体枠代表に内定した。残る2枠と、内村が狙う個人枠の代表1名が6月の全日本種目別選手権で決まる。(平野 貴也 / Takaya Hirano)