東京パラリンピックに向け様々な競技やアスリートの魅力に迫る、MEN’S NON-NOの連載「2021年TOKYOへの道」。今回は、小柄ながらもコート上で誰よりもアグレッシブな女子車いすバスケ界のムードメーカーが登場。彼女が大切にしている「芯…

東京パラリンピックに向け様々な競技やアスリートの魅力に迫る、MEN’S NON-NOの連載「2021年TOKYOへの道」。今回は、小柄ながらもコート上で誰よりもアグレッシブな女子車いすバスケ界のムードメーカーが登場。彼女が大切にしている「芯」とは?

高校時代に初めて選出されて以来、車いすバスケットボール日本代表の貴重なローポインター(障がいの度合いが重いクラス)として存在感を発揮し続けている財満いずみ。幼い頃から、バスケひと筋で育ってきた。

「姉の影響でミニバスを始めて、6年生で車いすになってからはプレーから離れ、中学ではバスケ部のマネージャーをしていました。その頃に漫画『リアル』を読んで車いすバスケの存在を知ったんです。そして地元で開催された全国大会で実際に試合を観たことで自分でもプレーしようと。いざやってみると当たりが強くて転倒も多く、想像以上にハードでしたが、やっぱり自分はバスケが好きなんだなと実感できました」

飛躍のきっかけは、高校3年時に直面した世界選手権での経験。

「日本代表は体格やパワーで劣る分、連携や機動力で相手にストレスを与えるスタイルで、とくにローポインターの私はより相手が嫌がるプレーに徹しなくてはいけませんし、声でチームを鼓舞する役割も重要。それらの点でまったく貢献できなかった悔しさが今でも糧になっています」

今夏の東京パラリンピックに向けては、心身ともに準備万端という。

「コロナ禍以降、自分のフィジカルともう一度きちんと向き合いながらトレーニングを積みました。そのかいあってしっかり強化できた自信はあるので、とにかく今は東京パラでメダルを取りたい気持ちが強いです」

障がいについての率直な思いも吐露しつつ、コートの上で自分を表現することが人生のモチベーションになっているとも語る。

「自分の障がいを100%受け入れられているかといえば、決してそうではありません。ただ障がいがなかったら車いすバスケやチームメートと出会ってなかったと考えると、この人生も悪くないかなって。実は私、試合の日もゴリゴリにお化粧をするほうなのですが(笑)、そこは譲れないポイントで、ネイル好きの柳本あまね選手とも『アスリートだからってサボるのは違うよね』ってよく話しています。そこも自分の強みですね」



©長田洋平/アフロスポーツ

【プロフィール】

財満いずみさん
ざいま・いずみ●1996年12月4日生まれ、山口県出身。生まれつき背骨が曲がる脊椎側弯症(せきついそくわんしょう)を患い、その手術が原因で小学6年生から車いす生活となる。女子バスケ部のマネージャーを経て、中学2年時に車いすバスケットボールを始め、2014年の世界選手権で日本代表に選出される。日本国土開発株式会社に所属し、女子チームのSCRATCH(東北)、男子チームの栃木レイカーズなどで練習を積んでいる。