東京五輪開催の是非をめぐり、何の罪もないアスリートが非難の対象となったり、SNSなどで中傷され、糾弾される被害が相次いでいる。 ・今すぐ読みたい→麻生太郎氏、先見の明ありすぎ・・・1年前の「呪われた五輪」発言を振り返る http…

 東京五輪開催の是非をめぐり、何の罪もないアスリートが非難の対象となったり、SNSなどで中傷され、糾弾される被害が相次いでいる。

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麻生太郎氏、先見の明ありすぎ・・・1年前の「呪われた五輪」発言を振り返る https://cocokara-next.com/topic/cursed-olympic/



 難病を抱える競泳の池江璃花子(20)の告白は痛々しかった。急性白血病の治療で一度は東京五輪をあきらめたものの、開催の延期によって奇跡的に内定をつかんだ。そんな彼女のSNSに、五輪辞退要請や五輪反対を求める声が寄せられたと明かし「私に反対の声を求めても、私は何も変えることができません」「オリンピックについて、良いメッセージもあれば、非常に心を痛めたメッセージもありました。この暗い世の中をいち早く変えたい、そんな気持ちは皆さんと同じように強く持っています。ですが、それを選手個人に当てるのはとても苦しいです」と池江は自身のツイッターにつづった。

 池江の悲痛な叫びは、海外でも大きな反響を呼んだ。中国メディア「新浪体育」は「ありえないサイバー暴力に直面した。白血病と闘う池江がどんな思いで過ごしてきたかをイメージできる人なら、このような攻撃は決して選手に向けられるべきではないと分かるはず」と批判。海外のSNSでも「日本人は頭がおかしいのか」「こんなに頑張る少女をどうして大事にしてあげられないのか」と怒りの声が殺到した。

 池江は難病克服を目指し、競技を再開したばかりの昨年7月、延期された東京五輪開催1年前セレモニーに出演し「1年後に五輪ができる世界になっていたら、どんなに素敵なことだろうと思います」と語った。その後、驚異的な回復力で代表切符をつかんだだけに、池江を五輪の象徴のように受け止める人も多かった。確かに影響力は大きいが、なんの決定権もない選手に向け、「五輪を辞退してほしい」「反対の声を上げてほしい」というような言葉を投げかけるというのは、どうなのか。

 五輪開幕まで3カ月を切った開催国が、盛り上がるどころか、厳しい逆風にさらされている。コロナ禍での開催反対を求める世論は日に日に強まるばかり。8日には国立競技場の周辺で、大規模な抗議デモ活動が行われた。苦しんでいるのは池江だけではない。五輪を目指している選手たちがSNSで心ない言葉を浴びせられる被害が続出し、匿名による「言葉の暴力」は深刻化。五輪に向けて練習すること自体が「悪」のようにとらえられ、肩身のせまい思いをしている選手も少なくない。

 世間の人々と同じように、感染や重症化のリスクにおびえながら、不安を感じて選手も日々過ごしている。五輪開催に反対する立場であっても、怒りの矛先を何の罪もない選手に向け、非難の対象にするのは筋違いだろう。

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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