5月8日のバルセロナとアトレティコ・マドリードによるラ・リーガの首位攻防戦をテレビ観戦した翌日、ヴィッセル神戸でプレーす…

5月8日のバルセロナアトレティコ・マドリードによるラ・リーガの首位攻防戦をテレビ観戦した翌日、ヴィッセル神戸でプレーするアンドレス・イニエスタを見に行った。かつてのヨーロッパ王者バルセロナとスペインが失った華麗なパス・サッカーの残り香が、そこにはあった。昨年12月のACLで右脚を負傷し、今月1日のJリーグ・広島戦で復帰を果たしたイニエスタ。自身の37歳の誕生日である5月11日の14時に「重要な記者会見を行う」と発表した。この世界的な名手のプレーを見ることができる時間は、そう長くはないのかもしれない。

■ラ・リーガの首位攻防戦にスペクタクルはなし

 イタリア・セリエAユベントスに続いて、ドイツ・ブンデスリーガではバイエルン・ミュンヘンが優勝を決めた。さらに、イングランド・プレミアリーグでもマンチェスター・シティの優勝決定が秒読み段階に入っている。だが、スペインのラ・リーガではアトレティコ・マドリード、レアル・マドリード、そしてFCバルセロナのビッグスリーがリーグ戦最終盤まで激しい優勝争いを演じ続けている。

 そんな中、5月8日の第35節ではバルセロナとアトレティコの直接対決があった。アトレティコが勝点76で首位。そして、バルセロナが同74で3位だったから、もしホームのバルセロナが勝てば暫定的に首位に躍り出るという状況だったので、大熱戦、スペクタクルを期待して観戦したのだが、両チームとも非常に慎重な試合展開に終始した。

「決勝戦のような」とよく形容される類の、エンターテインメント性よりも結果を重視する戦い方である。もちろん、実際にリーグ戦の決勝戦にも相当する試合なのだから、彼らがそういう選択をするのは当然のことなのかもしれない。

 両チームともにスリーバックを選択し、互いのアウトサイドからの攻撃を消し合った。また、どちらも「守 → 攻のトランジション」よりも「攻 → 守のトランジション」を優先した。チャンスでも多くの人数をゴール前にかけるわけでもない。

 さらに、アトレティコでは左サイドでドリブルでバルセロナの守備陣をかき回していたMFトマ・ルマールが負傷してわずか13分で交代を余儀なくされ、バルセロナの方も30分に中盤の要、セルヒオ・ブスケツが相手選手とのバッティングで負傷して交代してしまう。これも、両チームにとっては大きな誤算となったことだろう。

 チームのスタイルに違いがあるので当然のことながら、90分を通じてバルセロナがボールを握る時間が長かったものの、シュートチャンスはむしろアトレティコの方が多い……。そんな展開が延々と続いた。

 20分過ぎにはバルセロナのポゼッション率が上がったが、アトレティコのペナルティーエリア前でパスが回るだけで決定機を作るには至らず、そうこうするうちにブスケツが交代した影響で30分以降はアトレティコのリズムとなりルイス・スアレスがゴール前に飛び出すチャンスがいくつか生まれた。

 一方、バルセロナの方の前半唯一のビッグチャンスは41分にリオネル・メッシがハーフライン付近から4人のDFをかわして持ち込んで放ったシュート場面だったが、シュートはアトレティコのGKヤン・オブラクがCKに逃げた。

 後半になって、両チームとも動きが落ちて少しずつスペースが生まれて攻め合いになるかとも思われたが、攻撃側にも疲れがあったためパスの精度が落ちてしまい、結局セットプレーなどのチャンスはあったものの、絶対的な決定機は生まれないまま90分が経過して試合はスコアレスドローに終わった。

■保守的な姿勢はどうしたことか

 不可解なのはバルセロナの戦い方だ。

 首位に立っているアトレティコとしては、最終的には引き分けでも納得できる結果であろう。もちろん、レアル・マドリードとの争いもあるので、勝点3がほしかっただろうし、この日の試合はアトレティコの方がシュート数もチャンスの数も多かったので余計に勝ちたかっただろうが、アウェーでのバルセロナ戦でのドローはけっして悪い結果ではない(翌5月9日の試合でレアルもセビージャで引き分けたため、アトレティコは首位をキープすることに成功した)。

 だが、バルセロナは勝点2の差で3位というポジションにおり、この試合を含めて残り3試合で逆転を目指さなければいけなかったのだ。ホームでアトレティコを迎えた「シックスポインター」ともいえる直接対決では、絶対に勝利が求められる状況だったはずだ。

 もちろん、サッカーというゲームはどんなに強いチームが、どれほど論理的に攻撃をしかけても点にならないときにはゴールは生まれない。だが、バルセロナの攻撃はそれほど積極的ではなかった。勝利のためにリスクを冒して仕掛けたようには見えなかった。

 かつては、あれだけの攻撃力を持ち、攻撃サッカーで世界を魅了したクラブなのに、この保守的な姿勢はいったいどうしたものだろう。あの攻撃的なメンタリティーは、もう今のバルセロナにはないのか……。

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