国立競技場で熱戦、世界陸連会長が会見 陸上の東京五輪テスト大会「READY STEADY TOKYO」が9日、東京・国立競技場にて無観客で行われ、視察に訪れた世界陸連(WA)のセバスチャン・コー会長が会見した。新型コロナ禍で開催可否に揺れる…

国立競技場で熱戦、世界陸連会長が会見

 陸上の東京五輪テスト大会「READY STEADY TOKYO」が9日、東京・国立競技場にて無観客で行われ、視察に訪れた世界陸連(WA)のセバスチャン・コー会長が会見した。新型コロナ禍で開催可否に揺れる東京五輪。反対デモが行われている中、「皆様には安心してほしい」と願った。

 コー会長は5日に札幌で行われたマラソンのテストイベントも視察した。東京に移動し、この日はメディア対応。冒頭ではこう挨拶した。

「東京の組織委員会の皆さんとは数年にわたり、緊密に仕事をしてまいりました。私はロンドン大会にも関わってきましたが、東京大会の準備に関しても設備も整ってきた。それを見届けている最中です。新型コロナの困難に直面しましたが、アスリートたちも早くこの大会(東京五輪)に出たくてしょうがないと思っているでしょう」

 今大会、海外から渡航して出場する選手は9人。本大会では、さらに多くの選手、関係者が来日することになる。感染対策については「不安は理解しています。世界中でナーバスになっているので。我々もみな、家庭を持っています。世界陸連会長としてもそこは尊重しているつもりです。確かにシリアスな状況ではありますが、きちんと手順、ルールを設けて整理しています」とコメント。1年以上の時間をかけて感染症対策を講じてきたことを強調した。

 先週は世界リレー(ポーランド)も視察。31か国、300人の選手が出場したが「陽性者は一人も出ませんでした。不安はわかりますが、行動に関する厳しい規則があります」と話した。この日は五輪開催対する反対デモも行われている。これについては「我々は開催できるように打ち合わせをして、感染拡大を防ぐことを目指している。皆様には安心してほしい」と願った。

 厳しい状況下ではあるが、五輪・パラリンピック開催の意義について問われると、こう語った。

「五輪、パラリンピックは世界のプレミアイベント。4年に1回しかないし、私はロンドン大会組織委員会の会長を7年務めましたが、イーストロンドンの地区にいろんなレガシーがもたらされて街が明るくなりました。そういった意味でも光をもたらす、希望をもたらすイベントだと信じています。地理や文化、いろいろな壁を越えるイベントとなる。そういう意味でもこういう厳しい状況でも開催する意義があると思います」

選手へのワクチン無償提供、コー会長の私見とは

 国際オリンピック委員会(IOC)は五輪・パラリンピックに出場する選手団に米ファイザー社製のワクチンを無償提供すると発表。選手に接種を推奨しているが、義務にはしていない。賛否が上がっている中、意見を問われたコー会長は言葉を並べた。

「私はIOCの代理で申し上げることはできない。ただ、IOCとWHOの連携でこのような手配が実現したのはいいこと。ワクチンの接種状況は各国で異なるが、選手の中で医療従事者やお年寄りの前に受けることは、なんとなく気が引けるという声も聞こえますし、是非受けたいと言う声も聞きます。

 アスリートは必須ではないので選ぶことができる。選手が優先されるかということには、国内での接種状況とのバランスにもなると思います。彼らが受けることで周りの皆さんの手本になることもあると思います。とにかくバランスが重要になるのではないでしょうか」(THE ANSWER編集部)