プロ野球の開幕から約1カ月。今季はセ・パ両リーグとも、ルーキーたちの活躍が目立っている。 セ・リーグでは、5月7日時点…
プロ野球の開幕から約1カ月。今季はセ・パ両リーグとも、ルーキーたちの活躍が目立っている。
セ・リーグでは、5月7日時点でリーグトップタイの10本塁打、26打点を記録する佐藤輝明(阪神)や、6本塁打、23打点の牧秀梧(DeNA)などパワーヒッターが躍動。投手では、広島のクローザーを担う栗林良吏が8セーブを挙げ、デビューから14試合連続無失点の新記録を更新するなど、安定した投球を見せている。
一方のパ・リーグは、ドラフトで4球団が競合した早川隆久(楽天)や、高卒2年目ながらも新人王資格を有する宮城大弥(オリックス)が共に3勝。そのほかの先発陣では、伊藤大海(日本ハム)や鈴木昭汰(ロッテ)、打者では西武のリードオフマンに定着しつつある若林楽人などを含め、激しい新人王争いが繰り広げられることになりそうだ。
今回は、まだ記憶に新しい「平成以降」で、新人王争いのレベルが高かったシーズンを独断でピックアップ。ランキング形式で紹介する。

新人王を争った川上憲伸(左)と高橋由伸(右)
●第5位 2003年
大卒の"松坂世代"によるハイレベルな争い
大学を卒業した"松坂世代"がプロの世界に足を踏み入れた2003年は、ルーキーたちが前評判どおりの活躍を見せた。
セ・リーグで新人王に輝いたのは、速球とフォークを武器に10勝をマークした巨人の木佐貫洋。木佐貫と同じく亜細亜大から広島に入団し、リリーフエースとして新人球団記録の25セーブを挙げた永川勝浩や、阪神の中継ぎとして18年ぶりのリーグ優勝を支えた久保田智之、最下位に低迷する横浜で25本塁打を放った村田修一らを抑えて、タイトルを手にした。
一方のパ・リーグでは、ダイエーに入団した新垣渚も8勝を挙げたが、共に先発ローテーションを担い、14勝を挙げたダイエーの和田毅が満票で新人王を獲得した。阪神と対戦した日本シリーズでは、優勝を懸けた第7戦に登板して完投勝利。胴上げ投手にも輝くなど、ルーキーらしからぬ安定した投球が光った。
【セ・リーグ新人王候補 主な成績】
☆木佐貫洋・投手(亜細亜大→巨人)25試合10勝7敗 防御率3.34
永川勝浩・投手(亜細亜大→広島)40試合3勝3敗25S 防御率3.89
久保田智之・投手(常磐大→阪神)26試合5勝5敗 防御率3.12
村田修一・野手(日本大→横浜)104試合 打率.224 25本塁打 56打点
※投票結果:木佐貫135票、永川45票、村田15票、久保田2票
【パ・リーグ新人王候補 主な成績】
☆和田毅・投手(早稲田大→ダイエー)26試合14勝5敗 防御率3.38
新垣渚・投手(九州共立大→ダイエー)18試合8勝7敗 防御率3.34
※投票結果:和田134票
●第4位 2013年
最多勝の小川、球団初の日本一に貢献した則本が新人王に
この年のセ・リーグ新人王の本命は、"浪人生活"を経て巨人に入団し、1年目から13勝をマークした菅野智之、大阪桐蔭で甲子園春夏連覇の実績を引っ提げてプロ入りした、阪神の藤浪晋太郎(10勝)だった。しかしそのふたりを抑えたのが、ヤクルトにドラフト2位で入団した小川泰弘だった。
独特な足を高く上げるフォームからの速球を武器に16勝を挙げた小川は、この年の最多勝と最高勝率のタイトルを獲得。2ケタ勝利を挙げた菅野投手を票数で大きく引き離し、新人王に輝いた。
パ・リーグでは、15勝を挙げた楽天の則本昂大が新人王に。チーム初となる日本一に貢献した実績もタイトル獲得を後押しした。
この年は新人王を逃したメンバーも豪華。今や"二刀流"でメジャ―を席巻する日本ハムの大谷翔平、のちに日本を代表するエースになるソフトバンクの千賀滉大は、育成契約からリリーフで頭角を現した。同じく育成契約出身の西野勇士(ロッテ)も奮闘。プロ2年目でオリックスのセットアッパーに定着し、40ホールドを記録して「最優秀中継ぎ」に輝いた佐藤達也の活躍も印象的だった。
【セ・リーグ新人王候補 主な成績】
☆小川泰弘投手(創価大→ヤクルト)26試合16勝4敗 防御率2.93
他の獲得タイトル・・・最多勝、最高勝率
菅野智之投手(東海大→巨人)27試合13勝6敗 防御率3.12
藤浪晋太郎投手(大阪桐蔭高→阪神)24試合10勝6敗 防御率2.75
※投票結果:小川252票、菅野13票、藤浪8票
【パ・リーグ新人王候補 主な成績】
☆則本昂大・投手(三重中京大→楽天)27試合15勝8敗 防御率3.34
佐藤達也・投手(Honda→オリックス)67試合2勝4敗40H 防御率1.73
獲得タイトル・・・最優秀中継ぎ
大谷翔平(花巻東高→日本ハム)
【投手】13試合3勝0敗 防御率4.23【野手】77試合 率.238 3本塁打 20打点
西野勇士・投手(新湊高→ロッテ)24試合9勝6敗 防御率3.80
千賀滉大・投手(蒲郡高→ソフトバンク)51試合1勝4敗1S17H 防御率2.40
※投票結果:則本223票、佐藤4票、大谷4票、西野1票、千賀1票
●第3位 1999年
圧倒的な成績の上原&松坂が受賞も、ルーキーの活躍が目立った
20勝を挙げた巨人の上原浩治と、16勝を挙げた西武の松坂大輔が新人王を勝ち取ったが、タイトルを逃した面々も、例年の受賞者と遜色がない成績を残している。
星野仙一監督の元で11年ぶりにセ・リーグ優勝を勝ち取った中日では、2人のルーキーが躍動した。
主にクリーンアップを任された福留孝介は、打率.284、16本塁打の活躍。三振の多さ、ショートの守備など粗さも見られたが、高校3年時の1995年に7球団から1位指名を受けた(近鉄の指名権を獲得するも入団を辞退)実力の片鱗を覗かせた。そして、140キロ代後半の速球とスライダーが武器だった岩瀬仁紀は65試合に登板。抑えの宣銅烈につなぐセットアッパーとして活躍し、10勝をマークするなど優勝の原動力となった。
その中日に次ぐ2位の巨人では、長くショートを担っていた川相昌弘に代わって、二岡智宏が台頭した。上原と共にチームに欠かせない存在となった二岡は、芸術的な右打ちで打率.289、18本塁打をマークしている。
そして最下位に終わったものの、野村克也監督の就任が話題になった阪神では、広陵で二岡のチームメートだった福原忍がリリーフとして54試合に登板。10勝、9セーブを挙げる活躍を見せ、技巧派が揃っていた中継ぎ投手陣の中で存在感を示した。
パ・リーグに目を移すと、デビュー戦の圧巻のピッチングの勢いそのままに16勝を挙げた松坂の活躍が目立ったが、その陰で日産自動車からオリックスに入団した川越英隆が11勝と活躍。リーグ2位の8完投を記録するなど、安定した投球で先発ローテーションを支えた。
ほかにも、ダイエーの永井智浩と星野順治も10勝を挙げたほか、のちにロッテの絶対的守護神になる小林雅英も一軍のマウンドで結果を残した。
【セ・リーグ新人王候補 主な成績】
☆上原浩治・投手(大阪体育大→巨人)25試合20勝4敗 防御率2.09
他に獲得したタイトル・・・最多勝、最優秀防御率、最多奪三振、最高勝率、沢村賞
岩瀬仁紀・投手(NTT東海→中日)65試合10勝2敗1S 防御率1.57
福原忍・投手(東洋大→阪神)54試合10勝7敗9S 防御率4.09
福留孝介・野手(日本生命→中日)132試合 率.284 16本塁打 52打点
二岡智宏・野手(近畿大→巨人)126試合 率.289 18本塁打 51打点
※投票結果:上原196票、岩瀬4票、福留1票
【パ・リーグ新人王候補 主な成績】
☆松坂大輔・投手(横浜高→西武)25試合16勝5敗 防御率2.60
他に獲得したタイトル・・・最多勝、ゴールデングラブ、ベストナイン
川越英隆・投手(日産自動車→オリックス)26試合11勝8敗 防御率2.85
永井智浩・投手(JR東海→ダイエー)27試合10勝5敗 防御率3.06
星野順治・投手(NKK→ダイエー)22試合10勝8敗 防御率3.98
小林雅英・投手(東京ガス→ロッテ)46試合5勝5敗 防御率2.68
※投票結果:松坂150票、川越2票
●第2位 1990年
投手4冠の野茂がタイトル総なめ。セ・リーグは最多セーブの与田に栄冠
平成最初のドラフト会議で指名された選手がプロ入りしたこの年も、"大豊作"の年だった。
13勝17セーブを挙げた広島の佐々岡真司、10勝の西村龍次(ヤクルト)、経験が必要とされる捕手で、プロ1年目からゴールデングラブ賞に選出されたヤクルトの古田敦也。その中でセ・リーグの新人王に輝いたのは、現在は中日の監督を務める与田剛だった。
与田の武器は、当時の日本記録となる最速157キロのストレート。守護神としてマークした31セーブも当時の新人最多記録で、最優秀救援投手のタイトルも手にした。
パ・リーグでは、8球団競合の末に近鉄に入団し、投手4冠(最多勝、最優秀防御率、最高勝率、最多奪三振)を独占した野茂英雄が、文句なしで新人王を獲得した。
だが、野茂と同じ近鉄で22本塁打を放った石井浩郎や、切れ味鋭いシンカーを武器に日本一に貢献した西武の潮崎哲也、先発で10勝を挙げた日本ハムの酒井光次郎らも、チームの主力として活躍した。
【セ・リーグ新人王候補 主な成績】
☆与田剛・投手(NTT東京→中日) 50試合4勝5敗31S 防御率3.26
他に獲得したタイトル・・・最優秀救援
佐々岡真司・投手(NTT中国→広島)44試合13勝11敗17S 防御率3.15
西村龍次・投手(ヤマハ→ヤクルト)31試合10勝7敗 防御率4.06
古田敦也・捕手(トヨタ自動車→ヤクルト) 106試合 率.250 3本塁打 26打点
獲得したタイトル・・・ゴールデングラブ賞
※投票結果:与田102票、佐々岡46票
【パ・リーグ新人王候補 主な成績】
☆野茂英雄・投手(新日本製鐵堺→近鉄)29試合18勝8敗 防御率2.91
他に獲得したタイトル・・・最多勝、最優秀防御率、最多奪三振、最高勝率、シーズンMVP、沢村賞、ベストナイン
潮崎哲也・投手(松下電器→西武)43試合7勝4敗8S 防御率1.84
酒井光次郎・投手(近畿大→日本ハム)27試合10勝10敗 防御率3.46
石井浩郎・野手(プリンスホテル→近鉄)86試合 率.300 22本塁打 46打点
※投票結果:野茂126票、石井2票、潮崎1票
●第1位 1998年
セ・リーグは"4つ巴"の争い。パ・リーグはプロ4年目の苦労人に光
今年の大卒ルーキーが生まれた1998年も、ハイレベルな新人王争いが繰り広げられた。
パ・リーグは、プロ野球記録の18連敗も喫したロッテを中継ぎとして支えた藤田宗一や、6勝を挙げた真木将樹(近鉄)らを抑えて、プロ入り後に投手から打者に転向し、入団4年目でレギュラーに定着した小関竜也(西武)が新人王を受賞した。
一方のセ・リーグでは、シーズン終盤まで4選手による激しいタイトル争いが続いた。ルーキーながらリーグ3位の打率.327を記録した阪神の坪井智哉、リリーフとして54試合に登板し、9勝18セーブをマークした広島の小林幹英も、十分に新人王に値する成績を残した。
しかし票を2分したのは、松井秀喜、清原和博らと巨人のクリーンナップを担い、打率.300、19本塁打をマークした高橋由伸と、防御率リーグ2位の2.57で14勝を挙げ、前年最下位に沈んだ中日のAクラス入り(2位)に貢献した川上憲伸だった。結果は、高橋を22打数1安打(1本塁打)と、完璧に抑え込んだ川上がデッドヒートを制した。
【セ・リーグ新人王候補 主な成績】
☆川上憲伸・投手(明治大→中日)26試合 14勝6敗 防御率2.57
小林幹英・投手(プリンスホテル→広島)54試合 9勝6敗18S 防御率2.87
高橋由伸・野手(慶應大→巨人)126試合 率.300 19本塁打 75点
坪井智哉・野手(東芝→阪神)123試合 率.327 2本塁打 21点
※投票結果:川上111票、高橋65票、坪井12票、小林5票
【パ・リーグ新人王候補 主な成績】
☆小関竜也・野手(国学院栃木→西武)104試合 率.283 3本塁打 24打点
真木将樹・投手(法政大→近鉄)24試合6勝6敗 防御率3.89
藤田宗一・投手(西濃運輸→ロッテ)56試合6勝4敗7S 防御率2.17
※投票結果:小関63票、真木32票、藤田21票