ITF(国際テニス連盟)は、世界規模でメディアやソーシャルメディアでのス…

ITF(国際テニス連盟)は、世界規模でメディアやソーシャルメディアでのスポーツにおけるジェンダー平等性に関する研究を実施し、その結果を公式ホームページで紹介している。本研究はグローバルスポーツ開発財団が支援するITFの“アドバンテージ・オール”と名付けられたジェンダー平等戦略の一環として行われた。【関連記事】マレーがテニス界における同性愛者批判の問題に言及

研究では、男性アスリートと女性アスリートがどのように表現されているのかに注目し、マーケットやメディアの種類による重要な違いがあるか、さらにネット情報検索の差についても検証している。結果、男子選手と女子選手では描写にはっきりとした差があった。

報告によると、男子テニスに関わる話題や報道は闘争や勝負といった語り口で語られることが多く、歴史をからめたりエリート選手同士の競争が描かれたり、また功績を称えるなど競技に焦点が当てられている場合が多いのに対し、女子テニスはやや語り口が柔らかく、健康や年齢、家族といった競技外の話題が比較的多かった。

この研究は、2019年と2020年に発表された英語媒体、そしてフランスとスペインの報道記事や投稿の中で、ランキング100位以内の選手に関わるものを抽出し男女で比較をしている。結果、次のことが分かった。

・女子テニスの記事では、選手の年齢が明かされる可能性が2倍高い

・男子テニスの記事では、“戦い”にまつわる用語が使われる可能性が2倍高い

・男子の記事では、選手の身体的に優れた能力について触れる可能性が70%高い

・男子テニス記事では“史上最高”、“史上最強”といった言葉が使われた記事が女子より50%多かった

・男子テニス記事では“史上初”、“歴史に残る”といった言葉が40%多く使われていた

・女子テニスでは健康や治療の話題に触れる確率が2倍高い

・女子選手の記事では選手の家族に言及する確率が30%高い

・“キャリア”という言葉は、女子の記事で男子より約50%多く使われていた

さらに、オンライン記事の0.5%以下と珍しいケースではあるが、次のようなことも分かった。

・女子テニス記事では服装について言及する可能性が2倍高い

・女子テニスでは、肌の色について触れている記事が男子の11倍あった

・女子テニスでは、ブラック・ライヴス・マター(BLM)を話題にする記事が3倍あった

媒体ごとに記事や投稿の分析をすると、これらの違いを生み出す原動力となっているのは主要メディアであること明らかになった。また、Googleで男子選手や女子選手に紐づけて検索される言葉や質問に殆ど違いは見られなかった。にもかかわらず検索結果には偏りが見られ、“テニス選手トップ50”と検索すると女子選手は50人中6人だけだった。

ITF会長のデビッド・ ハガティ氏は今回の報告に触れ、「様々な考え方や意見は“アドバンテージ・オール”戦略の重要な柱の一つだ。私達がこの領域で良い影響を与えていくためにはメディアやソーシャルメディアの言語をしっかりと理解する必要がある。今回の結果から、一般の人々は男子テニス・女子テニス共に同じような話題を求めているにもかかわらず、彼らに関する記事や語り口に大きな差があることが明らかになった。この違いが全てネガティブではないことを認識することは大事だが、意識的であれ無意識であれ偏見や先入観によってこれらの違いが生まれる状況は避けなければならない。最終的に女性アスリートたちのスポーツでの功績を軽んじることに繋がる可能性があるからだ」と語った。

ITFは4月12日に“レベル・ザ・プレイング・フィールド”(=プレー環境を平等に)というジェンダー平等に関するフォーラムを開催し、この研究結果についてトップアスリートたちが議論する場を設けた。このフォーラムにはビリー・ジーン・キング(アメリカ)、ビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ)、チャンダ・ルビン(アメリカ)などテニス選手の他に、キャロライン・ウィアー(スコットランド女子サッカー選手)、アニカ・ソレンスタム(スウェーデン女子ゴルファー)などがスピーカーとして招かれた。

(テニスデイリー編集部)

※写真は2017年「ATP500ドバイ」の様子

(Photo by Tom Dulat/Getty Images)