東京五輪代表を懸けた日本選手権1万m 東京五輪代表選考会を兼ねた陸上の日本選手権女子1万メートルが3日、静岡・エコパスタジアムで行われ、20歳・廣中璃梨佳(日本郵政グループ)が31分11秒75で優勝し、初の五輪代表に内定した。27歳の安藤友…

東京五輪代表を懸けた日本選手権1万m

 東京五輪代表選考会を兼ねた陸上の日本選手権女子1万メートルが3日、静岡・エコパスタジアムで行われ、20歳・廣中璃梨佳(日本郵政グループ)が31分11秒75で優勝し、初の五輪代表に内定した。27歳の安藤友香(ワコール)も31分18秒18の2位で内定。30分20秒44の日本記録保持者・新谷仁美(積水化学)と合わせて3枠が確定した。

 廣中が奮闘した。ピンクの帽子を被り、序盤から先頭に立った。4人の先頭集団を引っ張り、6分11秒で2000メートルを通過した。真後ろには安藤がピタリと追走。廣中は15分28で5000メートルを通過したが、5400メートルで安藤に先頭を譲った。安藤、廣中の順で一騎打ちとなり、7500メートルから並走。8600メートル直前でスパートをかけた廣中が先頭に立ち、記録との戦いとなった。

 両手を挙げながらフィニッシュし、大きな拍手を受けて五輪切符を獲得。2位の安藤と握手を交わした。廣中は会見でこう振り返った。

「挑戦者として臨んで、先輩たちの胸を借りながらのレースでした。12月の日本選手権では凄い悔しくて、それからなかなか練習で足の痛みが出たり、苦しい2か月を過ごした。目標を失う時もあったけど、周りの方々の励ましの言葉が立ち直るきっかけになった。後悔しないレースにしようと思っていた」

「満足することなく世界と戦うんだという気持ち」

 昨年9月の全日本実業団5000メートルで日本歴代3位の自己ベスト14分59秒37を記録。昨季は1500メートル、3000メートルでも自己記録を更新するなど成長を見せていた。優勝すれば内定していた12月の日本選手権5000メートルでは、田中希実(豊田自動織機TC)に1秒46差で敗れて2位。レース後は涙を流して悔しがっていたが、そこから怪我を抱えながらも奮起した。

 5000メートルで五輪に出場するために1万メートルを始めたという。「5000メートルで確実に(五輪切符を)獲りたいと思っていて、そのためのスタミナ作りで始めた」。初の1万メートルとなった4月の金栗記念で31分30秒03をマーク。好タイムが出たことで日本選手権に臨んだ。

 高校時代に国際大会で敗れ「世界にはまだまだ上がいる。歯が立たないと感じた。この舞台でもう一度勝負をしたいと思った」とレベルの差を痛感。五輪を本格的に視野に入れ「ジャパンを背負って堂々とした走りを世界で表したい」と気を引き締めた。

 5000メートルでも参加標準を突破済みのため、2種目で五輪出場を狙える位置にいる。本命種目に向けて「少しずつスピードを磨きながら、そこも世界で戦える走りをしたい。ここで満足することなく世界と戦うんだ、先輩にも負けないという気持ちで頑張りたい」と、やる気を見せた。(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)