2月4日、イングランドのトゥイッケナムスタジアムにて、8万人を超える観衆を前に、シックスネーションズの第1節、イングランド対フランスの試合がおこなわれた。試合は、途中出場のCTBベン・テオの70分の逆転トライで、19-16とイングランドに軍配が上がった。

 イングランドの絶対有利を予想する見方が多い中、試合の序盤はフランスFWの圧倒的なボール支配と、力強い突破が目立つ展開に。イングランドのエディー・ジョーンズ ヘッドコーチが、「前半の我々の立ち上がりは、非常に出来が悪かった。何かスイッチが入っていないかのようで、中途半端なプレーばかり」というコメントを残しているように、「らしくない」プレーが目立つイングランド。

 前半を通してボールを支配し続けるフランスは、両WTBのヴィリミ・ヴァカタワとノア・ナカイタジが、カウンターアタック、逆サイドへのライン参加から再三に渡りイングランドのディフェンスを脅かす。敵陣に入っても攻めきれないイングランドは、ディフェンスの裏を狙ったキックで状況の打開を図るが、FBスコット・スペディングも交えたフランス・バックスリーのカウンターアタックに手を焼く。イングランドの左WTBで出場したエリオット・デイリーによれば、「今日のフランスは外までボールを回してくる回数も多く、スペースのある所で勝負を仕掛けてきた。両WTBはスピードもパワーもあり、厄介な相手だった」。

 前半は両チームとも敵陣22メートルライン以内へ攻め込む機会が何度かありながらもトライまでは及ばず、得点はペナルティゴールのみの、9-9でハーフタイムへ。

 後半も序盤は大きな変化はなく、双方とも、CTBからラインの裏にあるスペースへのキックに活路を見出そうとするが、フランスのWTBヴァカタワはアンストラクチャーな状況でボールを持つと、常にイングランドディフェンスの脅威となる走りを見せる。相手のディフェンスラインに綻びが出来るまで辛抱強く攻め続ける攻撃も見せるイングランドは、CTBオーウェン・ファレルのラインブレークからWTBデイリーにつなぎ、左隅へトライを決めたかと思われたが、フランスWTBナカイタジのゴールライン際での決死のタックルにより、惜しくもタッチを割ったとのビデオ判定。

 その後、イングランドはペナルティゴールを決めて一度は12-9とリードを奪うが、59分にはイングランド陣22メートル付近から、LOセバスチャン・バハマヒナ、FLケビン・ゴードンが連続オフロードでPRラバ・スリマ二につなぎ、この試合最初のトライ。ゴールも決まり、フランスが16-12と逆転に成功。

 試合時間が残り20分を切ったところで両軍ともに交代のカードを切り、イングランドはSHをベン・ヤングズからダニー・ケア、PRをジョー・マーラーからマット・ムラン、LOのジョー・ローンチベリーを下げてFLからマロ・イトジェをLOに移し、FLにジェームズ・ハスケル、SOジョージ・フォードを下げてCTBオーウェン・ファレルをSOに移し、CTBにベン・テオを入れ、大きくゲームの流れを変えに出る。試合後にジョーンズ ヘッドコーチが「今日はベンチが違いを生み出した、23人の総力戦」と評したように、登場2分後のCTBテオが、敵陣ゴール前でのラックから見事にディフェンスのギャップを突き、再逆転に成功。ゴールも決まり、19-16と再逆転に成功し、イングランドは終了間際の逆転で辛くもフランスを下した。

 試合後の会見で今日の試合を総括したジョーンズ ヘッドコーチは「今日は出来の悪い試合でしたが、結果には満足しています。出来が悪かったのは、準備の仕方が悪かったからですが、選手の選考は間違っていません。準備の仕方が悪いのはヘッドコーチである私の責任。これからコーチ陣と分析を進め、次のウェールズ戦に向けて正しい準備を出来るようにしていきます」。また、今日の勝利により、イングランドは2015年ワールドカップの最終戦、ウルグアイ戦から続く連勝記録を15に伸ばしている。しかし、それを聞かれたディラン・ハートリー主将は、「そんな事は全く気にも留めていない。今日は何とか勝てたが、内容には全く満足していない。今頭にあるのは、次のウェールズ戦にいかに勝つかという事だけ。エディーの指導のもと、週明けから全力で準備に励むよ」

 調子の悪い日の試合でありながらも、最後になんとか結果だけは残すのは、強者が強者たる所以か。本命のプレッシャーもなんのその、エディー・ジョーンズ ヘッドコーチに率いられた常勝軍団は、欧州ラグビーの最高峰、シックスネーションズ2連覇へ向けて走り出した。(文:竹鼻 智)