闘将を熱くさせたワンプレーを選出、2月、3月は「15年ぶりC大阪復帰のFW大久保嘉人が鮮やかな20mミドルシュート決めた…

闘将を熱くさせたワンプレーを選出、2月、3月は「15年ぶりC大阪復帰のFW大久保嘉人が鮮やかな20mミドルシュート決めた瞬間」

 サッカー界で最も熱い男が選んだ、漢を感じる熱いプレーとは。

 今季から古巣セレッソ大阪へ15年ぶりに復帰した元日本代表FW大久保嘉人が、3月3日にAFCチャンピオンズリーグ参戦による先行開催となったJ1リーグ第11節川崎フロンターレ戦で、鮮やかなミドルシュートを叩き込んだ。2019年限りで現役引退した元日本代表DF田中マルクス闘莉王氏は、スポーツチャンネル「DAZN」のパートナーメディアで構成される「DAZN Jリーグ推進委員会」との企画で、2月、3月のJリーグの「月間最熱モーメント」にこの約20メートルのミドル弾を選出。「THE ANSWER」のインタビューで闘莉王氏は、かつて日本代表やアテネ五輪で共闘した盟友の“復活劇”を称えた。(取材・文=小杉 舞)

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「開幕からずっと見ていて、すごくうれしい活躍をしてくれている。僕も期待していた以上の活躍で何よりも本当にうれしい。開幕戦(で決めた)1点目のヘディングシュートを選ぼうと思ったけど、(川崎は大久保にとって)古巣だし、(今回のミドルシュートは)綺麗な素晴らしいゴール。ロングシュートで角度もなく、すごく難しいシュートを決めた。なかなか普通の選手じゃ決められないので、ヘディング(弾)より難しい(ミドル弾の)方が表彰されるべきだと思った」

 昨年現役引退し、ブラジルで実業家として活躍する一方、公式YouTubeチャンネル「闘莉王TV」でブラジルの生活を魅力たっぷりに届けている闘莉王氏。そんな闘将が絶賛したのは今季から古巣C大阪に復帰した大久保だった。

 ゴールを決めた開幕戦に続いて2試合連続でスタメン出場すると前半5分、右サイドでのボール奪取からC大阪MF坂元達裕がドリブルで縦に運ぶと、大久保がペナルティーエリア手前右サイドでボールを受ける。トラップ後、相手のラインが下がっていたこともあり、大久保は間髪入れずにシュートモーションへ。コンパクトな振りから対角線に打ち込まれた約20メートルのミドルシュートは、美しい軌道を描いてゴール左上隅に吸い込まれた。この試合後もゴールを重ねて開幕5戦で5発。6月で39歳を迎える今季はスタートから好調を維持している。

「後がないというのと、古巣に戻って周りに自分についてくる若手がたくさんいるので、すごくやりやすく感じている。動きが戻った。諦めない動き、闘争心を表に出してくる。大久保らしい活躍、大久保らしい動きが本当に戻ってきた。それに思い切りの良さ。川崎戦のロングシュートも角度もなく、普通はあそこから打たないけど嘉人の一番いいところが出てきている。あと(レヴィー・)クルピ監督がうまい」

クルピ監督の手腕とC大阪の雰囲気の良さ「引き出せる方法をよく知っている」

 今季からC大阪を率いるのはクラブで異例の4度目指揮となるブラジル出身のレヴィー・クルピ監督。かつて、香川真司(PAOK)やMF乾貴士(エイバル)、MF清武弘嗣、MF南野拓実(サウサンプトン)らを育て上げた名伯楽だ。13年以来、8年ぶりの復帰となった。闘将は大久保が開幕から好プレーを維持している要因の1つにクルピ監督の手腕を挙げた。

「クルピ監督は選手のもともと内にある力を外に引き出せる監督だと思う。クルピ監督の下から外国で活躍するいろんな日本人選手が出てきた。香川も、清武も。クルピ監督はどこかに隠れている才能を発揮させる、引き出せる方法をよく知っている。だからこそ、嘉人があれだけの活躍ができる。サッカーを違う角度から見られる人だし、クルピさんも(オズワルド・)オリヴェイラさんもネルシーニョさんも日本を愛している。日本の文化を大切に思っているからこそ日本人選手の良さを引き出せる技を身につけているんじゃないかなと思う」

 大久保は18年途中から移籍したジュビロ磐田では在籍1年半で計4得点。昨季の東京ヴェルディでは無得点に終わった。それでも、今季はかつて得点王に輝いたような姿を見せている。かつて日本代表やアテネ五輪でチームメートだった闘莉王はもう一つ、復活の要因に周囲との関係の良さを強調した。

「僕はずっと言っているけど、周りが大事だと思う。嘉人は周りの雰囲気を大事にする選手で、雰囲気さえ良ければ必ず活躍する。何かモヤモヤがあったり、ここで成功させないといけないという気持ちが強すぎたりしたら空回りすることが多い。そういうときにどうすればいいか。今のセレッソにはそういう雰囲気、生き生きとしている選手たちが周りにいれば自分も生き生きしている時の活躍を思い出させるんじゃないかな。嘉人はちょっと寂しがりやだと思う(笑)。だからこそ若手と混じって生き生きするような練習のなかで、クルピさんの厳しさがあることで再爆発できていると思う」

 今季15得点すると、史上初のJ1通算200ゴールに到達する。「壁にぶつかったときは嘉人らしくやってくれれば、また活躍できる」と太鼓判を押す闘将は「250ゴールぐらいいって欲しい」とエールを送った。ベテランの星はまだまだゴールを量産してくれそうだ。

■田中マルクス闘莉王

 1981年4月24日生まれ、ブラジル出身。渋谷教育学園幕張高を卒業後、2001年にJ1広島でプロデビュー。06年に浦和のリーグ初優勝に貢献し、同年のJリーグMVPに輝く。07年にACL優勝、名古屋移籍後の10年に自身2度目のJ1制覇。03年の日本国籍取得後は日本代表としても活躍し、04年アテネ五輪、10年南アフリカW杯に出場。日本代表43試合8得点の成績を残した。19年12月にJ2京都で現役引退。現在はブラジルで実業家として活動する傍ら、公式YouTubeチャンネル「闘莉王TV」も話題に。(小杉 舞 / Mai Kosugi)