「プロサッカー選手になりたい」と語るサッカー少年のチカラに 発生から1年以上が経過しても、今なお世界中で猛威を振るい続け…

「プロサッカー選手になりたい」と語るサッカー少年のチカラに

 発生から1年以上が経過しても、今なお世界中で猛威を振るい続ける新型コロナウイルス感染症。感染拡大を防ぐため、2020年は人々の日常生活に様々な制約が設けられ、我慢を強いられる場面も多かった。コロナ禍はスポーツ界にも大きな影響を与えた。それはプロの世界に限らない。アマチュアの世界はもちろん、小学生、中学生、高校生を対象とする大会も軒並み中止となってしまった。

 かつてない困難に直面する毎日の中でも、スポーツを通じて「夢」に向かって前進する力を生み出せないか。そんな想いを持って立ち上がった3人のアスリートがいる。サッカー日本代表の柴崎岳選手、バレーボール日本代表の石川祐希選手、ソフトボール日本代表の上野由岐子選手だ。

 3人はトップアスリートが夢を叶える企画「#DREAM with Team DESCENTE」に寄せられた数多くの「夢」から、それぞれ1つを厳選。夢の実現に向けて、惜しみないサポートをした。3人に共通する想いは「『夢』には未来を切り拓くチカラがある」ということ。第1回は、現在はスペイン・CDレガネスで活躍する柴崎による、中学生の夢のサポートだ。

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「こんばんは、聞こえてるかな?」と画面越しの問いかけに、ニコニコと笑顔で返す少年がいる。それもそのはず、声の主は憧れのサッカー日本代表、柴崎岳選手だからだ。

「将来はプロサッカー選手になりたい」と語るサッカー少年、それが龍田尋斗くんだ。現在スペインのCDレガネスでプレーする柴崎は、昔の自分のようにプロサッカー選手を夢見る龍田くんを応援するために、スペインからオンラインでつながってくれた。

「僕は身長が小さくて、キック力もなくて、なかなか思うようなプレーができない。どうすれば小さくてもできますか? 柴崎選手はパスがうまいので、そういうパスのうまい選手になりたいです」

 普段はサイドハーフやサイドバックでプレーしているという龍田くんの悩みに、柴崎はどう答えるのか。「とりあえずキックをやってみようか」と現在の蹴り方をチェックする。「うーん」と鋭い眼光がキラリと光った。

「右足で蹴るときに、『軸足を抜く』っていう言い方をするんだけど、蹴った右足で着地するような感覚」

 この指摘を受けて、その場で軽く蹴ってみる龍田くんに、柴崎は「そうそうそう」と声を掛ける。実際にボールを蹴ってみると、今度は「クロスを上げるイメージで蹴ってみてくれる?」とリクエスト。「次は止まっているボールじゃなくて、動かしながら蹴ってみて」。遠くスペインから届く指示に合わせ、龍田くんはボールを蹴り抜いた。

「自分で蹴ってみてどんな感じかな?」という柴崎の問いに、「前より飛んだ感じがする」と笑顔を見せる龍田くん。わずか数分のやりとりで、アドバイスは効果てきめんだった。

 さらに、「ボールに当てる感覚を掴んでほしい」と願う柴崎から「(足の)甲に当たってボールが回転しないような蹴り方で」というリクエストに合わせ、ボールが回転しないように意識しながらリフティング。真剣そのものの表情でボールと向かい合う龍田くんに、「その蹴り方で芯の感覚だけ覚えておけば、力を入れなくてもボールが飛ぶようになるから」と語りかける柴崎の目もまた真剣そのものだ。

「そうそう。足首の角度とかを変えるだけでクロスにもなるし、シュートにもなるから。あとは反復して練習して自分でその感覚をつかんでいけば、強いシュートも打てるようになるし、早くて相手が届かないようなクロスも上げられるようになると思う」

 短時間だったものの、柴崎の適格なアドバイスを受け、確かな手応えを掴んだ龍田くん。目を輝かせながら「あの蹴り方をもっと練習して、強いシュートを打ったり、パスを遠くまで飛ばせるように頑張りたいです!」と誇らしげな表情を浮かべた。

柴崎からのメッセージ「応援される側になるところも思い描いて」

 将来の夢を聞かれた龍田くんの答えは、もちろん「プロサッカーになりたい」。その理由とは??。

「プロサッカー選手になって、お母さんにピッチで(サッカーを)しているところを見せたいからです」

 いつもサッカーをする自分を支えてくれる母を喜ばせるためにも、プロサッカー選手になりたい。そんな母思いの龍田くんに、柴崎は「努力している理由としてはすごくいいと思う」と太鼓判。「その理由を忘れずにプロサッカー選手になるということを目指してほしい。そして同じピッチに立ってプレーできるのを楽しみにしているよ!」と、うれしい言葉を投げかけた。

 上手になるためのアドバイスをもらったばかりか、いつか一緒にプレーしようという夢のような言葉。「サッカー選手になれるように、教えてもらったことをやって頑張っていきます。ありがとうございました!」とお礼の言葉を告げる龍田くんの顔には幸せが満ちあふれていた。

「尋斗くんと会えてうれしかったです。応援する側じゃなくて、される側になる、というところもしっかりと思い描いてサッカーを頑張ってください」

 応援される側になる――。柴崎からプロになるために最高のアドバイスをもらった龍田くんは、画面越しのグータッチで夢のような時間を締めくくった。

「プレゼントがあるので、ぜひ受け取ってください」という柴崎の言葉通り、後日、自宅に届いたプレゼントを開けてみると、そこには直筆サイン入りのスパイクが入っていた。「え、すげえ。すごい!」と感激を隠せない龍田くんの目に飛び込んできたのは、さらにスペシャルなメッセージだった。

「ヒロトくんへ、プロの舞台で待っています」

 大事そうにスパイクを手に取り、うれしそうに直筆メッセージを読み上げる。オンライン上ではあったが、憧れの選手から1対1でアドバイスを受け、ともに過ごした時間が現実であったことを証明するプレゼントは、「夢」に向かって進む背中を後押ししてくれるはずだ。自らの夢を実現させ、世界を相手に戦う柴崎の存在が、これから未来を切り拓く中学生のチカラになったに違いない。
(THE ANSWER編集部)