2020年の「ウィンブルドン」が中止となった際、主催団体のオールイングランド・ローンテニス・アンド・クローケー・クラブ(…

2020年の「ウィンブルドン」が中止となった際、主催団体のオールイングランド・ローンテニス・アンド・クローケー・クラブ(AELTC)は、パンデミックを対象とした保険の恩恵を受けており、その結果、昨年度は黒字を計上。しかしながら、もしも今年の大会が中止になった場合、同様の保険は適用されない。テニス関連ニュースサイトTennis Headが報じている。【関連記事】「全仏オープン」1週間の延期をフランステニス協会が発表

関係者によれば、この保険制度は、2001年にイギリスで流行した口蹄疫(こうていえき)と2003年にアジアやカナダを中心に感染が拡大したSARSを受け、パンデミックに備えて設けられたものだという。先見の明があったというわけだ。そのお陰でAELTCは昨年に1億7400万ポンド(約263億円)の保険金を手にし、第二次世界大戦以後では初となる大会中止による損失を相殺することができた。

しかし、今年はその保険が適用されない。英ウェブメディアSport Businessによると、AELTCは対応策として昨年7月に2000万ポンド(約30億円)の融資を銀行に申し込んでおり、今年の6月1日に受け取るとのことだ。

一方でAELTCは大会のシナリオとして主に2つのパターンを想定している。観客数を制限した上で開催する「基本のシナリオ」と、無観客で開催する「最悪のシナリオ」だ。関係者によると、「理事会はこれまでに開催された他のグランドスラムや、イギリスで開催されている様々なスポーツイベントを考慮すると、2021年の“ウィンブルドン”が中止になる可能性は低いと考えている」と言う。そして、いずれのシナリオでも、「事業を継続するための資金は十分にあり、追加の措置は最低限に抑えられる」としている。

実際開催するとなれば、通常よりも観客動員から得られる収入が大幅に減る、あるいはゼロになるだけでなく、多くの費用もかかる。それは2月の「全豪オープン」でも見られた状況で、いわゆる「バブル」方式を導入して開催された同大会は、選手たちを14日間、隔離状態で滞在させた費用だけで4000万オーストラリアドル(約33億円)かかったと言われている。

どの運営団体も大会に対する誇りや愛着と、経営のかじ取りの間で難しい判断を強いられる状況が続くようだ。

※為替レートは2021年4月28日時点

(テニスデイリー編集部)

※写真は2019年「ウィンブルドン」男子シングルス決勝の様子

(Photo by Matthias Hangst/Getty Images)