J1クラブ別・歴代最高のストライカーは誰だ?(西日本編) 1993年に産声をあげたJリーグの歴史を紐解けば、各クラブには…
J1クラブ別・歴代最高のストライカーは誰だ?(西日本編)
1993年に産声をあげたJリーグの歴史を紐解けば、各クラブにはそれぞれ伝説的なストライカーが存在する。そこで、今シーズンのJ1に所属する20クラブを東西に分け、日本人選手に絞って各クラブの歴代最高ストライカーを独断と偏見で選出してみたい。東日本編に続いて西日本10クラブを紹介する。
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清水エスパルスの黎明期を支えた長谷川健太
★清水エスパルス「長谷川健太」
清水エスパルスの通算最多得点者は、リーグ戦で計85ゴールを記録した澤登正朗だ。ただ、現役を退くまで清水ひと筋を貫いた澤登は典型的なプレーメイカーなので、あえて除外。ストライカーとしては岡崎慎司(現・ウエスカ)や大前元紀(現・ザスパクサツ群馬)も印象深いが、ここでは地元静岡県のヒーローで現在FC東京の監督を務める長谷川健太をベストに選びたい。
長谷川は、大榎克己、堀池巧とともに高校時代から「清水東三羽烏」として全国にその名が知れわたった高校サッカー界のスター選手だった。Jリーグ開幕前年の1992年に日産から清水に移籍し、以降は清水のエースとして君臨。1996年にはクラブ史上初タイトルとなるナビスコカップ(現ルヴァンカップ)優勝にも貢献したクラブのレジェンドのひとりだ。
クロスを得意とするウイングタイプのFWだったが、清水では主に2トップの一角としてプレー。強烈な右足キャノンを武器に、リーグ戦で45ゴールを量産した。
★名古屋グランパス「玉田圭司」
名古屋グランパスでは、Jリーグ初期に途中出場でゴールを量産した森山泰行が大きなインパクトを残した。ただ、日本人ベストストライカーを選出するなら、歴代最多ゴールを叩き出し、なおかつ2010年にはリーグ初優勝に大きく貢献した玉田圭司(現V・ファーレン長崎)に軍配が上がるだろう。
柏レイソルでブレイクした玉田が名古屋に加入したのは2006年。以降、述べ11年間でリーグ戦75ゴールを記録している。とりわけ、ドラガン・ストイコビッチ監督の下でリーグを制した2010年に13ゴール、2位に終わった2011年にはキャリア最高の14ゴールをマークし、大きなインパクトを残した。
本格派ストライカーではないが、得意のドリブルを生かしながらゴール前で勝負するタイプだった。日本代表では2006年W杯でブラジル相手に左足でネットを突き刺したシーンも印象深い。
★ガンバ大阪「大黒将志」
ガンバ大阪では、松波正信、大黒将志、そして現役の宇佐美貴史といった面々が候補になる。単純に通算ゴール数で選ぶなら宇佐美になるが、ここでは日本サッカー歴代屈指のゴールハンターと評される大黒将志をベストとしたい。
ユース出身の大黒が才能を開花させたのは、コンサドーレ札幌での武者修行から戻って2年目にあたる2003年。それまでチームを支えていた松波と入れ替わるように出場機会を増やすと、リーグ戦で10ゴールをマーク。翌2004年には20ゴールと量産してブレイクし、2005年は16ゴールを決めてリーグ初優勝に貢献した。
日本代表としては、2006年ドイツW杯出場を目指していたジーコジャパンに招集されると、何度も貴重なゴールでチームを救って予選突破に貢献。「神様、仏様、大黒様」というフレーズが全国区となるなど、一躍国民的ヒーローとなった。
★セレッソ大阪「大久保嘉人」
セレッソ大阪のストライカーといえば、真っ先に思い浮かぶのは西澤明訓だ。C大阪で決めたリーグ戦のゴール数は85。しかし、ここでは現在J1歴代通算得点ランキングのトップ(190ゴール)を走る大久保嘉人を選びたい。
大久保に関しては、3年連続得点王に輝いた川崎フロンターレのベストとしてもよかった。だが、今シーズンから自身がデビューしたクラブに戻って完全復活を果たしたので、C大阪のベストとして選出させてもらった。
2001年に国見高校から加入した大久保は、今シーズンを含めて計6シーズンをC大阪で過ごしている。その間、リーグ戦で記録したゴール数は57(4月24日時点)。2年目にはJ2で18ゴールを量産した。果たして、C大阪で前人未踏のJ1通算200ゴールを達成できるのか、要注目だ。
★ヴィッセル神戸「小川慶治朗」
悩ましいのが、ヴィッセル神戸だ。候補として挙がるのは、1990年代に活躍した永島昭浩、C大阪のベストに選んだ大久保、渡邉千真(現・横浜FC)といった顔ぶれになる。ただ、永島はG大阪、渡邉は横浜F・マリノスやFC東京のイメージもあり、大久保はC大阪のベストに選出した。そこで浮上するのが、ヴィッセル神戸でデビューして現在横浜FCに所属する小川慶治朗だ。
小川がトップデビューを果たしたのは2010年。以降、2018年のシーズン途中に湘南ベルマーレにレンタル移籍した期間を除き、昨シーズンまで神戸ひと筋でプレーした。
神戸ではリーグ戦で45ゴールをマーク。これは50ゴールの大久保には及ばずとも、永島を上回る数字。複数ポジションをこなすため純粋なストライカーではないが、10代の頃からトップチームでプレーし、これだけのゴール数を記録したことも含め、歴代ベストと言っていい。
★サンフレッチェ広島「佐藤寿人」
対照的に、文句なしで選出できるのがサンフレッチェ広島だ。もちろん、チームのレジェンドのひとりで、J1リーグ通算得点ランキング2位の佐藤寿人である。
ジェフユナイテッド市原(現・千葉)でプロデビューした佐藤は、C大阪を経てベガルタ仙台でブレイクし、2005年に広島に加入。それ以来、名古屋に移籍するまでの12シーズンで2度の得点王に輝くなど、リーグ戦で178ゴールを量産した。ひとつのクラブでマークしたゴール数で言えば、リーグ歴代トップになる。
身長170cmとストライカーとしては小柄であるが、ポジショニングやシュート技術は抜群。ワンタッチゴールを極めた「生粋の点取り屋」と言える。
★徳島ヴォルティス「津田知宏」
今シーズン、クラブ史上2度目となるJ1の舞台に立つ徳島ヴォルティスからは、津田知宏(現・WYVERN FC)を選出したい。津田が徳島でマークしたリーグ戦のゴール数は48得点。この数字は、39得点の羽地登志晃、35得点の渡大生(現・アビスパ福岡)を上回り、クラブ歴代通算得点ランキングのトップに位置する。
J1の名古屋に所属していた津田が徳島にレンタル移籍したのは2010年のこと。すると、初年度から16ゴールをマークしてそのシーズンのJ2得点ランキングの2位タイとなり、翌2011年もレンタル期間を延長してプレー。3年目に完全移籍を果たした。
そして2013年には14ゴールを記録するなど、クラブ史上初となるJ1昇格の原動力となる。残念ながらJ1ではノーゴールに終わったが、歴代ベストにふさわしい。
★アビスパ福岡「城後寿」
アビスパ福岡で通算得点ランキングの上位に顔を出す日本人は、城後寿、石津大介、大久保哲哉、田中佑昌、山下芳輝らだ。このなかで歴代ベストを選ぶとなると、やはり在籍17年目を迎えたバンディエラ、城後寿をおいてほかにいない。
地元・福岡県出身の城後は2005年に国見高校から入団。J1に参戦した2年目にJリーグデビューを果たし、4ゴールを記録。以降、2012年にキャリアハイの12ゴールを記録したほか、毎年コンスタントにゴールを重ね、昨シーズンまでに83ゴールを量産している。今シーズンはまだリーグ戦でのゴールはないが、途中出場で存在感を放っている。
典型的なストライカーではないが、縦横無尽に前線を動き回るスタイルは今も健在。地元福岡ひと筋でプレーしていることも含め、クラブを代表するFWと言えるだろう。
★サガン鳥栖「豊田陽平」
サガン鳥栖のベストストライカーは、おそらく誰に聞いても豊田陽平になるはずだ。
2010年に京都から加入した豊田は、初年度にリーグ戦13ゴールをマークし、2年目に23ゴールを決めてJ2得点王に輝くなど、クラブ史上初となるJ1昇格に貢献。J1でも5年連続でふたケタ得点をマークするなど、国内を代表するストライカーとして脚光を浴びた。飛行機のように両腕を広げるゴールセレブレーションは、トレードマークにもなった。
2018年に韓国Kリーグでプレーしたが、それ以外は加入してから鳥栖ひと筋。これまでリーグ戦では計128ゴールを量産し、クラブの通算ゴール数ではダントツのトップ。36歳となった今季は主に途中出場でプレーするが、ゴールへの意欲は衰えていない。
★大分トリニータ「高松大樹」
大分トリニータの日本人歴代最高ストライカーと言えば、クラブ通算最多得点者の高松大樹で間違いないだろう。
高松が高卒ルーキーとして大分に入団したのは2000年。それ以来、2011年にFC東京でプレーした以外は、大分の絶対的ストライカーとして君臨し続け、リーグ戦で計75ゴールを量産した。
2002年にクラブ史上初のJ1昇格に貢献すると、翌2003年にはアテネ五輪を目指すU−22日本代表に選出されて2004年アテネ五輪本大会に出場。クラブを代表するストライカーへと飛躍を遂げた。日本代表としても2キャップを誇る高松は、2016年に大分で現役を退いている。