日本時間の4月25日(日)、アメリカ・フロリダ州ジャクソンビルのベテランズ・メモリアル・アリーナで『UFC261』が開催される。 豪華3大タイトルマッチが組まれたこの大会の見どころを、「世界のTK」高阪剛に語ってもらった。 (写…

 日本時間の4月25日(日)、アメリカ・フロリダ州ジャクソンビルのベテランズ・メモリアル・アリーナで『UFC261』が開催される。

 豪華3大タイトルマッチが組まれたこの大会の見どころを、「世界のTK」高阪剛に語ってもらった。

 

(写真左より) カマル・ウスマン、ホルヘ・マスヴィダル/Getty Images

 

 

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カマル・ウスマン/Getty Images

 

 

——豪華3大タイトルマッチが組まれた『UFC261』。メインイベントのウェルター級タイトルマッチ、カマル・ウスマンvsホルヘ・マスヴィダルは、7カ月ぶりの再戦となります。前回は王者ウスマンが判定勝ちしていますが、髙阪さんはこの試合どう見ていますか?
「前回はギルバート・バーンズの欠場で、試合の6日前に急きょマスヴィダルが挑戦することになったんですよね。だから『マスヴィダルの本来の動きじゃなかった』と言ってしまえばそれまでなんですけど。根本的なところで、うまく試合が組み立てられていなかったと思いました。」

――それはどういったところですか?
「マスヴィダルって、試合展開を作っていくテンポが早いんですよ。テンポが早いから、相手はプレッシャーを受けて嫌々出してくる打撃が、マスヴィダルからするとカウンターを当てやすい打撃になることが多い。ドナルド・セローニをKOした時なんかは、まさにそうでした。
ただ、前回のウスマン戦では、相手のペースで試合をしてしまった。だからこそ、マスヴィダルが言うところの『しっかり準備時間があれば倒せる』という自信につながっているんじゃないかと思いますね。」

――前回は、ウスマンがケージレスリングやテイクダウンを駆使して、マスヴィダルの打撃を封じ込めた印象を受けました。
「そうでしたね。ウスマンはマスヴィダルとは逆に、勝ちに結び付ける展開がスローなんですよ。スタミナに絶対的な自信があるので、四つに組んでスローダウンさせて、相手のペースもそこで奪う。だからこそ、前回のマスヴィダルのように本来の試合をやらせてもらえなくなる。それこそが、ウスマンの本当の強さなんじゃないかと思います。
だからマスヴィダルは、そのペースにさせないための展開づくりが必要になる。大雑把に言うと、組まれないことですよね。組んでケージレスリングに持ち込まれたら、どんどん削られて、挽回するのが難しくなりますから。そうさせずに、いかに打撃を当てていくか。ただ、距離を詰めると組まれちゃうので、そこは試合の駆け引きとして、どう戦略を立てていくかによりますね。」

——ウスマンはこのところ、ベースのレスリングだけでなく、ボクシングテクニックの向上も目覚ましいですよね?
「そうなんですよ。とくに前回のギルバート・バーンズ戦で見せたジャブですよね。ウスマンのスローな試合展開の中で、ジャブだけは異様に速い。それが相手からすると、読みづらさにつながっているんじゃないかと思います。」

——いまのウスマンは、かつてのウェルター級絶対王者、GSP(ジョルジュ・サンピエール)のようです。レスリングとジャブだけで完封勝ちするという。
「しかも前回のバーンズ戦では、オーソドックス、サウスポー、どちらの構えからでも前手のジャブが刺さっていたので、これは今までのウスマン対策を考えていた選手たちにとっては、『厄介なものを手に入れやがったな』と、思ってるんじゃないですか。」

 

ホルヘ・マスヴィダル/Getty Images

 

 

 

――ただ、マスヴィダルのボクシング技術もかなりのものです。
「そうですね。しかもジャブの刺し方やタイミングもすごくうまいんですよ。同じジャブでも二人の違うところは、ウスマンは自分のタイミングで打つんですけど、マスヴィダルはカウンターでジャブを当てていることが多い。だから異なるジャブの応酬も起こり得ると思いますね。」

——あと、マスヴィダルは、いま最も勢いのあるアメリカン・トップチームのトップ選手です。前回のウスマン戦では、名伯楽のマイク・ブラウンがコロナの陽性反応が出たことで、セコンドに就けなかったというマイナス要因もありました。
「だから今回は、何を授かってきたかでしょうね。ATTの選手は、このところカーフキックで結果を出していますけど、マスヴィダルも以前から低いローキックを効果的に使っていたんですよ。だから足技が、ひとつの突破口になるかもしれない。」

――とくにウスマンンのようなボクサー・レスラータイプの前脚を潰すにはカーフキックは有効です。
「仮に3~4ラウンドまで、マスヴィダルがカーフなりローキックなりでウスマンの脚を潰して、さらにジャブを刺してということができれば、さすがのウスマンも崩れていくかもしれない。ただ、それは大前提として、マスヴィダルが自分のピッチの速いペースでやれたらという話で、一度か二度ウスマンのペースでスローダウンさせられたら、なかなか元のペースに戻すのは大変だと思うんです。なので、この試合に関しては、どっちのペースで試合が動いていくかが大きなポイントになると思いますね。」

――では、マスヴィダルがいかにして自分の速いペースで試合を展開していけるかどうかが、まず見どころとなる、と。
「そう思います。それによって、鉄壁のウスマンを崩すことができるかどうか。今のウスマンは本当に強いですから。『盤石』という言葉はウスマンのためにあるんじゃないか、というくらいにね。もし、それをマスヴィダルが打ち崩すことができたら、またMMAという競技の進化に寄与するんじゃないかと思いますね。」

 

ヴァレンティーナ・シェフチェンコ/Getty Images

 

――『UFC261』では、女子フライ級と女子ストロー級のタイトルマッチも組まれています。この2試合のポイントも教えていただけますか?
「まず、ヴァレンティーナ・シェフチェンコvsジェシカ・アンドラージの女子フライ級タイトルマッチは、典型的な『技vs力』の戦いですよね。王者シェフチェンコは、もともとキックボクシングの世界王者で、テイクダウンや寝技もトータルで高いレベルにあるオールラウンダー。対するアンドラージは女子で随一のパワーの持ち主で、フライ級に上げてから、フィジカルがより増している感じがするんですよね。」

――前回、タイトル戦経験者のケイトリン・チョケイジアンをパワフルな打撃で圧倒しました。
「チョケイジアンをKOしたボディブローなんか、腰が入ってフィジカルで撃ち抜いているので、相当な威力だと思いますよ。だから、シェフチェンコがどう技術を使って、あのパンチをもらわないようにするかがポイントでしょう。アンドラージのほうは、いずれにしても突っ込んでいくと思うので、いかに強い打撃が当てられるか。全局面で完成されつつあるシェフチェンコを破るには、アンドラージのパワーのような、飛び抜けたものが必要じゃないかと思います。」

 

ジャン・ウェイリー/Getty Images

 

——ジャン・ウェイリーvsローズ・ナマユナスの女子ストロー級タイトルマッチはいかがでしょうか。
「技術面ではどっこいかもしれないんですけど、動き方に両者の特徴があって。ウェイリーは打撃にしてもテイクダウンにしても、前に出ながら取りにいくタイプですけど、ナマユナスはサイドステップですよね。相手の力をいなしながら、隙が生まれたところにタックルに入ったりとか、動きの質がちょっと違うので。同じ打撃の打ち合いをするにしても、ナマユナスはズラしながらやると思うんですよね。そういう動きをやられたとき、ウェイリーが対応できるかどうかがひとつのポイントになると思いますね。」

——打撃のKOパワーでは、やはりウェイリーの方が上ですか?
「やっぱり縦のプレッシャーなんで、圧力がウェイリーの方が上だなと思いますが、寝技も含めた総合的な試合ではナマユナスかなと。」

——もともと一本勝ちが多いグラップラーでした。
「元ストロー級王者のヨアナ・イェンジェイチックに打撃で打ち勝つ姿なんか、昔のナマユナスからすると考えられませんでしたからね。それだけ成長しているということでしょう。逆にストライカーのウェイリーが、寝技も含めてどこまで成長しているのか、そこも見ものだと思いますね。だから王者ウェイリーの総合力が問われる試合になるんじゃないかと思います。」

 

[取材/文・堀江ガンツ、写真・Getty Images]

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『生中継!UFC‐究極格闘技‐ UFC261 in フロリダ ウスマンvsマスヴィダル再戦!豪華トリプルタイトルマッチ』

4/25(日)午前11:00[WOWOWライブ]※生中継
(WOWOWオンデマンドで同時配信)

4/30(金)午後5:00[WOWOWライブ]※リピート
(WOWOWオンデマンドで同時配信)

【対戦カード】
・ウェルター級タイトルマッチ/カマル・ウスマン vs ホルヘ・マスヴィダル
・女子フライ級タイトルマッチ/ヴァレンティーナ・シェフチェンコ vs ジェシカ・アンドラージ
・女子ストロー級タイトルマッチ/ジャン・ウェイリー vs ローズ・ナマユナス
・ミドル級/ユライア・ホール vs クリス・ワイドマン

【出演】
解説:髙坂剛、堀江ガンツ
実況:高柳謙一

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【出演】
世界のTK/髙阪剛
格闘ライター/堀江ガンツ
名実況/髙柳謙一
謎の同時通訳/MIZUKA(天の声)
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