日本ハム・中島卓也内野手の「ファウル打ち」が、ついに米国でも取り上げられた。驚異的な粘りがしばしば話題となる特徴的な打撃スタイルについて、米メディア「ザ・リンガー」が特集記事を掲載。過去に、メジャー球団から注目を集める二刀流・大谷翔平につい…

日本ハム・中島卓也内野手の「ファウル打ち」が、ついに米国でも取り上げられた。驚異的な粘りがしばしば話題となる特徴的な打撃スタイルについて、米メディア「ザ・リンガー」が特集記事を掲載。過去に、メジャー球団から注目を集める二刀流・大谷翔平についても“大特集”を組んだ同メディアが、今回は「野球界で一番魅力的な選手には、同じくらい魅力的なチームメートがいる」とのタイトルで中島を徹底分析している。

■日ハムの注目選手は大谷だけじゃない!? 「同じくらい魅力的なチームメートがいる」

 日本ハム・中島卓也内野手の「ファウル打ち」が、ついに米国でも取り上げられた。日本国内では、驚異的な粘りがしばしば話題となる特徴的な打撃スタイルについて、米メディア「ザ・リンガー」が特集記事を掲載。過去に、メジャー球団から注目を集める二刀流・大谷翔平についても“大特集”を組んだ同メディアが、今回は「野球界で一番魅力的な選手には、同じくらい魅力的なチームメートがいる」とのタイトルで中島を徹底分析している。

 記事では、冒頭で「日本の大谷翔平は国際的な熱狂を巻き起こしているが、彼のチームメイトである中島卓也の存在は広くは知られていない。しかし、彼もまた魅惑的な選手だ―日本であろうと、海外であろうと」と紹介。右足首痛による大谷のWBC出場断念を落胆しつつ、中島も侍ジャパンを辞退していたことに言及している。

 中島については「日本以外ではあまり知られていない」存在だとして、ポスティングされる可能性も低いとしながらも、「もしかすると、日本で最も特筆すべき、唯一無二の選手なのかもしれない」と指摘。日本人選手に詳しいア・リーグのスカウトが中島のことを「典型的な火付け役選手」と形容していることや、「スピードがあり、コンタクトに優れている」こと、そして昨年の遊撃手としての守備指標が1位であったことなども伝えている。

■広島ジョンソンも証言「彼はなんとも厄介な打者だ、以上!」

 中島の選手としての特徴をさらに詳しく紹介するため、記事に登場するのが、10個の「信じられない成績」。まず、中島のキャリア通算本塁打数は「0」だが、2033打席以上で本塁打がなかった選手は、メジャーにはこれまでに5人しかいないという。

 その他にも、日本のデータサイト「DELTA」からのデータを交えて様々な数値を列挙。2016年シーズンの長打力を表す指標では、メジャー最年長選手のバートロ・コロン投手(ブレーブス)のキャリア通算と同じ数値だったこと、2016年のゴロ率74.4%が図抜けて高いこと、打球を引っ張る割合が16.2%でMLB平均の40%、NPB平均の35%を下回っていることなども特筆している。

 そして、ここからは中島の“特技”がクローズアップされている。昨季リーグ最多の62犠打を記録したが、MLBの歴史でシーズン犠打が「62」を超えたのは1917年のレイ・チャップマン(67)のみだという。さらに、「代名詞的なスキル」とされているが、代名詞の「ファウル打ち」。昨季のファウルボール数「759」という数字はまさに驚異的だ。

 中島が追い込まれてからボールをカットし、三塁ベンチに打球を打ち込む光景は、もはや札幌ドームの“名物”にもなっている。記事では「日本では中島がファウルを打つ動画が人気となっている」と紹介。そして、日本でプレーする米国人ピッチャーの証言も伝えている。

 今季も日本ハムで守護神としての活躍が期待されるクリス・マーティン投手は「彼について言えるのは、ファウルを打って球数をかけさせること」と話し、昨季限りで退団したアンソニー・バース投手も「彼は今まで見てきた誰よりもファウルを打つ」と語っているという。また、日本シリーズで日本ハムと対戦した広島のクリス・ジョンソン投手も、同メディアのメールでの取材に対して「彼はなんとも厄介な打者だ、以上!」として「四球を選ぶまで、全球ファウルを打とうとしている」と返してきたというのだ。

■「我々は彼を愛し、価値のある野球選手と認めざるをえない」

 その他にも「2ストライク時にスイングしてのファウル率74.7%」「1打席あたりの投球数4.54」など、中島のプレースタイルは特徴なデータに表れていると分析。メジャーにはいないタイプの打者だけに、同メディアは興味津々といった様子だ。

「まとめると、彼は直球を打てず、飛球も少なく、打球を引っ張ることもなく、アウトをバントで献上する存在だ。しかし、それら全てに関わらず我々は彼を愛し、価値のある野球選手と認めざるをえない。他の誰とも比較できない存在なのだ」

 このように称賛し、「もし中島がMLBでこのファウル打ちを実践すれば、マンフレッド・コミッショナーは試合時間のスピードアップのため中島を出場させなくなるであろう」と、試合時間短縮に力を注ぐ現MLBコミッショナーの方針に“逆行”する存在だと冗談交じりに指摘。最後に、現ロッテのジェイソン・スタンリッジ投手の「彼は唯一無二だ。あんなことを今までにしてきた選手は、他には思い出せないね」というコメントで締めくくっている。

 中島の「ファウル打ち」の動画が海を超え、米国の野球ファンをうならせる日も遠くないかもしれない。