強豪ペアのテクニック&戦術にうまくなるヒントがある!ダブルスのエキスパートであ…

強豪ペアのテクニック&戦術に
うまくなるヒントがある!

ダブルスのエキスパートである佐藤哲哉氏が、世界の第一線で活躍している男子ダブルスの強豪ペアを取り上げ、その得意な戦術やテクニックを詳しく解説。男子ダブルスの魅力をたっぷり紹介しよう。

※解説/佐藤哲哉: 1991年、92年、93年、95年の全日本テニス選手権大会男子ダブルスチャンピオン。91年と92年にはデビスカップで松岡修造とダブルスを組んでいる。現在はダブルスのスペシャリストとしてジュニアから一般まで幅広い層を指導
※『テニスクラシック・ブレーク』2018年8月号に掲載したものを再編集した記事になります


テーマ:男子ダブルスの世界を知る《前編》

【1】常に進化している男子ダブルスの戦い方

男子ダブルスは、男子シングルス同様に過酷な世界です。1年を通して世界各地で大会が開かれていますし、ランキングで評価されるのはシングルスと変わりません。

しかしながら、プロのダブルスに興味を持っているテニスファンは多くない…というのが私の実感です。そこで、今回からダブルスの最新技術を紹介することで“ダブルスの魅力”を少しでも多くの方に伝えたいと考えています。

最初に取り上げるのは、皆さんに知ってほしい“男子ダブルスの世界”です。厳しい世界を戦い抜いて頂点を目指す彼らにとって、戦術やテクニックのバージョンアップは欠かせません。今日通用した戦術やテクニックも、明日には通用しないかもしれないのです。例えば、かつてサービスゲームではサーバーが必ずサーブ&ダッシュしていたものですが、今ではサーブを打ってもベースラインにとどまり、雁行陣対雁行陣の戦いになるケースも増えてきました。

このように、男子ダブルスの戦い方は常に進化しています。その最新テクニックは、一般プレーヤーの方にとっても、きっと今のレベルをワンランクアップさせるための大きなヒントになるはずです。



今日通用した戦術やテクニックも、明日には通用しないかもしれないダブルスの世界


【2】シングルス同様にダブルスにも“最終戦”がある

皆さんはダブルスの世界にも「ATPファイナルズ(=シーズン最終戦)」があることをご存じでしょうか? 最終戦は、ダブルスランキングの上位8ペアを集めて毎年11月に開催されます。

多くの方は、最終戦はシングルスしかないと思っているようです。しかし、実は並行して「ダブルスの世界No.1ペア」も決められているのです。上位8ペアが総当たり戦を行ったのち、上位4ペアによるトーナメントが行われます。

双子の兄弟として知られ、日本にもファンの多いボブ・ブライアン/マイク・ブライアン(ともにアメリカ)のペアは、この最終戦で過去4度優勝しています。


日本でもよく知られているブライアン兄弟。昨年ツアーからの引退を表明


【3】1975年から始まった最終戦に
最多優勝しているマッケンロー/フレミング

男子ダブルスの最終戦が始まったのは1975年。開催場所はスウェーデンのストックホルムでした。その後、ヒューストン、ニューヨーク(ともにアメリカ)、ヨハネスブルク(南アフリカ)、上海(中国)などと会場は移り、2009年からはイギリスのロンドンが戦いの場になっていました(今年から2025年まではイタリアのトリノで開催される予定)。

過去のチャンピオンペアの中で、際立った戦績を誇るのがアメリカのジョン・マッケンロー/ピーター・フレミングのペアでしょう。1978年から84年まで7連覇を達成した強豪ペアです。“元祖悪童”マッケンローの変幻自在なプレーとフレミングの圧倒的なサーブは今でも忘れられません。特にマッケンローはシングルスでウィンブルドン3勝、全米で4勝している選手で、スウェーデンのボルグと並んで圧倒的な人気がありました。

試合観戦というと、とかくシングルスに関心が集まりがちです。しかし、ダブルスのプロ技も必見です。今はスマートフォンなどで簡単に見ることができる時代になりました。興奮間違いなしの男子ダブルスをぜひご覧ください。


2015年に優勝を飾っているロジェール(オランダ)/テカウ(ルーマニア)のペア。彼らは同年のウィンブルドンも制した



ブライアン兄弟が初優勝した2003年から昨年までのチャンピオンペアの面々。同兄弟は14年に4度目の優勝を果たしており、長期間にわたってトップレベルを維持していたことがわかる。また、カナダのネスターはペアを替えて4度優勝を飾っている。パートナーを替える選手の典型的な例だろう


【4】プロでパートナーチェンジは当たり前

シーズン後半になってくると、上位ペアは最終戦を意識し始めます。自分が持っているポイントとランキングを見て、「あとどれくらいポイントを取れば最終戦に出られるのか?」と計算するのです。

すると、おもしろい現象が起こります。それは、それまで組んでいたペアを解消して新しいパートナーを探す選手が現れることです。中には、過去に解消したペアが復活して活躍しているケースも見られます。ダブルスの世界では、誰かがペアを替えると周囲のプレーヤーも影響されて替えていく傾向があるようです。

プロの世界では、ペアの解消は珍しいことではありません。たとえ最終戦に出られなかったとしても、翌年のシーズンでランキング上位を目指して新しいパートナーを探す選手はたくさんいます。実は、そこが私のようなダブルスファンの楽しみとなっています。「今年は誰と誰が組むのだろうか?」と。また、どうして2人は組むようになったのかを考えるのも楽しいものです。


プロの世界でペアの解消は珍しいことではない。むしろランキング上位を目指して新パートナーを探す選手は多いと言える


<男子ダブルスの世界を知る《後編》に続く>