2019年に「ATP1000 モンテカルロ」でマスターズ1000大会初優勝を果たし、現在も世界ランキングでトップ30の位…
2019年に「ATP1000 モンテカルロ」でマスターズ1000大会初優勝を果たし、現在も世界ランキングでトップ30の位置をキープしている33歳のファビオ・フォニーニ(イタリア)。今年のモンテカルロ大会ではベスト8に終わり連覇はならなかったが、現在は「ATP500 バルセロナ」(スペイン・バルセロナ/4月19日~4月25日/クレーコート)に臨んでいる。スペインで長く暮らすフォニーニが、自身の第二の故郷であるスペインへの想いやビッグ3の凄さ、新型コロナウイルスのワクチン接種などについて、スペインのニュースメディアAS紙のインタビューで語った。【動画】調子に乗ると本当に強いフォニーニ
Q:スペインへの想いはどの程度特別なものか?
「僕はキャリアの半分以上をスペインで過ごし、同国には良いコーチ(現在は関係を解消しているホセ・ペルラス氏)もいた。僕にとっては第二の故郷だけど、テニスでは第一の故郷だと思っているんだ。18歳でバルセロナに住むことになった。バルセロナには家があり、そこで子どもたちが生まれた。この国と街は、僕の心の中で常に重要な位置を占めているよ」
Q:現在のコンディションは?
「(昨年の)アメリカのツアーでは、自分ではコントロールできない理由でひどい目に遭った。アカプルコとマイアミでは、期待していた結果が得られなかった。実はウイルス性胃腸炎で腹痛がひどかったんだ。また、新型コロナにも感染したし足首の手術も受けて、ベストな状態ではなかったから、今の自分がどのレベルにいるのかもよくわからないね」
Q:今後はどのようにキャリアを送っていくのか?
「僕は毎日、毎週のようにトーナメントに参加しているけど、20歳の時よりも大会数は少なくしていきたいね。なぜなら、今は肉体的に回復するのが難しく、精神的にも家族を家に残して転戦するのが難しいから。今でもモチベーションはあるし、ツアーで戦う気力もあるけど、ランキングは自分にとってはどうでもいいかな」
Q:グランドスラムでの成績を向上させたいと考えている?
「怪我がなく、モチベーションが高く、まだツアーで転戦したいと思えるかどうかによるかな」
Q:ビッグ3と同じ時期を過ごしてきたことは、不幸だった?それとも幸福だった?
「それは両方だね。僕が一緒に過ごしてきたあの3人(ロジャー・フェデラー、ラファエル・ナダル、ノバク・ジョコビッチ)がいない状態でいつかプレーできるなんて、若い選手たちはとてもラッキーだと思うよ。僕はグランドスラムの2週目に残った時、まるで準決勝や決勝に進んだかのように喜んでいた。でもそこからは、ビッグ3の誰かやアンディ・マレー、フアン マルティン・デル ポトロ、スタン・ワウリンカなどの選手と対戦することになる。そうした歴史に燦然と名を残すような人たちと同時期にプレーできたのは幸運だけどね。不幸なのは、良い結果を残すためには、信じられないようなことを起こさなければならなかったことだね」
Q:イタリアのテニス界では多くの選手が活躍していることをどう思う?
「イタリアには非常に能力の高い選手がいて、中にはとても若い選手もいる。今後どうなるかはわからない。数年前には女子選手がランキングで高い位置にいたけど、今度は男子が活躍する番だね」
Q:男子ツアーで組織の問題が起きているが、あなたはATPとジョコビッチ(が設立したプロテニス選手協会PTPA)のどちらを支持する?
「僕は誰の味方でもない。一番好きなこと、とにかくプレーをしたいだけだ。僕はただのファビオで、これからもずっとそうあり続けるだろう」
Q:新型コロナウイルスのワクチン接種を受ける予定は?
「僕は以前感染して、家族全員が大変な思いをしたから、接種しておこうと思っている。世界の状況は悪く、多くの人が亡くなり、経済も苦しいから、ワクチンが早く広まることを願っているよ」
Q:バブルで隔離されながらのテニス生活はどう?
「正直言って、心地は良くないね。僕には隔離されることがとてもつらいことで、好きではない。でもその一方で、無観客だから賞金が減ってなかなか稼げなくても、コートでプレーできるのはラッキーなことだと感じる。バブルの中では多くのルールに縛られている。もう少しオープンになって、僕たちプレーヤーがもっといきいきと過ごせて、人生を複雑にしないで済むかどうかを見ていくしかない」
Q:(自分のプレーをより良くするために)参考にしていた選手はいた?
「子どもの頃はピート・サンプラスの他、カルロス・モヤ、フアン カルロス・フェレーロ、ダビド・フェレールのようなスペイン人の選手が好きだった」
Q:あなたが一度も勝てなかったフェレールはどんな能力を持っていたのか?
「僕はフェレールに殺されたんだ。彼には11回も負けた。でも会えば話は尽きない。(2016年の)“全米オープン”では、第5セットを取り切れる寸前までは頑張れた。彼の存在には悩まされたね。彼は体調が良い時はまるで動物のようで、バックハンドを全くミスしなかった。とても大変だったよ。パブロ・カレーニョ ブスタとは、(初勝利を収めた)“ATPカップ”まで0勝7敗でスタートしたけど、どれも非常に苦しい試合だった。でも、フェルー(フェレール)は...大嫌いだったよ(笑)」
Q:(あなたは)コート上では気難しいが、オフコートではその人柄の良さで知られているね。
「僕が引退する時には、オフコートでも、そして何よりコートの中でも、ファビオ・フォニーニであったと満足して言える。人それぞれに個性があり、振る舞い方も違う。これまでに犯してきた過ちの対価は払ってきた。でも何も後悔はしないだろう」
Q:多くの人からプレースタイルを評価されていることを誇りに思う?
「選手それぞれにスタイルがある。誰かに好かれることもあるし、他の誰かはそうじゃないかもしれない。あなた(インタビュアー)がクリスティアーノ・ロナウドのことを好きで、僕がメッシを好きみたいな感じだね。受け入れないといけない。自分の中に炎がある限り、僕は戦い続けるよ」
(テニスデイリー編集部)
※写真は「全豪オープン」でのフォニーニ
(Photo by Clive Brunskill/Getty Images)