KKT杯バンテリンレディス最終日、大会新通算14アンダーで初V 女子ゴルフの国内ツアー・KKT杯バンテリンレディスは18日、熊本空港CC(6501ヤード、パー72)で最終日が行われた。2打差の4位で出た19歳の山下美夢有(みゆう・加賀電子)…

KKT杯バンテリンレディス最終日、大会新通算14アンダーで初V

 女子ゴルフの国内ツアー・KKT杯バンテリンレディスは18日、熊本空港CC(6501ヤード、パー72)で最終日が行われた。2打差の4位で出た19歳の山下美夢有(みゆう・加賀電子)が7バーディー、1ボギーの66で回り、2位に5打差をつける大会新の通算14アンダーでツアー初優勝。小さい頃、ゴルフにつれていってくれた父に感謝の言葉を伝え、マナーを徹底的に教えられた少女時代について明かした。

 山下の頬は涙で濡れた。優勝インタビュー。こみ上げる思いを問われたが「すみません……」と言葉にならず。身長150センチの小さな体にもグリーンジャケットはピッタリ。ドライバー平均飛距離は240ヤードくらいだが、高精度のショットやアプローチで戦い抜いた。「支えてくださった人に『本当にありがとう』という言葉を伝えたいです。父もそうですが、たくさんの方が支えてくれたので感謝の気持ちでいっぱいです」と19歳は初々しく会見で語った。

 大阪・寝屋川市出身で、ゴルフを始めたのは5歳から。父・勝臣(まさおみ)さんについていった時、ボールを打つ感覚に夢中になった。父は指導もしてくれるが「スコアでは怒らない」と、のびのびと育てられた。一方、ゴルフのマナーは厳しく教えられた。

 小学生時代に家族でラウンドした時のこと。山下はバンカーからのアプローチを「ホームランした」と大きくオーバーした。キャディーは「(整備は)やっておくからいいよ」と言ってくれたが、幼い少女はイライラ。「ガンッ!!」。その場でクラブを叩きつけた。すぐさま父の雷が落ちた。

「自分のミスやろ。なんで人に当たんねん」

「美夢有」の由来は「そのままです」

 ゴルフは自己責任のスポーツ。大人にとっては当たり前かもしれないが、人を気遣い、真摯に振る舞う大切さを幼い頃から学んできた。「いろいろありますが、『なんで人に当たんねん』と父に言われたのは今でも覚えています。小さい時から悪い部分をしっかり修正してくれていた」。同じマネジメント会社に所属する男子ツアー通算48勝の中嶋常幸に指導を受けるが「悪くなった時は父にも聞いています」と欠かせない存在だ。

 母・有貴さんから一字取った「美夢有」の由来は「美しい夢が有る。そのままです」。昨年2勝した笹生優花(ICTSI)に続き、2001年度生まれ2人目の優勝者。笹生について「いいライバル」と刺激を受けつつも「追いついたとは思わない」と謙虚に語る。

「シード権獲得と優勝が目標だった。達成できたので、また目標を立てて次の試合に臨みたい。2、3勝とできるように頑張っていきたい」。またもゴルフ界に生まれた若きニューヒロイン。身長150センチの体に夢を込めて上を目指す。(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)