日本男子テニス界のレジェンド44歳の鈴木貴男がついに現役引退デビスカップ日本代…

日本男子テニス界のレジェンド
44歳の鈴木貴男がついに現役引退

デビスカップ日本代表として歴代最多となる41勝を挙げた鈴木貴男(Team REC)が、4月11日に行われた「Japan Premium Tennis Tournament 盛田正明杯」の準決勝に登場し、全日本選手権覇者の中川直樹(橋本総業HD)を相手に、現役ラストマッチとしてシングルスを戦った。試合は2-6で敗れたものの、「今の中でのベストなパフォーマンスができた」と鈴木が言うように、サーブ&ボレーやリターンダッシュなど最後まで“鈴木らしい”攻撃的なプレーを披露した。

【画像】現役ラストマッチ&引退セレモニーの様子はこちら

試合後の記者会見で、「自分としてはスッキリしている」と笑顔を見せた鈴木。「決めていたのは、シングルスで終わりたいということ。シングルスの駆け引きが好きで、デビスカップでもツアーの中でも、一対一で勝負することにこだわってやってきた。その点についてチームに理解してもらい、こうして戦う場を設けてくれたので本当によかった」とチームへの感謝の気持ちを述べていた。


「ボールを打つ音がするとテニスをやりたくなる」というぐらいテニスが大好きだと笑顔を見せた鈴木貴男

また、会見で印象に残っている試合について聞かれると、悩みながらも「全豪オープンでのフェデラー戦になるんでしょうね。日本人だけでなく、世界中の多くのテニスファンの人に鈴木貴男を知ってもらったし、試合の内容もよかった。僕の中では一番になるのかな」と当時の世界ランキング1位、ロジャー・フェデラー(スイス/世界ランク7位)と対戦した2005年全豪オープン2回戦を挙げた。

この試合では、柔らかなネットプレー、そしてネットダッシュするために適度にスピード・コントロールされたスライス・アプローチで確実にフェデラーからポイントを奪っていった鈴木。鈴木がどのようにネットでポイントを取るのか、それをフェデラーがいかにパッシングで封じ込めるのかという試合展開で、そうした試合展開は見ている人たちをワクワクさせた。結局フェデラーがストレートで勝利したものの、フェデラーは試合後、「エンターテイメント性の高い、いい試合だった。タカオのネットでのボレー、スライス・アプローチは素晴らしく、パッシングで抜くためには自分のベストのプレーをしなければならなかった」と振り返っている(テニスクラシック2005年3月号より)。


2005年全豪オープン2回戦でのフェデラー戦。センターコートのナイトマッチという、その日、最も注目される試合として行われた


今後はコーチングをメインに活動
「現在はオファーを待っている」

ここ数年は、試合の解説やイベントやクリニックなど幅広く活動してきたが、今後はコーチングをメインに活動すると決めているという。すでに杉田祐一(三菱電機)や内山靖崇(積水化学工業)のコーチを務めるなど、コーチングの経験も積んできている。

現在は選手からのオファーを待っている状態で、「オファーによっては、年間や数ヶ月などさまざまなケースがあると思う。また、男子選手をコーチングすることになるのか、女子選手なのか、あるいはジュニアの選手なのか、どのような形になるかまだわかりません。けれど、どんなオファーがきても“僕は準備ができていますよ”ということを今は伝えたいです」と、実際に5月の中旬以降は予定をまったく入れていないという。

「体が続く限りコーチングをやっていきたい」と意気込む一方、「自分がやっていて楽しいと思うことをやらないと、おそらく続けられないと思う。コーチングをメインとしながらも、テニスを楽しんでやっていきたい。ここは変えたくない」とも強調した鈴木。これまでの豊富な経験や知識から、鈴木がプレーヤーに伝えられるものはたくさんあると思うが、テクニカルな面だけでなく、”テニスの楽しさ”についてもぜひ後進に伝えていってもらいたい。