専門誌では読めない雑学コラム木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第299回 ゴルフを長くやっている人は、練習場~コース~自宅の流れから一歩外れたところに、自分の居場所を見つける傾向があります。「男の隠れ家」とでも言うのでしょうか。そこで、スキル…
専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第299回
ゴルフを長くやっている人は、練習場~コース~自宅の流れから一歩外れたところに、自分の居場所を見つける傾向があります。
「男の隠れ家」とでも言うのでしょうか。そこで、スキルアップとは別な観点で、心身をリラックスさせたり、共通の趣味を通じて友人との親睦を深めたりしたいと思うわけです。
今回はみなさん、どんな"隠れ家"を持っているのか、探っていきたいと思います。まずはよくあるこんな例からです。
(1)ゴルフバーの類
"ゴルフバー"というカテゴリーがどうなっているかわかりませんが、オーナーがゴルフ好きで、看板を「バーディー」「イーグル」「アルバトロス」「ゴルフ72」「フロントナイン」「バックナイン」など、ゴルフ用語を使った名前にしている店が結構あります。
こうした場合は非常にわかりやすく、やってくるお客さんもゴルフ好きが多く、そこでゴルフ談義に花が咲く、というものです。お客さんが次第に増えて、お客さん同士でも盛り上がってくると、お店主催のコンペなどが開かれ、たくさんのゴルフ好きが参加します。
かつて私も、六本木にあったオシャレなアクアリウムが設置してあるバー主催のコンペに参加したことがあります。参加者の中には、有名芸能人もいたりして、店のオーナーの顔の広さに驚きました。
しかも賞品が豪華でした。お酒関係と食べ物関係が多かったですけど。出入り業者さんの協賛なんでしょうね、参加賞からして豪華でしたもの。参加して損はない感じでした。
そうして、2次会はそのお店を使って行なわれ、結構なお金を落とさせられました。ゴルフバーから見れば、強力な営業ツールだったのですね。
その他、地方ではゴルフに関した看板じゃなくても、ゴルフ好きが集まってわいわいやっている飲み屋やバーがあったりします。大人が公に遊べるレジャーで、年齢、性別に関わらず楽しめるものとしては、ゴルフが一番ピンとくるからでしょう。
(2)行きつけのショップ
今はゴルフ量販店が全盛で、安く買えるのはうれしいのですが、お店の雰囲気は今ひとつですね。
昔はゴルフショップなるものが青山や広尾あたりにあって、お金持ちがふらっとやって来て、ショップのオーナーや店員さんたちとゴルフ談義に花を咲かせたものでした。
広尾にあった「M」というお店は、関連会社が18ホールのゴルフコースまで持っていましたから、羽振りがよかったですよ。たまに寄ってクラブなどを買っていました。
その際、一番びっくりしたのは、プロレスラーのジャイアント馬場さんが来店された時に遭遇したことです。あんな2mもの身長があって、どんな長いクラブを使うのだろうかと思って、興味津々で見ていました。
あとでショップの支配人に聞いたら、クラブのサイズは市販品と一緒なんだそうです。その話を聞いて、なんか可愛いな、と。大きな体の方が小さいクラブを使っている姿を想像して、「"逆一寸法師"みたいかも」と思ったりして......。実際はどんな感じなのか、ジャイアント馬場さんのショット、見てみたかったなぁ~。
自らの
「隠れ家」でゴルフ談義に花を咲かせられる日が早く来るといいですね...。illustration by Hattori Motonobu
そんなこんなで、一流のゴルフショップでは、クラブをオーダーして買ったり、ゴルフ場の会員権が購入できたり、お店の仲間と海外ゴルフツアーに行ったりと、古き良き時代のサロン的なたまり場が形成されていたんですな。
まあでも、大手量販店にも試打ブースや工房がありますから、そこに通うのはありかなと思います。
(3)ゴルフ倶楽部のサロン
名門ゴルフ場のサロンには、本物の暖炉があって、なぜかボトルキープができるシステムがあります。ラウンドを終えたあと、そこでスコッチやブランデーをグイッと飲むんですよね。
メンバー専用のラウンジを設けている倶楽部もありますから、選ばれし者として、そこで一杯やるのもまた格別でしょう。
そもそも倶楽部は、メンバーの親睦の場です。だから、メンバーにとってはクラブハウスが"男の隠れ家"となるわけですね。
だいたい、お金持ちのお爺ちゃんメンバーとか、ラウンドを終えてから銀座や六本木まで繰り出す体力はありません。しかも、眠いし。そのため、倶楽部で一杯やるのがちょうどいいのです。
その後は、息子や秘書が代わりに車を運転してくれたり、ハイヤーを頼んだりして、家に帰るというわけです。
(4)インドアスタジオ
最近脚光を浴びているのは、インドア型のゴルフ練習場です。ネットまでの距離はほんの数メートルですが、最新の弾道解析システムにより、自分の打ったショットがどんな球筋なのか、科学的に分析してくれます。
練習場に行くのはたいてい休みの日が多いのですが、ゴルフスタジオは通勤の帰りに寄れるので、1年を通じて利用可能。そういう意味では、使い勝手が非常によろしいのです。
会員になれば、平日は使い放題のサブスクプランもあったりして、"隠れ家"としての利用価値もすこぶる高いです。
また、単にボールを打つだけのスタジオとして注目されているのが、フィットネスクラブのドライビングレンジです。
そこは、高級な弾道解析マシンの設置は少ないのですが、ジムやサウナ、ジャグジーなどがそろっている施設なので、使い出は相当あります。
貸しクラブで打つのが嫌、という方には向いていないかもしれませんが、そこは、貸しクラブだからこそ、新しい発見や自分の癖が発見できる、という発想に切り替えて利用すべきでしょうね。
(5)ネオン街のゴルフバー
以前、六本木にゴルフウエアを身にまとった女の子を集めたガールズバーがありました。サンバイザーをかぶって、ポロシャツにキュロットスカートといった姿で接客するのですが、そこそこ人気でした。
接客している子たちはほぼゴルフをやっていませんでしたが、大きな液晶画面には絶えずPGAツアーの映像が流されていて、雰囲気はありました。
ただ、女の子はゴルフを知らないからゴルフの話はできませんし、そこに来たお客さん同士でゴルフの話をするのもおかしなもの。ならば、ゴルフ好きがそこで飲まなくてもいいのでは? と思ったりもしました。
けど、ゴルフ好きと夜のネオン街好きは、妙にかぶることがあり、こういうマーケットもありだったかな、と。
そういえば、この原稿を書いている最中、久しぶりにゴルフをして、みんなで一緒に電車で帰ろうとしました。ところが、最寄り駅に到着したら、事故で電車が止まっているとのこと。
じゃあ、仕方がない。電車が動くまで、駅前の店で飲んで待つか、となった次第です。
これがまた、結構楽しい。これもひとつの"男の隠れ家"だったのですね。
コロナが明けて、景気が本格的に戻ってきたら、どこかに"隠れ家"を見つけて、わいわいやりたいなと思っています。