専門誌では読めない雑学コラム木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第298回 過去1年ほどにわたって、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、ゴルフコンペなるものがほとんど消えてしまいました。 その間、新たな出会いはもちろんのこと、年に一度はお会いし…
専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第298回
過去1年ほどにわたって、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、ゴルフコンペなるものがほとんど消えてしまいました。
その間、新たな出会いはもちろんのこと、年に一度はお会いしていた人とも会うことなく、黙々と少人数の仲間内だけでゴルフをやってきた、という人が多いかと思います。それもストイックではありますが、今年の春ぐらいからは徐々にコンペ復活の狼煙が上がってきそうな雰囲気があります。
というわけで、コンペやクラブ競技での楽しみ方を考えていきたいと思います。
◆コンペを楽しむ
最近のゴルフコンペのルールは、偶然性が多分にある「新ペリア方式」でのスコア集計が主です。
これは大まかに言うと、18ホールの中に12ホールの隠しホールがランダムに配置されて、そこで叩くとハンデが余分にもらえるというものです。隠しホールというだけあって、どのホールで叩くとハンデが余分にもらえるかはわかりません。
そんな「新ペリア方式」では、統計的に80台中頃から90台前半の人が強いかなぁ、と。でも、同じ80台のスコアでも、優勝する人がいれば、20位ぐらいの人もいます。そこはもう割り切って、隠しホールは意識せず、自分のゴルフをするのが望ましいです。
では、スコア集計以外のコンペを楽しく過ごすための、セッティングやルールについても少々触れていきましょう。
コンペではいろんなレベルの人が楽しめるように、ローカルルールとして「スルーザグリーン6インチプレース」を採用するのが一般的です。これは、ライが悪い時などに15㎝ほど、好きにボールを動かしていいルールです。
ボールはだいたい丸いので、草のない部分に転がりやすく、打ちづらいところに止まっている場合が多いです。それを解消するルールで、初心者にとっては非常にありがたいルールと言えます。
じゃあ、80台狙いの、結構やり込んでいるゴルフファーはその際にどうするのか?
これは、本人が決めればいいのです。日頃からノータッチで打っているなら、ノータッチでやればよろしいかと。それで、たまにディボット跡などにボールがあった場合、「そういえば、今日は6インチ動かしていいんだよね?」と、わざとらしく周りに聞こえるように言って、ボールを6インチ以内の程よいところに動かして打てばいいだけです。
上級者が毎回ボールを動かすのも変でしょ? ハーフに1回ぐらい動かすのがスマートでよろしいのではないですか。
あと、過去にも最大スコアの話を何度かしましたが、コンペでは最高に叩いた時のマックスのスコアを予め決めることができます。これは、R&A(英国ゴルフ協会)が決めたことですから、どんどん採用したほうがよろしいと思います。
例えば、ダブルカットにするなら、パー3のショートホールの場合、2倍の「6」までとして、それ以上はカウントしないというものです。バンカーから抜け出せずに苦しむ人の救済策という点においても、とても有効なルールだと思います。
けど、そういうお助けルールは、さほどうまくない人が助かるわけで、コンペの幹事連中に、そのありがたみが伝わっているかどうかは甚だ疑問です。
というのも、コンペの幹事というか主催者は、大抵ゴルフ好きが多く、下手な人の苦しみをさほど理解していないからです。コンペのルールやニギリは、常に強者が勝手に決めるもの、と理解しておいたほうがいいでしょう。
しかし今は、弱者がモノを言える時代です。下手な人が「優しいルールにしよう」と言ってもいいのです。
ただ、結果的には「生ぬるい」などと言われて、却下されがち。そこは、コンペに参加する若い女性などが「優しいルールがいいわね」とさりげなく言っていただけると、主催者も考慮して、円滑にことが進むかもしれません。
●ドラコンやニアピンについて
コンペが5組ほどで行なわれていて、自分は2組目であるにもかかわらず、ドラコンのホールにやって来たら、すでに遥か先にドラコンの旗が立っていた......ということはありませんか?
コンペが始まったばかりなのに、「もう250ヤードもドライブかよぉ~」といった具合で、これじゃあ、打つ前から諦めモードになってしまいますよね。万が一、ナイスショットをしても到底追いつけないですから、「ぜんぜん楽しくないじゃん」と。
こうした状況を回避するにはどうしたらいいのか。これぞ、幹事の腕の見せ所です。ドラコンを取りそうな飛ばし屋は、なるべく最後の組に入れればいいのです。
さすれば、2組目で早々にチャンスが消えることなく、1組目の誰かがへなちょこスライスでフェアウェーに置いたボールから、一応「ドラコンの権利あり」として、その人の名前が旗に刻まれます。以降、2組目、3組目......と、大してうまくない人も「夢を見ることができる」のです。
コンペでは、ひとつの組にビギナーばかり集めてラウンドさせると、トラブルの対処などもスムーズに運ぶことができず、進行上の遅れが生じる可能性が大いに考えられます。だから、年配のベテランや上級者を各組に入れておくことも大事です。
そうなると、ニアピンにおいては1組目からそうしたベテランや上級者がピンに寄せてくるかもしれません。とはいえ、ニアピンはドラコンと違って、誰でもまぐれでピンに寄せてくる可能性があります。それゆえ、ニアピンを面白くするために上級者を後ろの組に配置する、ということは考えなくても大丈夫です。
コンペにおいては、どんな組み合わせにするかが、幹事の腕の見せ所と言えますね。illustration by Hattori Motonobu
ただ、ドラコンに関しては、マグレでも絶対に届かない領域ってものがあります。だから、飛ばし屋だけは後ろの組に配置しましょう。
そうやって、いろいろと配慮して組み合わせ表を作り上げると、コンペ当日に「オレ、今日用事があって、早く帰らなければいけないんだ。最初の組に入れて」なんて、飛ばし屋が言ってきたりします。
これも、コンペの"あるあるネタ"ですね。結果、ドラコンは本人不在の表彰となったりして......。
◆クラブ競技を楽しむ
憧れのゴルフ倶楽部に入会して「競技生活を始めよう」と思っている方も多いかと存じますが、いざ始めると、いろいろと緊張することが結構あります。
まず競技は完全ホールアウトなので、通常のオーケーありのゴルフより、全員1打余分に時間がかかると理解してください。そのため、ハーフで3時間ぐらいかかることがざらです。
実際、自分が在籍していたクラブ競技がそうでした。特に午前中はみんな緊張しているので、丁寧にプレーするから滅茶苦茶進行が遅かったです。
ですから、競技初心者はそのノロノロペースにイライラしないこと。最初のうちは、そのあたりに気をつけましょうか。
ハンデキャップについては通常、ラウンドしたスコアカードを6~10枚ほど提出してクラブハンデを取得。それから、競技にエントリーします。
そのスコアカードの出し方ですが、自分をよく見せたいのか、なぜか成績がいい時のスコアを出したがる人が多いです。「110」も叩いた時なんて、絶対にスコアは提出しない。「あれは、本当の自分ではない」「常に100を切っているのが、本来の自分の姿だ」とね。
気持ちはわかりますが、せっかく110も叩いたのなら、そのスコアを出せばいいのです。そうすれば、ハンデはたんまりいただけますから、限りなく入賞のチャンスが広がりますよ。
そういうのは「卑怯だ」と思う方もいるかもしれませんが、入賞のチャンスが巡ってくるのは、初めてハンデをもらってから2~3年のうちに1回あるかどうか。1回入賞すれば、もちろんハンデは削られます。その後は当然、入賞しづらくなります。
というわけで、クラブ競技参加に向けては、恥でも多いスコアカードを提出して、"実を取れ"ということです。
競技参加者が約100人として、月例競技で優勝する確率は100分の1。年間12回月例があるとして、100人が平等に優勝するまで、約8年かかります。なかには、何回も優勝する人がいるので、一生に1回、月例で優勝できたら御の字です。
競技開始3年以内がヤマです。そこでスタートダッシュを決められれば、末永く楽しい倶楽部ライフが待っていますよ。