3.28後楽園ホールでKO-D無差別級王者 秋山準に挑戦する樋口和貞。昨年1月に結成したユニット「Eruption」では、一時期KO-D6人タッグとKO-Dタッグの2冠王として君臨。今回チャンピオン秋山から指名を受けて約3年ぶりの挑戦となる…

3.28後楽園ホールでKO-D無差別級王者 秋山準に挑戦する樋口和貞。昨年1月に結成したユニット「Eruption」では、一時期KO-D6人タッグとKO-Dタッグの2冠王として君臨。今回チャンピオン秋山から指名を受けて約3年ぶりの挑戦となる。満を持してKO-D無差別級王座に挑む樋口に話を聞いた。(後編)


<前編はこちら


--以前の取材時、怪我から復帰した際115kgあった体重を100kg前後に落とし、その後105kgに増やしたと伺いました。現在の体重は、いかがですか?
樋口:105kgで留めています。欠場明け、体重が減ったことで動くスピードが速くなりました。ただ105kgを超えると膝への負担が増え、動きが遅く感じるのでキープするようにしています。力士時代も105kgでした。ちょうど1番動けるのが105kgなのかと改めて感じますね。

--わずかな体重の変化が、動きに及ぼす影響が大きいのですね。ところで2021年1月後楽園でのKO-Dタッグ戦、CIMA・高尾蒼馬組を迎えました。
樋口:ベテランのCIMAさんは百戦錬磨の選手。緩急使い分けて攻めてきます。ただ高尾さんはCIMAさんに憧れ、学生時代BIMAと名乗りリングに上がっていました。憧れていたCIMAさんとタッグを組み、ベルトに挑戦している高尾さんの気持ちに隙があるように感じました。だから隙をつかれて坂口さんにスリーパーを極められた。
仮に高尾さんもCIMAさんと同じように、「ベルト獲り」をもっと強く念頭に置いて戦っていたら結果が変わったのかもしれません。

--そして翌月は、今勢いのあるDDTサウナ部(The37KAMIINAに改称)の竹下・MAO組とのタッグ戦でした。MAO選手は何が飛び出すか分からないエキセントリックなプロレスラーですよね。
樋口:エキセントリック…たしかに掴みどころがなかったですね(苦笑)。
挑戦表明の時、勝俣さんに連れられた竹下とMAOがリングに上がり、やる気があるのかどうか分からなかった。「お前ら本当にやる気あるの?」と。前哨戦も「そんな気持ちじゃ俺たちに勝てねぇよ」と思い戦いましたね。そして次第に相手も気持ちが上がってきた。名古屋ではお互い一つ上の気持ちで戦えました。
DNAの頃からMAOは、気持ちがリング上の戦いに反映されるレスラーです。気持ちが上がればビシッと試合をする。最初はそれが見えなかった。自分と坂口さんが「気持ちの部分」でタイトルに挑戦するだけのモチベーションなのかどうかを投げかけていました。ただ気持ちが上がった時の竹下とMAOは脅威でしたけど。
元々EruptionはDDTの中で、これまであった良いものを残しつつ新しいものを取り入れてやっていこうと思い始めました。若い世代からDDTサウナ部のように新しいものが生まれてきたのは、我々の行動が繋がっているのかな?と思うこともあります。
2,3年前は良い意味でも悪い意味でもユニットが安定していた時期がありました。だから自分たちEruptionは、そこに切り込んでいった。口火を切ったのはEruptionだと思っています。

--Eruptionは、元々どういった経緯でスタートしましたか?
樋口:自分が坂口さんに組ませて欲しいと言いました。そして赤井さんが合流し3人でスタートしました。

--DDTはフリーの女性選手も参加していますよね。
樋口:世志琥選手や里歩選手に関しては、確実に赤井さんの功績ですよ。KO-D6人タッグのベルトをEruptionが持っていたから世志琥選手や里歩選手が挑戦者としてDDTのリング上がってくれたと思います。

--ところで樋口選手のフィニッシュホールドのブレーンクローですが、必殺技として使い出したのは昨年のD王GP辺りでしょうか?
樋口:試合でブレーンクローは使っていました。ただフィニッシュにするほどの技ではないと思っていました。あくまで戦況を変えるための技として考えていましたね。
昨年のD王GP初戦で大石真翔さんと戦い、フジヤマ・ニーロック(※自らの足を使用し相手の両脚を絞り上げる技)で固められた時、大石さんの顔をブレーンクローで掴んで握り全体重をかけてみました。そしたら大石さんがギブアップしたんです。
その時、「あっ、ブレーンクローはフィッシュになるな」と思いました。見つけてくれたという意味では大石さんに感謝していますね(笑)。

--試合中、使ってみてハマった技は良くあるのですか?
樋口:ありますね。プロレスの映像を観ていて、「この技をあの場面で使ったらどうなるのだろう?」と思うことがあり、それを実際試合で使ってみます。しっくり来る技はレパートリーに増やします。
ただ「この技は合わないな」と逆パターンもあります(苦笑)。ブレーンクローはしっくり来ました。

--昔から握力は強かったのですか?
樋口:柔道をやっていたので道着や相手を掴んだらなかなか離しませんし、相撲ではまわしを掴んでいました。それがブレーンクローに活きているのかもしれません。相手のこめかみ部分をしっかり握っていますから。

--そのブレーンクローを使ってD王GPでは、現在KO-D無差別級王者の秋山準選手から勝利しました。そして2.14カルッツかわさきで遠藤選手に勝った秋山選手から、次期挑戦者として指名されました。
樋口:望むところです。D王GPでは秋山さんに約4分で勝っている。結果的に秋山さんはKO-D無差別級のチャンピオンですが、自分としては受けて立つ気持ちが強いですね。

--最近KO-D6人タッグやKO-Dタッグ戦が多かった樋口選手、KO-D無差別級王座への挑戦は久々ですよね。
樋口:2018年6月の入江茂弘戦以来です。KO-D無差別級のベルトは誰もが目指すべきもの。そしてDDTの選手が巻かなければいけない。
Eruptionを結成し、KO-D6人タッグやKO-Dタッグ戦を戦いながら、心のどこかにKO-D無差別級王座のことはありました。昨年の「KO-D無差別級王座挑戦剣」を賭けた遠藤哲哉との戦いも「KING OF DDTトーナメント」も。いつでも戦える準備は整えていました。

--秋山戦に向けての対策はありますか?
樋口:1度勝っているので、勝つイメージは出来ています。気をつけるべきところは「勝つイメージを崩さないこと」ですね。

--秋山選手はDDTに正式入団しヘッドコーチに就任しました。樋口選手は秋山選手と練習することはあるのですか?
樋口:最初の頃は練習に参加していました。ただ秋山さんの言う「本道」は違うかと。あれは秋山準が歩んで来た中での「秋山準のプロレス」でありDDTのプロレスではない。
自分はDNAで生まれてDDTで育ってきた。そこに流れているものは秋山さんとは全く違うものです。もちろん良いところは吸収しますが、やはり「樋口和貞の中のDDT」で勝負しなければいけないと思っています。
秋山さんは全日本プロレスからNOAH、そして全日本と「王道」と言われるメジャー団体を渡り歩いた方です。一方、自分はDDTと言うインディー団体で成り上がってきた。歩んできた道が違えば、考え方も全然違います。そこはDDTを大切にしたい。
カルッツ大会で遠藤哲哉に秋山さんが勝った時、ベルトを渡したのが小橋建太さんでした。あの場面は遠藤哲哉が勝って、試合の最後を締めて欲しかったですね。

--3.28後楽園大会では樋口選手が絶対勝たなければならないですね。ただビッグマッチの秋山選手は、普段使わない引き出しを開けてきます。
樋口:だからD王GPで勝った時のイメージを崩しちゃいけないんですよ。秋山さんは普段使わない引き出しを開けてギアを上げてきます。D王GPの時は秋山さんがギアを上げる前に自分が勝ちました。秋山さんがギアを上げてきても「倒した時のイメージを持ったまま」戦わないと負けてしまいます。だから前哨戦も譲らず戦います。

--3.28秋山戦を楽しみにしているファンの方にメッセージをお願いします。
樋口:自分はDNAで生まれてDDTで育ってきた自負があります。プロレスに対してもある種の「誇り」があります。秋山さんが背負っているものもデカイと思うけど、こっちだって背負っているものがある。
KO-D無差別級のベルトにしても、自分はベルトの歴史を知っている。今回が5回目の挑戦で、あのベルトの重みを1番理解している。ベルトにかける思いも強い、だからこそ絶対に獲らなければいけないと思っています。


<インフォメーション>
3.28後楽園ホール「Judgement2021~DDT旗揚げ24周年記念大会~」でKO-D無差別級王者 秋山準選手から指名を受け、タイトルに挑戦する樋口和貞選手。詳細はDDTプロレスリング公式サイトをご確認下さい。→https://www.ddtpro.com/schedules/14982

また3.28後楽園ホール大会は動画配信サービスWRESTLE UNIVERSEで生配信されます。→https://www.ddtpro.com/universe

樋口和貞Twitter→https://twitter.com/kazusada185cm

取材・文/大楽聡詞
写真提供/DDTプロレスリング