3.28後楽園ホールでKO-D無差別級王者 秋山準に挑戦する樋口和貞。昨年1月に結成したユニット「Eruption」では、一時期KO-D6人タッグとKO-Dタッグの2冠王として君臨。今回チャンピオン秋山から指名を受けて約3年ぶりの挑戦となる…

3.28後楽園ホールでKO-D無差別級王者 秋山準に挑戦する樋口和貞。昨年1月に結成したユニット「Eruption」では、一時期KO-D6人タッグとKO-Dタッグの2冠王として君臨。今回チャンピオン秋山から指名を受けて約3年ぶりの挑戦となる。満を持してKO-D無差別級王座に挑む樋口に話を聞いた。(前編)


--昨年1月にEruptionを結成し1年が過ぎました。坂口征夫選手と赤井沙希選手と活動していかがですか?
樋口:ありがたいことにKO-D6人タッグ王座を獲得できました。Eruptionは誰がリーダーとかではなく、全員が同じ立場なのでとてもやり易いです。
現在、自分と坂口さんはKO-Dタッグのベルトを持っていますが、KO-D6人タッグを落としてしまったので…ただKO-D6人タッグに関しては、また改めて狙って行きたいと思います。

--EruptionはDDTの中でも硬派なユニットだと思います。注目度も高く、昨年サムライTV「インディーのお仕事」のインディー大賞では、ユニット部門で第2位でしたね。
樋口:たくさんユニットがある中、そこで選ばれるのは認知度がある証拠だと思います。有難いですし、すごく嬉しいですね。

--会場でもEruptionのTシャツを着ている方を目にすることが多いです。
樋口:やっぱり赤井さんと坂口さんというオシャレ2人がいるので(笑)。Eruptionは海外からの反響も多いですね。

--樋口選手も含めEruptionは絵になる3人ですよ。エントランスVTRで街を歩いている3人の姿が映し出されますが、あの映像を見るたびに「かっこいい3人だな」と見入っちゃいます。ところでEruptionに勢いがついたのが、昨年6月KO-D6人タッグ王座を#DAMNHEARTS(遠藤哲哉&T-Hawk&エル・リンダマン)から奪取した辺りだと思います。
樋口:#DAMNHEARTSはシングルプレイヤーとして実力を持つ3人が組んだチームです。正直しんどい思いをしましたが、ベルトを奪取できたのは赤井さんが踏ん張ってくれたからですね。

--樋口選手はKO-D6人タッグ王座を、これまで3度戴冠しています。1回目のパートナーが勝俣瞬馬選手と岩崎孝樹選手、2回目が岩崎選手と渡瀬瑞基選手。これまでのパートナーとEruptionの違いはどんなところでしょうか?
樋口:これまでは若さと勢いでベルトを獲得しました。今回はチームとして「ここで敗れるようなことがあれば、次はないぞ」という気持ちで臨みましたね。相手が#DAMNHEARTSという強敵でしたが、気持ちで勝つことが出来たと思います。
KO-D6人タッグ王座は歴史あるベルトです。元々はチームドリフが巻いていて、その後は坂口さんら酒呑童子やハッピー・モーテルがしのぎを削ったベルト。坂口さんは酒呑童子として最多戴冠回数を持っています。そのベルトの名に恥じない戦いを心がけました。

--2020年7月の初防衛戦がHARASHIMA・アントーニオ本多・里歩組、9月2度目の防衛戦が男色ディーノ・世志琥・立花誠吾組でした。異色タッグというか振れ幅のある挑戦者組でしたね。
樋口:そうでしたね。

--Eruptionのメンバーは相手によって真っ向勝負もできるし、アントーニオ本多選手や男色ディーノ選手を始めとする楽しいプロレスにも対応できますね。
樋口:自分は「ひらがなまっする」を体験していますし、赤井さんも色々な戦いを経験しています。ただ最後は坂口さんが全て持っていきました(笑)。

--まさか坂口選手が馬のマスクを被るとは想像できなかったです(笑)。改めてKO-D6人タッグは、振り幅が大きいベルトだと認識しました。
樋口:面白いこともしつつ、勝負するところは勝負する。そういう意味でKO-D6人タッグ本来のベルトの戦いができたと思います。

--その後、10月後楽園で行ったノーチラスとの2試合連続タイトル戦。あの試合はヒリヒリした戦いでしたね。セミファイナルでノーチラスの上野勇希選手・吉村直巳選手に平田一喜選手が加わりKO-D6人タッグ戦。メインでKO-Dタッグ王者ノーチラスに坂口選手と樋口選手が挑戦。セミファイナルで坂口選手が上野選手を絞め落としました。しかし休憩せず、すぐにメインのゴングが鳴り驚きました。
樋口:あれはベルトを賭けた戦いでしたが、人間的な強さの戦いでもあったかなと思います。

--通常の試合以上にタイトル戦は気合が入りますよね。そのタイトル戦が2試合連続というのは、なかなか出来ない経験かと。
樋口:タイトル戦ではないですが、過去に1日最大5試合戦っています。年越しプロレスでは4試合戦うこともあります。坂口さんも経験があるのでEruptionとしては有利でしたね。体力的にはキツいですが、時間の経過とともに気合が入っていきました。

--会場で観ていて感じたのが、2試合目の終盤で樋口選手のギアが上がりスピードが増した気がしました。
樋口:限界の先があるんです。そのモードに入ると、もう1段階ギアが上がります。ランナーズハイみたいなものですね。1日2試合、3試合を経験した自分や坂口さんは限界の先に行く時があります。
身体能力ではノーチラスの若い2人に勝てない。ですが、その先の限界を経験しているかどうかが勝負の明暗を分けた気がします。

--2試合終えて、KO-D6人タッグとKO-Dタッグのベルトを持っていたのはEruptionでした。セミファイナルのKO-D6人タッグ戦が17分27秒、メインイベントのKO-Dタッグ戦が19分33秒、合わせて37分。
樋口: 2冠王になれた…けど2試合は疲れましたね(苦笑)。Eruptionとして、2020年山場の一つでした。

--2020年Eruptionを思い返した時、鮮明に記憶に残っている戦いです。ただ残念なことに翌11月、若手通信世代の彰人・平田一喜・翔太組にベルトを奪われてしまいました。
樋口:途中まではEruptionが圧倒していました。ただ相手の作戦勝ちなのか、罠にかかってしまった。

--身体能力ではEruptionが上かと思いますが…
樋口:ノーチラス戦の真正面からぶつかり合う戦いのあとで、全く違う内容の試合になりました。若手通信世代に対して油断していたつもりはないのですが、スカされたというか…そうですね。スカされてベルトを獲られた感じです。
相撲に例えると、立ち合いでぶつかり合うのかと思いきや、体をずらしてかわしてきた。そんな印象です。だから悔しい、必ずEruptionでKO-D6人タッグ獲りにいきたいと考えています。


<後編に続く>


<インフォメーション>
3.28後楽園ホール「Judgement2021~DDT旗揚げ24周年記念大会~」でKO-D無差別級王者 秋山準選手から指名を受け、タイトルに挑戦する樋口和貞選手。詳細はDDTプロレスリング公式サイトをご確認下さい。→https://www.ddtpro.com/schedules/14982

また3.28後楽園ホール大会は動画配信サービスWRESTLE UNIVERSEで生配信されます。→https://www.ddtpro.com/universe

樋口和貞Twitter→https://twitter.com/kazusada185cm

 

取材・文/大楽聡詞
写真提供/DDTプロレスリング