さくらの開花とともに、小祝さくらのゴルフも全開だ。 2021年の初戦ダイキンオーキッドレディスに続いて、第3戦のTポイント×ENEOS(鹿児島県・鹿児島高牧CC)でも逆転優勝を遂げ、賞金ランキングトップに浮上した。「(今季の目…

 さくらの開花とともに、小祝さくらのゴルフも全開だ。

 2021年の初戦ダイキンオーキッドレディスに続いて、第3戦のTポイント×ENEOS(鹿児島県・鹿児島高牧CC)でも逆転優勝を遂げ、賞金ランキングトップに浮上した。

「(今季の目標に掲げる)賞金女王は、あんまり意識はしていないです。来週から、申ジエさんとかも(日本ツアーに)帰ってくると思うので。ここからさらにがんばらないと。

 私の中で賞金女王のイメージは、鈴木愛さん。(同じ辻村明志コーチに師事する)上田桃子さんなど、賞金女王を獲ったことのある方は本当にすごいと思う」



Tポイント×ENEOSを制した小祝さくら

 2日目が降雨サスペンデッドとなり、最終日にはまた、前週に続いてコース上を風速10m/sを超える強風が舞い、選手たちにとって酷なコンディションとなった。トップと3打差の通算8アンダー、4位タイでスタートした小祝は、上位勢がスコアを崩していくなか、前半をイーブンでしのぎ、15番にたどり着いた時には首位グループに加わっていた。

 優勝した初戦のダイキンオーキッドレディスを含め、小祝は悪コンディションの時こそ力を発揮する。そんな印象がある。

「風があるなかでも、狙ったところに打てるよう、1、2年ぐらい前から低い球を打つ練習をしてきた成果かなと思います。(初戦の)ダイキンオーキッドレディスの時もそうでしたけど、今日みたいに風が強いなかで、コントロールショットがうまくいっている。

 クラブを短く持って、スリークォーターで打つ。ボールを少し右に置いて、手が先に切り返さないように気をつけて打っています」

 そして最終日のハイライトは、この15番パー4のティーショットだ。ホール表示は300ヤードだが、最終日にはティーグラウンドが前に出され、ピンまで240~250ヤードと短くなり、ワンオンも不可能ではなかった。しかし、およそ230ヤードの位置にバンカーが待ち構え、右に広がる池が嫌でも視界に入ってくる。

 それでも、小祝はドライバーを振り抜いた。ボールは池の横をすり抜けて、グリーン右のラフへ落下した。残り20ヤードのセカンドを58度のウェッジで1mに寄せ、難なくバーディーを奪って単独首位に立った。

「15番はチャンスホールで、みんなが(ワンオンを)狙っていると思ったので、ここは攻めないといけない、と。左からの風が吹いていたので、左狙いでいいんじゃないかと思って打ったんですけど、ボールの行方が確認できなくて、池にいったんじゃないかと不安になりましたね。ギリギリのラインだったみたいで、ラッキーでした」

 16番(パー5)でも連続バーディーを決めて通算10アンダーに伸ばし、トップグループの誰よりも先に18番パー4を迎えた。ティーショットはほぼ完璧だったものの、セカンドショットがわずかに短く、3打目も寄せ切れず、約2mの微妙なパーパットを残した。

 そのパーパットを小祝は、いつものニコニコした表情でラインを読んで、スッとアドレスに入り、迷いなく打った。そう見えたが、内心は冷や汗をかいていた。

「外したらプレーオフだと考えていた。この風のなか、プレーオフはちょっと厳しいですよね。ラインも、カップを外さないといけないような難しいラインで、半分ぐらいは入らないと覚悟をしていましたから」

 このパーセーブによって、後続が小祝に並ぶことはできず、クラブハウスリーダーとなっていた小祝の優勝が決まった。2020-2021シーズン3勝目で、通算4勝目。渋野日向子ら1998年生まれの黄金世代の中でも、小祝は最も旬な選手と言えるかもしれない。

 小祝は試合を滅多に休まないことでも知られる。

「今後も出続けたいです。海外の試合はちょっと......そうですね。コロナのこととかもあるので、迷いますね。

 優勝争いできていることはうれしいですし、悪天候の時ほど『楽しまないと』と思っています。この優勝で気を緩めず、また来週、いいプレーができるように気を引き締めてがんばりたい」

 さくらの季節に、小祝の笑顔が弾けている。