「全豪オープン」(オーストラリア・メルボルン/本戦1月16~29日/ハードコート)の男子シングルス決勝で、第17シードのロジャー・フェデラー(スイス)が第9シードのラファエル・ナダル(スペイン)を6-4 3-6 6-1 3-6…

 「全豪オープン」(オーストラリア・メルボルン/本戦1月16~29日/ハードコート)の男子シングルス決勝で、第17シードのロジャー・フェデラー(スイス)が第9シードのラファエル・ナダル(スペイン)を6-4 3-6 6-1 3-6 6-3で下して7年ぶり5度目の優勝を果たした。

 ナダルは故障に荒らされたそのキャリアの中で、カムバックを果たすことにはもう慣れている。しかしこの最後のものは恐らくもっとも予想外で、もっとも満足感をもたらしたものだったことだろう。

 左手首の故障のせいで昨年2度に渡ってかなり長い期間プレーを休止しなければならなかったナダルは、ツアーが彼のお気に入りのクレーに移るこの春の後半まで自らの最高のレベルでプレーし、タイトルを目指して戦うことができるとは思っていなかった。

 ところがメルボルンにやってきた彼は、どういうわけか骨を折りながらも勝利につぐ勝利をもぎ取っていった。彼は全豪の決勝まで行きつき、そこで長年のライバルであるフェデラーにフルセットで敗れてあと一歩及ばなかったものの、15番目のグランドスラム・タイトルに限りなく近づいた。

 ここ数年はナダルにとって収穫の少ない年月だったが、彼は今、自分は戻ってきたのだと信じている。ときにある種の自信喪失に苦しんだこともあったが、いまやグランドスラム大会で体力を消耗させる5セットマッチですら戦い抜けるという自信を感じているというのだ。

 これは彼のお気に入りのグランドスラム大会、全仏オープンに向かう上でとてもよいサインだ。彼はそこで、トロフィのコレクションをキリのいい10にしようと努めることができる。

「こんな風にプレーしていればよいことが起こり得る、と信じている。このサーフェスで起こることもあるかもしれないが、特にクレーで起こり得る」と彼は言った。「クレーでそれが起きたら格別だ」。

 ナダルは2014年全仏で彼にとって今のところ最後のグランドスラム・タイトルを獲って以来、この種の疾走を探し求めてきた。2014年以降、彼の体は幾度も故障し、恐らく本人がもっともフラストレーションを感じただろうことに昨年の全仏でも左手首の故障のため、彼はマルセル・グラノイェルス(スペイン)に対する3回戦の前に棄権することを強いられた。

 故障は年の終わりにも再発し、ナダルは痛めた部分を完全に治癒させるためにシーズンを早めに打ち切った。今や、それは賢明な決断だったように見える。

 気持ち的にもリフレッシュして体のキレもよいように見えるナダルはメルボルンで2度、巻き返して5セットマッチに勝った。彼は3回戦で、仕舞にはケイレンを起こしていた19歳のアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)よりも長く体力を維持させることによって相手を上回るフィットネスレベルを見せ、セットカウント1-2の劣勢を覆した。そして準決勝ではスリルあふれる5セットマッチで、グリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)に辛うじて競り勝った。

 対ディミトロフ戦のあと1日しか休息日がなかった事実を鑑みれば、ナダルは対フェデラー戦で疲れから生気が不足した状態になっていてもおかしくなかった。しかし彼は最初のポイントから最後まで同じファイティング・スピリットを見せ続け、第5セットでは最終的にフェデラーがかけてくる無慈悲なプレッシャーの下で折れる前に11のブレークポイントのうち9回をセーブした。

「悲しい、と言うことはできない。もちろん勝ちたかった。でも、すごく悲しくはない。僕はできることはすべてやった。ここ数ヵ月、多くのハードワークを積んできた」とナダル。「僕は競い合うことを楽しんでいる。僕はふたたび、世界最高峰の選手たちに勝った。そして誰に対してもよく張り合った」。

 そしてナダルは健康を維持することさえできればという条件付きで、自分は今、再起のシーズンを始めようとしているところなのかもしれないと感じている。

「実際のところ、タイトルなどよりも何よりも僕を幸福な気持ちにさせるのは、コートに出て行ってテニスを楽しめる、と感じることなんだ」と彼は言った。「今日、僕はテニスを楽しんでいた」(C)AP