専門誌では読めない雑学コラム木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第295回 ゴルフは、自らコースを予約して仕切るより、呼ばれてラウンドすることが多いですよね。メンバーじゃないビジター暮らしの人は、ほとんど"お呼ばれゴルフ"です。こういう場合、友…
専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第295回
ゴルフは、自らコースを予約して仕切るより、呼ばれてラウンドすることが多いですよね。メンバーじゃないビジター暮らしの人は、ほとんど"お呼ばれゴルフ"です。こういう場合、友だち付き合いを大切にしておかないと、ですね。
ところで、どうして自分はちょくちょくゴルフに呼ばれるのか。そんなことを考えたことがありますか?
「きっと性格がいいからかな」「つまり、人望があるってことか」なんて思ったりする人もいるでしょう。それは、確かに重要ですが、実は呼ばれる理由で一番多いのはこれです。
●お金と時間があるから
要するに、いつ呼んでもゴルフに応じられる時間があり、どんな予算でも参加できる――そういう方は、欠員補充にぴったりなのです。
過去にプレー前日に誘われて、ゴルフ場に行ったことがあります。その際、誰かがドタキャンして、その補充で呼ばれたことはわかっていましたが、お互いにそのことは触れずに黙々とプレーする。それが、呼ばれたゴルフのマナーというものです。
その時の参加費は、パーティー代を含めて3万5000円ほどでした。これは、ちょっと高額です。それで、仕切っている人にこっそり「なんで(自分に)声をかけたのですか?」と聞いたら、予想どおり「プレー代が高いから。来られる人は限られてしまう」と言っていました。
その当時はまだ景気がよくて、高いプレー代も払えました。でも、今誘われたら即、断ります。茨城や栃木の外れのほうじゃあ、そのお金で10回、ラウンドできますもの。
そんなわけで、今回は呼ばれたラウンドでの振る舞いを考えていきたいと思います。
まず、よく見定めておくべきは、これです。
(1)人間関係を把握する
1組なら誰がキーマンかすぐにわかりますが、大きなコンペだと冠の主催者が誰で、幹事は誰で、といった感じで、どちら方面に挨拶をすべきなのか、悩んでしまいます。
過去、ものすごくセレブなコンペがあって、なんと皇族の某宮様がゲストで来られていました。もちろん、挨拶などできるはずもなく、遠くからジ~ッと見ていただけでした。
全員で記念写真を撮る際は、後ろの端のほうで背後霊のように映るのが精いっぱい。財界や芸能界の重鎮ばかりで、誘ってきた友だちに「なんで呼んだんだよ。場違いじゃないか」と言ったけど、あとの祭りでしたね......。
いい記念にはなったけど、行かなくてもよかったな、と。人付き合いも大事ですが、コンペに参加する時には、参加者の顔ぶれを調べておくことも大事ですね。
急きょ
「お呼ばれ」してのゴルフとなると、相手方の情報が乏しく、自分だけ浮いてしまうこともあるかも...。illustration by Hattori Motonobu
(2)さりげない気遣い
誘ったほうが「わざわざ来てくださって、ありがとう」と、ささやかなお礼をしてくる場合があります。例えば、朝食をご馳走してくれたとか、あるいは売店でのドリンク代を払ってくれたとか。さらには、昼ごはんの時の、つまみ類を出してくれたとかね。
そういう時は「なかなかできる人たちだなぁ~」と、こっちは痛く恐縮します。そうなると、こちら側としても彼らのゴルフの、暗黙のルールに素直に従うことに......。
いきなりニギリをふっかけられることはイマドキありません。もし、そういうことがあったら「今、不調だから」などと適当なことを言って、断りましょう。
ただ、場を盛り上げるために「ニアピンしようよ」と言われれば、気持ちよく応じます。ニアピンをやって、ひとりだけ参加しないゴルフなんて、見たことがありませんから。
「郷に入っては郷に従え」「長い物には巻かれろ」の精神で参加しましょう。
他、オーケーの距離など微妙な判定は、相手側、つまり誘った側の判断に任せるしかないです。それと、ラウンド中のマナーやルールも、そのパーティーによって微妙に違ってきます。
ベアグランドにボールがあった。そういう時は「6インチリプレースでやって」という人もいれば、「あるがままに打て」という人もいます。そこらへんの判断はとてもナーバスです。
そこで、判断を仰ぐのも変なので、こちらは常にノータッチでプレーして、相手側が「今日は遊びだから、適当にボールを動かして」と言うまで待つしかありません。もちろん、最後までそういったことを言われない場合もあります。
(3)説明するヤツは叩く
これは誰でもそうで、コースの説明をし出すと、大概その人が叩きます。鉄板の"あるあるネタ"です。やたらコースに詳しくて「左のOBに気をつけて」と言っている矢先に、自らOBを打ってしまうんですな。
そういう場合、説明した本人が過去に痛い目にあっているケースがほとんどです。それで懲りているから、警告を促すのです。その結果、自らまたやらかしてしまうんですけどね......。
それはそれとして、たとえ自分がそのコースを知っていても、呼ばれた者のルールとしては、すっとぼけておくことが大事です。過去に来ていて詳しいコースであっても、誘った人が「以前、来たことありますか?」と聞いてきたら、「随分前に来たことがあるけど、すっかり忘れています」というのが、一番無難な返答です。
そう言われると、誘った側であり、主催者側が丁寧に説明してくれます。ついでに、叩いてくれたりもするので、厄払いもできて一石二鳥です。
ちなみに、そこではゴルフのスコアの勝ち負けは関係ないです。全力でプレーして、思い切り楽しみましょう。
(4)アフターゴルフ
最近、気の知れた仲間とのゴルフでは、ラウンドしたあともそのまま帰らず、「二次会」と称して、健康ランドに行ったり、居酒屋に行ったりして、"19番ホール"を楽しむケースが多いです。
もし、あまり知らないグループに呼ばれた際は、そのあたりのことは誘った人に事前にリサーチして、聞いておくのもありです。ただ、やたらと参加したがるのも変です。「二次会は身内でやるから」と言われれば、それまでですし、そこに出たがっても"招かざる客"になってしまいますから。
もちろん「ぜひ、いらしてください」と言われれば、予め車をどうするか? 電車にするか? あるいは運転代行を頼むか? いろいろと手配せねばなりません。
一般的に二次会に参加して「楽しいので、また来てください」と主催者側に言われれば、そこで"お呼ばれゴルフ"のお座敷がまたひとつ、増えるということになります。
こうやって、ビジターゴルファーは誘われるゴルフを増やして、ラウンドをこなしていきます。
でも、呼ばれるゴルフが増えすぎると、アップアップになって、今度は断ってばかりに......。すると、「あの人はいつ誘っても来ない。じゃあ、誘うのをやめようか」となってしまいます。
ビジターゴルファーは、ゴルフの参加と断りのさじ加減が非常に難しいのです。
嫌われたくないばっかりに、呼ばれたゴルフに全部参加しても、お金ばっかりかかって首が回らなくなります。何事もほどほどに、ですね。