女子ツアー注目の「プラチナ世代」に迫る(6)安田祐香インタビュー(後編)プロデビューを果たした2020年、安田祐香は自らが思い描いていたプレーができなかった。一方で、同じ『ミレニアム(プラチナ)世代』の古江彩佳、西村優菜らはツアー優勝を飾っ…

女子ツアー注目の「プラチナ世代」に迫る(6)
安田祐香インタビュー(後編)

プロデビューを果たした2020年、安田祐香は自らが思い描いていたプレーができなかった。一方で、同じ『ミレニアム(プラチナ)世代』の古江彩佳、西村優菜らはツアー優勝を飾って、華々しい活躍を見せた。その姿を、彼女はどう見ていたのだろうか――。



――プロ1年目となる昨年、ご自身の中ではどう総括されていますか。

「自分にとっては、苦しい1年でした。成績に満足はしていないです。調子が上がってきたと思った時にケガで1カ月、試合に出場できないこともあって......。試練だったのかな......。同じ時期に同級生ががんばっていたので、励みなりましたが、その一方で『置いていかれちゃうなあ』という気持ちも芽生えた」

――滝川第二高校の同級生である古江彩佳選手が3勝を挙げ、やはり同じナショナルチームのメンバーだった西村優菜選手もツアー初勝利を飾りました。そういった同世代の快挙が焦りにつながりましたか。

「焦ったつもりはなくても、焦っていたのかなぁ......。『自分もがんばらないと』と思ったことが、自分にプレッシャーをかけていたのかもしれないです。彼女たちとは、高校やナショナルチームで一緒に、個人というよりはチームとして戦っていた。プロになると、個人の戦い、一人ひとりの戦いになる。それを改めて感じました」

――『ミレニアム世代』『プラチナ世代』といった形で、ひとくくりに注目されることに関しては、どう受け止めていますか。

「アマチュア時代に成績がよかったことで、注目を浴びるのは素直にうれしいことです。うれしいんですけど、(自分は)『期待に応えたい』という気持ちが強くなりすぎて......。でもきっと、自分にもチャンスが来ると信じています」

――印象に残っているトーナメントはありますか。

「プロ3戦目のニトリレディスですね。首位と7打差とはいえ、3日目に7位タイにつけていたのに、最終日に「79」と大叩きして、19位タイで終わってしまった。天候が悪くなって、寒さも襲って、集中力が切れてしまいました」

――集中力が切れたことを自覚されたのですか。

「ラウンド中は必死にプレーしていたので、そうは思っていなかったですけど、試合が終わって振り返った時に、集中力を切らしていたと思いました。優勝する選手というのは、天候が悪かろうが、スコアを伸ばす。当たり前と言えば当たり前ですけど、その当たり前のこと(の重要性)を気づかされました」

――プロとアマとでは、トーナメントへの臨み方もやはり異なりますか。

「アマチュアとして、プロのトーナメントに出場するのは、スポット参戦みたいな感じですよね。その試合に照準を合わせて戦えばよかったんですけど、プロはほぼ毎週試合がある。一試合の結果を引きずらず、すぐに気持ちを切り替えることが重要です。仕事と割り切ることの大事さを学びました」

――シーズン中、気分転換やリフレッシュのために取り入れていたことはありますか。

「う~ん......、試合が終わったらすぐに家に帰っていましたね。家で過ごすのが好きなんです」

――お家では、何をしてすごしているのですか。

「寝ます! よく寝ます(笑)。寝ることを大切にしています。料理ですか? たま~に、お母さんが作ってくれるのを手伝うぐらい。自分からしようとは思いません(苦笑)」

――現在の賞金ランキングは56位。これからの1年の戦いを含めて、来季のシードが決まります。

「去年だけの成績でシードが決まらなかったことは幸いだと思います。気が抜けない立場であることは変わりないですけど、たとえ予選落ちしたとしてもすぐに気持ちを切り替えて、1年間、成績を残していけたら。まずはシード権。そして、上位にいてチャンスが訪れたら......」

――その先に"優勝"が見えてくるのでしょうか。

「そうですね。不安もあるし、周りが周りなので、自分のペースを崩さずに戦っていけたら......。

 同級生に強い選手がいるし、やっぱり焦っちゃうと思うんです。そういう時に無理に自分を追い込んだりせず、しっかり休養も取って、やる時はやる。そう割り切れるようにしないと、昨年のように疲れちゃうと思います。周りががんばっていることは刺激として、何より大事なのは自分が自分らしくあること。そう思っています」

――とにかく「焦らないこと」を心がけている姿勢が伝わってきます。それほど昨年は、同級生や年下の笹生優花選手らの活躍にも「焦った」ということですね。

「ハハハハッ(笑)。とにかく"自分をしっかり持つ"ということが大事だと気づかされた1年でしたね」

――女子ゴルフ界は次から次へと力のある選手が出てきて、競争は激化の一途です。生き残っていくうえで、大事なことは何でしょうか。

「モチベーションだと思います。プロになった以上、みんな技術的な才能は持ち合わせていると思う。目標をしっかり見据えて、試合に臨むことだと思います」

――憧れるプロのアスリートはいますか。

「調子が悪い時に『自分にはできない』などと、ネガティブになってしまうのはプロとしてダメだと思う。野球のイチローさんの記事などを読むと、自分というものを持っていて、周囲の声を気にしていない。私もその点を見習って、『線が細い』とか『成績が悪い』とか言われても気にしないようにしたいです」

(おわり)



安田祐香(やすだ・ゆうか)
2000年12月24日生まれ。兵庫県出身。身長163㎝。血液型O。アマチュア時代からプロツアーで上位争いを演じてきた『ミレニアム(プラチナ世代)』の代表格。プロデビューとなった2020年はケガなどもあって、不本意な成績に終わったが、2021年での巻き返しが期待される。2020-2021シーズン現在の賞金ランキング56位(獲得賞金821万2266円)