オーストラリア・メルボルンで開催されている「全豪オープン」(1月16~29日/ハードコート)の大会11日目、女子シングルス準決勝。 ココ・バンダウェイ(アメリカ)は、シーズンの初めに2つの目標を立てた。ひとつは全豪オープンで準々決勝に進…

 オーストラリア・メルボルンで開催されている「全豪オープン」(1月16~29日/ハードコート)の大会11日目、女子シングルス準決勝。

 ココ・バンダウェイ(アメリカ)は、シーズンの初めに2つの目標を立てた。ひとつは全豪オープンで準々決勝に進出すること、そしてもうひとつが、シーズンのある時点でもう一歩先まで進み、初めてのグランドスラム準決勝に進むことだった。

 今、新しい目標を立てるべき時がきた。彼女はもうすでに前述の2つの目標を一気に成し遂げてしまったのだ。

 25歳のバンダウェイは、今年最初のグランドスラムで自分自身の期待すら超えてしまった。彼女は準決勝に勝ち進む過程で、世界1位で前年度覇者のアンジェリック・ケルバー(ドイツ)と全仏チャンピオンのガルビネ・ムグルッサ(スペイン)を倒した。

 彼女はまた、ビーナス・ウイリアムズ(アメリカ)に対して、結果的に6-7(3) 6-2 6-3で敗れたものの、第1セットをタイブレークで取り、決勝までもう一歩のところだった。

 「オフシーズンに積んだハードワーク、犠牲と努力を実らせ、こんなふうに年を始めることができてすごくうれしいわ」と、バンダウェイ。「でも同時に、私は満足していない。ややがっかりしている部分もあるわ。そして、それはいいことだと思う」。

 バンダウェイは、すでにエリート・レベルでブレイクを果たし、グランドスラム大会で上位を目指して競い合える潜在能力を持っていた。元NBAプレーヤーのキキ・バンダウェイの姪で、オリンピック・スイマーの娘である彼女は、常にテニス界のトップと張り合える“パワー・テニス”を擁していたのである。

 2008年に全米ジュニア・チャンピオンになったあと、彼女は2年前のウィンブルドンでも準々決勝に進出した。彼女はまた昨年、トップ10プレーヤーに対して6勝1敗という驚くべき記録を誇っていた。これはセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)の5勝3敗よりいい数字だ。

 しかし概して彼女は、その強烈なグラウンドストロークに安定性を欠き、感情を抑えるための落ち着きも不足していた。

 彼女はムグルッサに対する勝利のあと、自分のラケットのスポンサーであるヨネックスに、全豪オープンの間、ラケットを折らないと約束したが、2回戦でその決意が揺らいだとジョークを言った。

 「できる限り、よい振る舞いをするよう努めている。でも、こういうのは段階を追ってよくなっていくものなのよ」とバンダウェイは言う。

 しかし、ケルバー、ムグルッサらのグランドスラム優勝者たちに対しては、バンダウェイは何年もの間、彼女の負け試合で欠けていた、威厳のある落ち着きのようなものを見せていたのだ。本人が言うところによれば、今の成功の秘密は、適切な瞬間に激情とセルフ・コントロールの正しいバランスを見つけ出すことだという。

 そしてここでも、彼女は「これは段階を追っていく仕事」だと認めた。

 「ある試合では、より闘志の炎が必要だし、ある試合では、もう少し冷静になる必要がある。バカげたことをしないよう自分を叱りつけたほうがいいときと、自分を駆り立てて燃えたほうがいいときがあるだろうから」

 もちろん、ビーナスに対する準決勝では、ラケットを軽く投げ上げる場面、失望の瞬間が数回あった。

 バンダウェイにもチャンスはあったのだ。彼女は、この試合で13度のブレークチャンスを手にしたが、ものにしたのは1度だけだった。そして、37本のウィナーを叩き込みはしたが、51本のアンフォーストエラーをおかした。そして彼女はまた、サービスエース(10本)よりも多くのダブルフォールト(11本)をおかしている。

 「試合の直後に私はかなり取り乱し、気分を害していた。自分を哀れに思う瞬間を持ったということね」とバンダウェイは言った。

 しかし失望は、そう長く続かなかった。月曜日に発表されるランキングでキャリア最高の20位に上昇することになるバンダウェイは、この経験が次に同様の状況に立った際に、計り知れないほど貴重なものになることを知っているからだ。

 「私が初めてミックスダブルスで決勝進出を決めたとき(2016年全豪)に似ていると思うわ。あのときの私は完全に“ワオ! 私はいったいどうやってここまできたの?”という感じだった」とバンダウェイ。「それから、昨年の全米で2回目の決勝に臨んだときには、私はコート上で、たぶんもっとも落ち着いた選手だった」。

 彼女は、すでに次の檜舞台を見つめている。

 「だから、もし私がふたたびここまで進んだら、そのときは勝利をつかめるよう願うわ」(C)AP