今季のF1で試験的に一部グランプリの予選をスプリントレース方式で実施することが本格的に検討されている。簡単に言えば、短い距離のレースをして、その順位で決勝のスターティンググリッドを決めるルールだ。 昨年のF1アブダビGPのスターティ…

 今季のF1で試験的に一部グランプリの予選をスプリントレース方式で実施することが本格的に検討されている。簡単に言えば、短い距離のレースをして、その順位で決勝のスターティンググリッドを決めるルールだ。

昨年のF1アブダビGPのスターティンググリッド(ダイムラー提供)

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 出場チームも導入に前向きのようで、フェラーリのマッティア・ビノット代表も欧州メディアの取材に「スペクタクルにするための変化、予想がつかないレースにするための変化は素晴らしいことだ。話し合いも実務的になると思う。変化を支持する。変化はわれわれが言及する目標や目的を達成することになる」と賛同した。

 導入が見込まれるグランプリはカナダGP、ブラジルGP、イタリアGPで、いずれも直線区間で追い抜きが可能なレイアウトのサーキットが使われている。スプリントレース予選は100キロ、30分程度になるという。

 試験的でも採用されれば、予選システムの根本的な変更は現行のノックアウト方式となった2006年以来、15年ぶりとなる。

 ちなみにF1でのノックアウト方式とは、予選を3ラウンド制にし、下位タイムの選手が次々と脱落し、最後のラウンドでポールポジションを争う。その前はワンラップアタック、金&土曜の2日間制、エントリー台数が多かった1990年前後には予備予選が実施されたこともあった。

 ドライバーの間でもスプリントレース方式の予選については賛否はある。レッドブルのマックス・フェルタッペンは欧州メディアに対し「わざわざ(グランプリ週末に)レースを増やす必要はない。僕は1時間半くらいのレースが好み。僕らがいいマシンを持てば、レースは接戦になるし、優勝を争うチームも増える。とにかくスプリントレースは不要だ」と導入には反対の姿勢だ。

予選レースを実施しているF3マカオGP((c)RedBull Content Pool)


 一方でフェラーリのシャルル・ルクレールは「非常に興味深い。メインレースの決勝はその後に実施されるのだから、決勝の価値が下がることはない。短いレースを思い切ってアタックできる方が面白いし、少なくともそれができる方が僕はうれしいよ」と歓迎の意思を示した。

 予選レースを本格的に導入しているのはF3世界一決定戦として位置付けられているF3マカオGP。土曜日に予選レース、日曜日に決勝レースを実施する方式だ。マカオGPは市街地コースが使われ、クラッシュの危険性を常にはらむことから、ドライバー側にとってはメリットとデメリットの両方が伴う。優勝候補のドライバーも予選レースで他車と接触して後退すれば、勝つチャンスを簡単に逃してしまう。

 F1では一時、予選順位の下のドライバーが上位グリッドとなるリバースグリッド方式も議論されたこともあった。が、多くの反対意見があり、あっさりと却下された。スプリントレース方式の予選はその対案という。

 決勝レースの距離は市街地レースのモナコGPやF1世界選手権に組み込まれた米インディ500を除いて、約300キロがシリーズ草創期から踏襲されている。スプリントレース方式の予選がプラスされれば、事実上、計400キロの2ヒート制レースともいえなくもない。それだと何となく決勝レース前の独特の緊張感が半減するのでないかと危惧してしまう。

 かつてF1ではノンタイトル戦も頻繁に行われた。新型コロナウイルス禍で観客の動員にも制限があるだろうから、いきなり公式戦に導入するよりも、今季のシーズン中に欧州のどこかでノンタイトル戦を実施し、そこで新たな予選方式を試して、ファンや関係者の反応を確かめてはいかがだろうか。

[文・写真/中日スポーツ・鶴田真也]

トーチュウF1エクスプレス(http://f1express.cnc.ne.jp/)


※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

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