オーストラリア・メルボルンで開催されている「全豪オープン」(1月16~29日/ハードコート)は大会10日目、女子ダブルスで快進撃を見せていた穂積絵莉(橋本総業ホールディングス)と加藤未唯(佐川印刷)が準決勝で第2シードのベサニー・マテッ…

 オーストラリア・メルボルンで開催されている「全豪オープン」(1月16~29日/ハードコート)は大会10日目、女子ダブルスで快進撃を見せていた穂積絵莉(橋本総業ホールディングス)と加藤未唯(佐川印刷)が準決勝で第2シードのベサニー・マテック サンズ(アメリカ)/ルーシー・サファロバ(チェコ)に挑んだが、2-6 6-4 4-6で惜しくも敗れた。なお、勝ったマテック サンズ/サファロバは、第1シードのカロリネ・ガルシア/クリスティーナ・ムラデノビッチ(ともにフランス)を破った第12シードのアンドレア・フラバチコバ(チェコ)/ペン・シューアイ(中国)と決勝で戦う。

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 一昨年の全仏オープンで準優勝したサファロバは、現在シングルスのランキングを61位まで落としているが最高位は5位で、それもつい一年半ほど前の話だ。今大会のシングルスでは2回戦で第2シードのセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)と対戦して敗れたが、その後の記者会見でセレナがあることで激怒した。

 「今日はミスも多かったしダブルフォールトもあって、よくなかったね」と言う記者に、「あなた、本気で言ってるの?」と突っかかったセレナは、その記者が発言を謝るまで引き下がらなかった。

 「今日私が戦った選手は、本当は2回戦で当たるような相手じゃないの。私たちが前回試合をしたのはグランドスラムの決勝なのよ。最後まであきらめない選手だし、こちらから攻めていかないと勝てない。ミスが増えるのは当然のことでしょ」

 そのサファロバが、穂積と加藤が初めて進んだグランドスラムの準決勝の相手である。パートナーは、現在ダブルスの世界ランキング1位のマテック サンズ。個々の実績も高い上、このペアで昨年の全米と一昨年の全豪、全仏を制している。ダブルスランキングが51位と54位、シングルスは214位と186位の穂積と加藤にとって、ケタ違いの強敵であることは間違いなかった。

 しかしダブルスではシングルス以上に〈流れ〉が大事で、番狂わせも起こりやすい。この日のサファロバは調子が悪く、ダブルフォールトを連発。ストロークのミスも早かった。そこから生まれるチームとしてのほころびを、穂積と加藤は広げようと果敢に挑んだ。

 第1セットは先にブレークしたものの2-1から5ゲームを連取される。しかし第2セットは第7ゲームでマテック サンズのサービスゲームをブレークし、これを生かして6-4でゲット。穂積は「自分の力を出し切れた。後悔はない」と言ったように、相手の動きをよく見てベースラインから何度もパッシングショットを決めてみせた。加藤も前でよく動き、相手のボレーやアタックにもよく反応した。

 最終セットは互いに2ブレークで迎えた第9ゲーム、穂積/加藤は計2度のブレークポイントを握ったが、結局4度のデュースの末にブレークはならず。不運なネットインにも泣かされた。次のゲームは加藤のサービスゲームだった。加藤が後ろで穂積が前という陣形は苦手のパターンで、精度を増してきた相手のショットに押され、ラブゲームでブレークされてのゲームセットとなった。

 サファロバは試合後にこう話した。

 「彼女たちのことはよく知らなかった。でも実績のあるトップ選手を倒してきていたし、タフな試合になることは覚悟していたわ。実際、今日もとても動きがよかったし、いいプレーをしていたと思う。最後は危ないところもあったけど流れを引き寄せることができたのは、これまで培ってきた自信があったからかも」

 一方、穂積は「自分が全部出し切れば、世界のトップにも通用することがわかった」と言い、加藤は「1位の選手と互角に戦えたことはうれしいけど、勝ちたかった」と悔しがった。満足感と悔しさが入り交じった後味だったが、22歳ペアにはこの経験がいずれ接戦を勝ちきる力になるだろう。

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 ジュニアの部は男女シングルスの3回戦とダブルスの準々決勝が行われ、女子シングルスで第10シードの本玉真唯(S.ONE)が予選上がりのロシア選手を破って準々決勝進出を決めた。第14シードの内藤祐希(TEAM YONEZAWA)は第4シードのイギリス選手に敗れ、グランドスラム初出場の羽澤慎治(西宮甲英高)も第5シードのフランス選手に敗れたため、シングルスでの生き残りは男女を通じて本玉ひとりに。

 男子ダブルスでは堀江亨(関スポーツ塾・T)と羽澤がそれぞれ外国選手と組んで対決し、中国のウー・イービンと組んだ堀江が勝利。女子ダブルスでタイのタサポーン・ナクロと組んだ永田杏里(チェリーテニスクラブ)も準決勝に進出した。

(テニスマガジン/ライター◎山口奈緒美)