オーストラリア・メルボルンで開催されている「全豪オープン」(1月16~29日/ハードコート)の大会11日目は、女子シングルス準決勝が行われる。 セレナ・ウイリアムズ(アメリカ)が最後にミルヤナ・ルチッチ バローニ(クロアチア)と対戦した…

 オーストラリア・メルボルンで開催されている「全豪オープン」(1月16~29日/ハードコート)の大会11日目は、女子シングルス準決勝が行われる。

 セレナ・ウイリアムズ(アメリカ)が最後にミルヤナ・ルチッチ バローニ(クロアチア)と対戦したのは、20年近く前のウィンブルドンでのことだ。ふたりはテニスプレーヤーとしてのキャリアを始めたばかりのティーンエイジャーだった。そのふたりが今は30代となり、全豪オープン準決勝で再会することになった。

 35歳のセレナは第9シードのジョハナ・コンタ(イギリス)を6-2 6-3で破り、グランドスラムで10大会連続の準決勝進出を決めた。一方、34歳のルチッチ バローニは第5シードのカロリーナ・プリスコバを6-4 3-6 6-4で倒す番狂わせを演じ、約18年ぶりにグランドスラム大会の準決勝に駒を進めた。

 「30代はNEW 10(女性の選挙権獲得活動の歴史を祝うモチーフの新しい10ドル紙幣)ね」とセレナは言った。「今、何が起ころうと、34歳かそれ以上の女性が決勝に進むことになる」。

 そして、36歳のビーナス・ウイリアムズ(アメリカ)もまた、準決勝に進出した。オープン化以降の時代で35歳以上の選手ふたりがグランドスラムのベスト4に進んだのは史上初のことである。ビーナスは木曜日の準決勝で、もうひとりのアメリカ人であるココ・バンダウェイと対戦する。バンダウェイは25歳だ。

 ちなみに男子のほうも、35歳のロジャー・フェデラー(スイス)、31歳のスタン・ワウリンカ(スイス)、30歳のラファエル・ナダル(スペイン)がベスト4入りを決めた。もうひとりがグリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)で、ダビド・ゴファン(ベルギー)を6-3 6-2 6-4で下して2014年ウィンブルドン以来2度目のベスト4入りを果たした。25歳のディミトロフがベスト4の中で最年少となる。

 セレナは準々決勝の対コンタ戦で第2セットにおいてコンタが先にブレークを果たして2-1としたときに、その力を試されることになった。そのときのセレナはラブゲームでブレークバックして3-3とスコアをイーブンに戻し、次のサービスゲームでまたもブレークポイントをセーブ。そのままストレートで試合を終わらせた。

 セレナは10本のサービスエースを決めたが、ファーストサービスからのポイントを45%しか取ることができていない。

 「今、特にフォーカスしているのがサービスなの」とセレナ。「少しフラストレーションを感じているけど、『セレナ、文句を言うのはやめなさい。赤ちゃんみたいに振る舞わないで』と自分に言い聞かせたわ」。

 ルチッチ バローニは1999年、17歳でウィンブルドン準決勝に進んだとき以来のグランドスラム大会のベスト4進出を果たした。

 以前にこの段階までたどり着いたときも、ルチッチ バローニは「22」のグランドスラム・タイトルを持つ選手----シュテフィ・グラフ(ドイツ)と対戦した。彼女がこれから全豪準決勝で対戦する相手、セレナも「22」のグランドスラム・タイトルを持つ。

 グラフはウィンブルドン準決勝でルチッチ バローニに勝ったが、そのあと決勝でリンゼイ・ダベンポート(アメリカ)に敗れ、23番目のタイトルを獲れずに終わっている。

 世界ランキング79位のルチッチ バローニは、キャリアのこの段階でふたたびチャンスを得られたことに驚いていると言った。

 「準決勝進出がどんな選手にとっても大きな意味を持つのはわかっているけど、私にとっては本当に感無量の出来事」と、彼女は準々決勝に勝ったあと、涙を流しながら言った。「このことは真に私の人生を再生させた。過去に起きたすべての悪い出来事も、もう問題ではないわ」。

 ルチッチ バローニはかつてウイリアムズ姉妹と同じくらい将来を嘱望され、神童とみなされていた。1997年、わずか15歳のときに出場した最初の大会で優勝を果たし、その数ヵ月後の1998年全豪オープンでマルチナ・ヒンギス(スイス)と組んだ女子ダブルスで優勝を遂げた。

 ルチッチ バローニとセレナは1998年に2度対戦しており、その中にはセレナが勝ったウィンブルドン2回戦の試合も含まれる。ふたりはそれ以来、ツアーでは対戦していない。

 「あれはセンターコートでの試合だったわ」とセレナは振り返る。「私が憶えているのはそれだけ。本当に若かったから。ただただ、すごく興奮していたわ。彼女も、言うまでもなくすごく若かったわね」。

 翌年にウィンブルドンで快進撃を見せたあと、ルチッチ バローニのキャリアは個人的問題と財政困難によって脱線した。彼女は数年の間テニス界から完全に姿を消し、2007年あたりから小さな大会に出始めて、2010年前後にツアーに戻ってきた。

 近年の困難にも関わらず、ルチッチ バローニは自分がトップレベルで戦えるという信念を決して失わなかったという。

「こうも勝てなくなり、長い時間プレーしないでいたあとには、もちろんその力を失ってしまうもの。失うというより、忘れてしまっていたのよ。そして今、それをふたたび思い出せたことを本当にうれしく思う」

 一方、自分自身の長いキャリアについて聞かれたセレナは、あまりに長くプレーしてきたために自分のかつての元ライバルたちの多くは今やレジェンド・ダブルス(シニア)でプレーしていると言った。

 「ある時点で私は自分がこれらの選手たちの何人かより年上だと思い、『私もレジェンド・ツアーに出るべき?』と思ったこともあった」とセレナは笑いながら話している。(C)AP(テニスマガジン)