「ああ、そうだったよね」と気軽にお付き合いいただきたい「似たもの同士シリーズ」。第2弾も国産車と輸入車のそっくりさん達を新旧4組、当時のカタログとともに紹介しよう。◆アルファロメオ・ブレラとマツダ3ファストバック2006年から日本市場に導入…

「ああ、そうだったよね」と気軽にお付き合いいただきたい「似たもの同士シリーズ」。第2弾も国産車と輸入車のそっくりさん達を新旧4組、当時のカタログとともに紹介しよう。

◆アルファロメオ・ブレラとマツダ3ファストバック

2006年から日本市場に導入されたアルファロメオのクーペモデル『ブレラ』。G・ジウジアーロが手がけたショーモデルを出自とし、やや修正が入りながらも量産化されたその“度合い”は、いすゞ『ピアッツァ』にも通じた。

同世代のセダンだった『159』とほぼ共通のマスク(盾型グリルのサイズなどは異なった)、インテリア、GM由来のメカを採用しながらも、やはり文字通りショーカーが街中に現れたような存在感のあるスタイリングは、今、改めて見てもかっこよさが際立っている。

そしてアルファ好き(!)の筆者は『マツダ3』のカタログを開いてハッとさせられた。『ブレラ』のカタログにも、まさしくほぼ同アングルの写真があったのを思い出したからだ。並べてみたのが今回のカット。

『マツダ3』のファストバックは、ショルダーを落としてマッシブに仕上げたCピラーまわりのデザインが特徴で、初めて実車のロケに同行した際、走る姿を後方から眺めて「ブレラに似ている」と思ったのだが、こうして見較べながら、その思いを新たにした。

◆ルノー・エクスプレスと日産AD MAXとスズキ・アルトハッスル

ベース車のボディ後半を箱に付け替え商用仕立てにしたのが“フルゴネット”で、日本でも有名なのは『カングー』の前身にあたる写真の『エクスプレス』。後の『カングー』よりもさらに潔く、ハッチバックの『5(サンク)』の運転席直上をハイルーフ化し、後部に箱形のキャビンを繋げた。バックドアはルーフ部も開く3方開きだった。


日産の『AD MAX』も同じ手法で作られたクルマ。5名の乗車定員で6:4分割リヤシート付きのワゴンと荷室スペースを確保したバンがあった。さらに同じスタイルで『アルト』をベースに仕立てられたのが1991年発売の『アルト ハッスル』。乗用車ベースでレジャーユースなどを訴求。当時のキャッチコピーは「どーする? ハッスル!」。

◆スズキ・セルボとクライスラー(ランチア)イプシロン

2006年スズキから登場した『セルボ』は、同銘柄の5代目にあたる。初代は『フロンテクーペ』の550cc拡幅版だった。4代目以降の上質感を打ち出しにしたモデルで、スタイリングはこの時代のトレンドのワンモーションフォルムを採用。丸みを帯びたリヤエンドのデザインが特徴的だった。

一方で2012年に日本市場にお目見えしたのがクライスラー名義の『イプシロン』。初めて見た時、筆者は(非常に稚拙な表現だが)このクルマのデザイナーに嘘発見器持参で「あなたはスズキ・セルボというクルマを見たことはありますか?」とインタビューしたいと思ったほど。

とくにリヤクォーター部分のピラー形状、見切り線の構成や丸みを帯びた造形など酷似していると思えたのだが、いかがだろうか? 実車は悲運なクルマで、当時の事情でランチアのバッジが与えられなかったほか、フィアット『500』からの買い替え需要も狙えただろうに、短命でカタログ落ちした。

◆BMW 3シリーズセダンとアコード・セダン

BMW『3シリーズ』はこれまで本連載で何度も取り上げてきたが、2代目の“E30(1982年)”は日本でも本格的にBMW人気が盛り上がった世代のモデル。『3シリーズ』としては初めてセダンに4ドアモデルが設定された。

そして写真の『アコード』は自身では4世代目のモデルで1989年に登場。リトラクタブルライトを採用した3代目に対し、コンサバティブながら端正なスタイルに生まれ変わり、アメリカ製のワゴンもこの世代から登場した。

前文の“端正”という言葉がまさにキーワードなのだが、セダン同士で較べると、とくにキャビン回りの雰囲気に通じるものがある(と感じた)。幅に違いあがるがどちらもサイドウインドゥにクロームの縁取りを回し、BMWの“ホスマイスターキンク”風のグラフィックを『アコード』も採用していた。