内角への速球に詰まって、外角の変化球にタイミングを外されて。はたまた、三振に激高して自らの太ももで……?グラウンドの中で飛び散る木片に、時にはスタンドまでぐしゃりと響くインパクトの音。バットの折れるシーンは、目にも耳にも印象的なシーンだ。…

 内角への速球に詰まって、外角の変化球にタイミングを外されて。はたまた、三振に激高して自らの太ももで……?グラウンドの中で飛び散る木片に、時にはスタンドまでぐしゃりと響くインパクトの音。バットの折れるシーンは、目にも耳にも印象的なシーンだ。データスタジアムでは、観測できる限りにおいてこのようなバットの折れた回数を集計している。

 2016年のレギュラーシーズンを通じて、折れたバットの本数は551本。例年500~600本くらいを推移しているため、この数は特別多くも少なくもない。折れてしまったかどうかを現場ですべて確認している訳ではないため、実際にはもう少し数が増えるとみられるが、シーズンでおおむねこれぐらいの数のバットがインパクトと共にその役割を終えている。

 最も多くのバットを折ったのは黒田博樹(広島)と野村祐輔(広島)で14回。3位の菅野智之(巨人)を含めて、ぐいぐいと打者の内角を攻めていく投手が顔を並べた。反対にバットを多く折られた打者は上位3名がいずれも外国人打者。例年パワーのある外国人打者ほどバットを折っている傾向にあり、2015年はペーニャ(当時楽天)が22本でトップ、2013年にはブランコ(当時DeNA)が25本ものバットを折っている。スイングの強さが、より大きな衝突エネルギーを生み出しているのかもしれない。

 最近では、一般の野球ファンに向けたグッズとして、折れたバットの廃材を利用したお箸も人気があるという。バット1本からつくられるお箸は5膳程度だそうで、これを先の551本と掛け合わせると2755膳。すべての廃材が利用される訳ではないにしても、グラウンドでの仕事を終えたバットたちが生まれ変わり、たくさんの食卓で活躍していると考えると、すこし嬉しい気持ちになる。

文:データスタジアム 
グラフィックデザイン:相河俊介