3月に開幕する第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に向けて、野球日本代表「侍ジャパン」は24日に追加8選手、合計27選手を発表した。今回の選出メンバーでは、アストロズ青木宣親外野手が唯一のメジャーリーガー。青木の代理人でもある…
3月に開幕する第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に向けて、野球日本代表「侍ジャパン」は24日に追加8選手、合計27選手を発表した。今回の選出メンバーでは、アストロズ青木宣親外野手が唯一のメジャーリーガー。青木の代理人でもあるネズ・バレロ氏は、地元紙「サン・センチネル」の取材を受け、マーリンズ田澤純一投手にも招集の声が掛かったが、熟考の末に不参加という苦汁の決断をしたことを明かした。参加を辞退したものの、記事では「タザワにオファーがあったことが大きな一歩だ」と伝えている。
■NPBを経ずに社会人からメジャー入りで論議呼ぶ
3月に開幕する第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に向けて、野球日本代表「侍ジャパン」は24日に追加8選手、合計27選手を発表した。今回の選出メンバーでは、アストロズ青木宣親外野手が唯一のメジャーリーガー。青木の代理人でもあるネズ・バレロ氏は、地元紙「サン・センチネル」の取材を受け、マーリンズ田澤純一投手にも招集の声が掛かったが、熟考の末に不参加という苦汁の決断をしたことを明かした。参加を辞退したものの、記事では「タザワにオファーがあったことが大きな一歩だ」と伝えている。
今年でメジャー9年目を迎える田澤は、2008年オフ、社会人チームENEOSから日本プロ野球界を経ずにレッドソックスとメジャー契約を交わした。同年のドラフトで指名確実の存在だったが、メジャー挑戦の意思表明をし、NPB球団に指名を見送るように願い出たが、前例のない行動が大きな話題に。後に、人材流出を懸念したNPBは、日本でのドラフト指名を拒否して海外のプロ球団と契約した選手は、日本でのプレーを希望する場合、帰国後に大学卒・社会人は2年間、高校卒は3年間はNPB球団と契約できないルールを作った。
これをきっかけに、日本球界と田澤の間に“しこり”のようなものが生まれていたことは否めない。実際に、2013年の第3回大会には招集されず。田澤以外の日本人メジャーリーガーに招集の打診があったことは広く知られている。一方、この年にセットアッパーとして大活躍した田澤は、レッドソックスがワールドシリーズ優勝を果たす原動力になった。
■2013年は田澤以外の日本人メジャーリーガーに招集打診
こういった背景があるからこそ、今回第4回大会に向けて、田澤に招集の打診があったことは、記事が指摘する通り「日本球界との関係改善に向けて大きく前進した」と言えるだろう。「彼は参加要請を受けたことを光栄に思った」「母国を誇りに思うからこそ、彼にとって大きな意味があった」という代理人バレロ氏の言葉は、8年の月日を経て、ようやく雪解けしつつある日本球界との関係性を喜ぶ田澤の素直な気持ちだろう。
惜しむらくは、タイミングの悪さだ。田澤は今オフに初めてFA権を獲得し、マーリンズへ移籍。2年契約を結んでくれたチームに対する「大きな責務」を感じるのは当然のことだろう。これが2年前だったら、あるいは1年前だったら、田澤は侍ジャパン参加の選択肢を取ったかもしれない。訪れることはないはずだった侍ジャパン入りのチャンスを、みすみす手放さなければならなかった決断は、周囲が考える以上に大きなものだっただろう。
記事内でバレロ氏が言うように「彼ら(NPB)がWBC出場を打診してくれたことは、いい兆候の1つ」。米球界も注目する田澤と日本球界の関係は、これからまた少しずつ改善の方向に向かうのだろうか。