専門誌では読めない雑学コラム木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第294回 最近はゴルフ会員権がお値頃になり、我々庶民にも手が届くようになりました。 ネット予約やひとり予約システムが普及したとはいえ、やはり倶楽部メンバーになるのは、また格別なも…

専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第294回

 最近はゴルフ会員権がお値頃になり、我々庶民にも手が届くようになりました。

 ネット予約やひとり予約システムが普及したとはいえ、やはり倶楽部メンバーになるのは、また格別なものがあります。アマチュアゴルファーの憧れであり、自分の居場所としても使えて、ステイタスになる場合もありますからね。

 キャディーバッグにさりげなく倶楽部のタグをつけるのは、ちょっとした自慢です。クラブハウスにはいつも知り合いがいて、心が落ち着きます。

 最近、招待制でメンバーになれる音声SNSのアプリ『Clubhouse(クラブハウス)』が流行っていますよね。あれは、誰かに招待してもらって入れることがうれしいみたいです。気持ちはわからないでもないですが、『Clubhouse』はITリテラシーの高い人たちに譲りましょう。

 我々ゴルフ好きは、自ら申請して会員権を購入。ゴルフ場の"クラブハウス"に胸を張って入ることを目指してはいかがでしょうか。

 そんなわけで、正しいメンバーの入り方をお話ししましょう。というのも、自分としては過去2回、誰も知り合いがいないコースのメンバーになったことがあるからです。その話を含めて、いろんなパターンを記していきたいと思います。

●本来はメンバーの紹介が理想
 会員制倶楽部はゴルフに限らず、ライオンズクラブでも、テニスやヨットのクラブでも、通常最初はメンバーである友だちや先輩などに誘われて遊びに行くことが多いです。

 そこで、「ここはすごくいいところですね」と気に入ったとしましょう。そして、連れて来てもらったメンバーさんから、「あっそう。じゃあ入会すれば。僕が紹介状を書くから」となれば、見事入会への運びとなります。

 ゴルフ倶楽部の場合、入会要項には「メンバーの紹介状2つ必要」とか書いてありますしね。友だちに紹介状を書いてもらうのが一番手っ取り早いです。

 そうして、ひと月ほどが経ち、無事に倶楽部の審査を通過すれば、晴れてメンバーとなります。

 入会して最初のラウンドも、紹介してくれたメンバーの友だちと一緒に行くのがいいでしょう。友だちから「明日、行くから遅れるなよ」などと言われて喜び勇んでいけば、その友だちが他のメンバーさんをたくさん紹介してくれて、ものすごくスムーズに倶楽部に溶け込めたりしますからね。

 ちなみに、老舗のコースなどでは、各月ごとに新入会メンバーのための、親睦ラウンドをやっているところもあります。

 一方、私がメンバーになった時は、倶楽部に誰も知り合いがいませんでした。高級コースのメンバーになっている友だちはいましたが、そこは気軽に入会できるところではありませんでした。予算が足りないのです。

 ゆえに、知り合いの会員権屋さんと相談し、予算や交通の便、コースレイアウト、メンバーの数、倶楽部の評判などを考慮して、入会オススメの倶楽部を探してもらいました。自分の希望を言えば、会員権屋さんはいくつか候補を出してくれます。

 そこで、もし気に入った倶楽部があれば、「じゃあ、視察プレーをしてください」となり、お目当てのコースを予約してくれます。私も実際、それでラウンドしに行きました。

 会員権屋さんは、たくさんの人に会員権を売っているので、平日ならその倶楽部のメンバーに連絡して予約を頼めるわけです。

 そうやって2~3回、いろんなコースをラウンドし、自分のお気に入りを見つけて「じゃあ、ここでお願いします」となると、会員権屋さんが必要書類を用意してくれます。さらに、こっちが知らなくても、会員権屋さんのツテで紹介状を2通調達してくれて、自分はそれらを持って倶楽部の面接に向かいます。

 ちなみに当時、20数年前の紹介状の謝礼は3万円。ふたりだと6万円払うことになります。それって、結構なバイトになりますよね。もちろん、入会者が知り合いの場合は、その謝礼は取れませんけどね。

 さて、面接を受けて、晴れてメンバーになれたら、憧れのクラブライフを満喫だ!って、思うでしょ? ところが、そう簡単にはいかないのです。

 会員権屋さんを通じて、誰も知り合いのいない倶楽部のメンバーになることを、私は「落下傘メンバー」と言っています。入会の仕方が上からズトンという感じでしょ。

 実は、そのような落下傘メンバーは、倶楽部でなかなか友だちを作れない。それが問題でした。

 最初、1994年ぐらいに南総カントリークラブに入ったのですが、まだゴルフ熱が凄まじく、どこも予約がいっぱいでした。だから、平日にひと組予約を取ると「行きたい」という友だちがすぐに現れます。そんなふうに、友だちとラウンドしているだけで、スケジュールが埋まってしまう感じでした。

 そうやって慣れてくると、いよいよハンデキャップを取得。競技にも参加するようになったのですが、そこまでたどり着くのに数年かかりましたね。

 しばらくして、突如南総CCの経営不安説が流れて、会員権価格が暴落。「これは、まずい」「まだ会員権が売れるうちになんとかしなきゃ」という状況に陥りました。結局、いろいろと手を尽くして、痛手を最小限に止めて退会しました。

 それから程なくして、私は2度目のメンバー入りをします。それが、鶴舞カントリー倶楽部でした。

 南総ではお友だちラウンドばっかりだったので、鶴舞CCではハンデを取ったら、すぐに月例にエントリーすることにしました。

 最初は「みんな、うまいんだろうな」と緊張して競技に参加したのですが、おおよそ自分とどっこいどっこいの腕前でひと安心。そりゃ、ハンデ戦ですから、シングルもいれば、100を叩く人もいるわけですよ。別に腕前で入会制限をしているわけではないので、多種多様な人がいて当たり前なのです。

 競技に半年ぐらい出るようになると、顔見知りができて、挨拶するような関係も徐々に築くことができました。

●メンバーの紹介でなくても......
 ここでまた、話を知り合いの紹介で、という話に戻します。

 メンバーの紹介で入った場合、その友だちグループの一員としての倶楽部活動となります。最初こそワーッと友だちの和が広がりますが、その仲間内でのラウンドがメインなので、実は狭い世界なのです。

 逆に、私のように誰も知らないでメンバーになると、ひとりで競技にエントリーするので、毎回新しい知り合いができるのです。

 どっちがいいか、という問題ではないのですが、倶楽部では「派閥を作りたがる」タイプと、「一匹狼で群れをなさない」タイプとに分かれます。これは、間違いないですね。


自らのゴルフ人生において、一度は

「倶楽部ライフ」を堪能してみるのも悪くはありません。illustration by Hattori Motonobu

 足かけ15年ぐらいメンバーでいましたが、一度競技にどっぷりハマって、入賞を目指すのは悪くないです。

 中学、高校と運動部でしたが、補欠で終わりました。だから、極端な言い方をすればスポーツで選手になったことはありません。そういう意味では、40歳を過ぎて、初めてスポーツ競技の選手になれて、しかも競技会で優勝まで経験するなんて、夢のようでした。

 特に2日間で行なわれた大きな競技では、2日目に最終組でのスタートでした。プロのトーナメントみたいで興奮しましたね。おそらく、この最終組の4人の中から優勝者が出るわけですから、なおさらです。

 そうして、見事に優勝。「競技に参加してよかった!」と思う瞬間です。

 けど、こうして頂点を極めると、人間はマンネリになり、次第に勝てなくなります。それもまた、アマチュアゆえ、仕方のないことです。

 テンションはそう長くは続きません。そうしたらまた、普通に遊びに行って、メンバー同士でラウンドすればいいだけです。

 長い人生、一度は倶楽部ライフを満喫し、競技で入賞したいですよね。機会があれば。ぜひトライしてみてください。