オーストラリア・メルボルンで開催されている「全豪オープン」(1月16~29日/ハードコート)の大会7日目、女子シングルス4回戦。 アンジェリック・ケルバー(ドイツ)は初めてグランドスラム大会にトップシードとして臨むことに対して、自分にプ…

 オーストラリア・メルボルンで開催されている「全豪オープン」(1月16~29日/ハードコート)の大会7日目、女子シングルス4回戦。

 アンジェリック・ケルバー(ドイツ)は初めてグランドスラム大会にトップシードとして臨むことに対して、自分にプレッシャーをかけすぎるような真似はしないと言っていた。だが彼女は明らかに、ナンバーワンであることに慣れつつあるところのようである。  ケルバーは昨年の全豪オープンでのブレークに続き、全米オープンで2つ目のグランドスラム・タイトルを獲得したあと、ランキングでセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)から首位の座を奪った。しかしそれ以来、彼女の成績は7大会に出場して優勝はなし。トップ50の選手に対して5勝7敗と負け越している。

 そして、メルボルンでのタイトル防衛も、4回戦のココ・バンダウェイ(アメリカ)に対する2-6 3-6という敗戦で、時期尚早な終わりを迎えた。

 「今夜、私はまったくボールの感触をつかめなかった」とケルバー。「最初のポイントから、いいプレーができていなかった」。

 ケルバーは今年の初めから心地よくプレーしているようには見えなかった。彼女は全豪オープンの前哨戦にあたる2つの大会で早期敗退し、メルボルンでも大会が始まると最初の2試合でセットを落としつつ、自分のリズムをつかむのに苦労していた。  バンダウェイに対する試合で、通常はアグレッシブなケルバーが、ただただ相手に圧倒されていた。相手のウィナー「30」に対して、ケルバーのウィナーの数はわずか「7」。第2セットではワンブレークアップし、試合のコントロールを取り戻したかに見えた彼女だが、バンダウェイは非常に正確なフォアハンドのウィナーでふたたび攻め込み、ケルバーはそのショットをただ力なく見送った。

 ウィンブルドン準々決勝に進出したことのあるバンダウェイは、頻繁に安定性を欠いており、自分の感情や気性に押し流されてしまうこともある選手だった。だが、この試合での彼女は落ち着き払っているように見え、ケルバーよりもずっとのびのびとグラウンドストロークを打っていた。  自分のサービスをきっちりキープして試合を終わらせたあと、バンダウェイは勝利を祝うジェスチャーすらしなかった。彼女は肩を軽くすくめただけだったのである。

 2016年を4連敗で終えたあと、バンダウェイは新しい考え方をもって新シーズンに臨んだ。彼女はコート上でより自信を表に出し、よりのびのびとプレーしたいと思っていた。そして、今年最初のグランドスラム大会では準々決勝に進出するという目標を立てた。彼女はそれをやってのけたのである。  「コートに出て行って対戦相手と……どんな対戦相手ともプレーする。私は勝つことを予想しつつコートに出ていくの」とバンダウェイ。「相手が誰だろうと、それはただ私の前にいる別の人。世界1位だろうと130位だろうと、それは問題じゃない。それは変わらず、私が目標を果たすための道に立ちはばかる対戦相手なのよ」。

 ケルバーはふたたび自信を見出すだろう。もしセレナが全豪で優勝すれば、彼女はナンバーワン・ランキングを失う可能性がある。それはともすると、優勝候補としての彼女が感じていたプレッシャーを軽くする助けとなるかもしれない。  「これはまだ年の初めに過ぎないわ」とケルバー。「私はまだ自分のテニスを向上させることができる。これはいいことよ」。

 この試合はロッド・レーバー・アリーナのナイトセッションの最終試合だったが、デイセッションでは男子世界1位のアンディ・マレー(イギリス)が50位のミーシャ・ズベレフ(ドイツ)に5-7 7-5 2-6 4-6で敗れ、同じ日に男女の世界1位が大会から姿を消す波乱の一日となった。(C)AP(テニスマガジン)