オーストラリア・メルボルンで開催されている「全豪オープン」(1月16~29日/ハードコート)の女子シングルス3回戦。 年齢についての話に敏感に反応するという理由で、ビーナス・ウイリアムズ(アメリカ)を責めることはできない。何より全豪オー…

 オーストラリア・メルボルンで開催されている「全豪オープン」(1月16~29日/ハードコート)の女子シングルス3回戦。

 年齢についての話に敏感に反応するという理由で、ビーナス・ウイリアムズ(アメリカ)を責めることはできない。何より全豪オープンでの彼女は、そのことについて自分をからかうような形のジョークを言い続けている。

 例を挙げよう。マーガレット・コート・アリーナで行われたドゥアン・インイン(中国)との3回戦のあと、オーストラリアの偉人である「マーガレット・コート」について尋ねられたビーナスは、コートからの手紙を記念品として自分の部屋の壁に貼ってあると答えた。

 「それは、私がドローの中でもっとも歳をとった選手であることへのお祝いの言葉のようなものなの」と、彼女はまじめな顔で言った。

 36歳のビーナスは、テニス界での彼女の年齢の高さや、どれくらい頻繁に引退について考えているか、コート上で20年以上過ごしたあと、何が彼女にモティベーションを与え続けているのか、といったことについての、多すぎる年齢についての質問にうまく答えてきた。

 確かにビーナスは73度目のグランドスラムのシングルスドローの中にいる。これはオープン化後の時代での最多記録だ。

 イボ・カルロビッチ(クロアチア)やロジャー・フェデラー(スイス)など、彼女と同じ年齢の男子プレーヤーは同じような質問を絶え間なく投げられてはいない。でも、彼女がメルボルン・パークのドローの中でもっとも年齢の高い女子プレーヤーであることは事実である。

 うんざりした様子を見せる代わりに、ビーナスは微笑み、聞かれるたびに、ときにジョークを交えながら辛抱強く答えている。そして彼女は今週、自分がいまだ、優勝や、それに近いものを狙って戦う力を持つ競技者であることを自らのプレーではっきりと示して見せた。彼女は1セットも落とすことなく、キャリア10度目の全豪4回戦進出を果たしたのである。

 ビーナスのプレーを一度も見たことがないと認めた対戦相手のインインに対して、第13シードのビーナスは1ゲームしか落とさず、6-1 6-0で勝利した。。

 「ここにいるすべての選手たち同様、私は多くの練習を積んでいるのよ」とビーナスは週の初めに言っていた。「私は目的なく、ただ楽しむために遠方のオーストラリアまで来ているわけではない。競技者としてここにいる」。

 ビーナスはまた、くだらない論争やゴシップに巻き込まれたくないと考えていることを態度で示した。彼女は2回戦でテレビ解説者が、彼女のプレーを『ゴリラ』効果とも『ゲリラ』効果とも聞こえる言い方で、彼女が前方に踏み込んで行ったと表現したことについてコメントすることを拒否した。

 解説者のダグ・アドラーは、彼女の戦術的選択をゲリラ戦法と言ったのだと主張しつつ、言葉の選択がよくなかったと謝罪したが、結局、ESPNの大会の残りの仕事から外されてしまった。

 「私が言える唯一のことは、ここまでは私にとってポジティブなことがいっぱいの本当に素晴らしいキャリアだったということ。それが、私が集中していることよ」とビーナス。彼女はそのキャリアを通して、人種差別から給金の男女平等まで、問題と向かい合うのに尻込みしたことはなかった。

 「私は注目する価値のある状況に注意を払い、取り組むのよ」。しつこく聞かれるとビーナスはこう言い添えた。「明らかに、これまでも私はそうしてきたでしょう?」。

 ビーナスが話したいと思っていることは、彼女のテニスについてだ。特に、キャリアを通して一度しか決勝に進んだことのないメルボルン・パークで勝ち続けている限りは。

 ビーナスの次の対戦相手は、予選を勝ち上がった世界181位の26歳、モナ・バートル(ドイツ)だ。

 「決して今で十分と感じることはないわ」とビーナス。「私は過去にも4回戦に進んでいる。以前にもその味をしめているのよ。それはいつも素晴らしい気分だわ。準々決勝に進むチャンスを手にしているということを意味しているわけだから」。(C)AP