オーストラリア・メルボルンで開催されている「全豪オープン」(1月16~29日/ハードコート)の大会5日目。 第2シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)、第7シードのマリン・チリッチ(クロアチア)のほか、地元期待の第14シード、ニック・…
オーストラリア・メルボルンで開催されている「全豪オープン」(1月16~29日/ハードコート)の大会5日目。
第2シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)、第7シードのマリン・チリッチ(クロアチア)のほか、地元期待の第14シード、ニック・キリオス(オーストラリア)らが1週目で早くも敗退する中、第5シードの錦織圭(日清食品)が3回戦に臨んだ。予選上がりの世界121位、ルーカス・ラッコ(スロバキア)の快進撃を封じ、6-4 6-4 6-4のストレート勝ち。第10シードのトマーシュ・ベルディヒ(チェコ)を6-2 6-4 6-4で破ったロジャー・フェデラー(スイス)との注目の4回戦へ駒を進めた。 また、女子ダブルスでは穂積絵莉(橋本総業ホールディングス)/加藤未唯(佐川印刷)が2回戦でアリゼ・コルネ(フランス)/マグダ・リネッテ(ポーランド) を3-6 6-3 6-3の逆転勝ち。全米オープンに続く3回戦進出を果たした。
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全豪オープンにアリーナは3つある。規模の順には、センターコートであるロッド・レーバー・アリーナ、ハイセンス・アリーナ、マーガレット・コート・アリーナで、キャパは1万5000席、1万席、7500席となっている。しかし、ハイセンス・アリーナがグラウンドパスで入れるのに対して、それよりも小さいマーガレット・コート・アリーナは指定のチケットが必要だ。
錦織が1、2回戦を戦ったハイセンス・アリーナには多くの日本人ファンが詰めかけたが、この日の舞台はマーガレット・コート・アリーナ。チケットが手に入らず、外でスクリーン観戦する日本のファンも少なくなかったが、スタンドに日の丸の旗や日本語の声援が減ったことは否めない。それでも錦織の躍動感は衰えるどころかむしろ高まり、地元のファンを大いに湧かせた。
第1セットは第7ゲームをブレーク。第2セット第1ゲームが終わったところで雨が降り出したことも錦織に味方した。
「屋根も閉まったので、風もなく、思いきり打てたのがよかったと思います」
ダブルブレークで4-0とした第2セットは、第8ゲームでひとつブレークバックを許したものの難なく逃げきり、第3セットは第5ゲームでブレークに成功。予選からここまで5連勝してきたラッコは、それがまぐれではないことを示す確かなストローク力と、世界5位に対する果敢なチャレンジ精神を見せたが、錦織は試合を通してリードを奪われるピンチにすら直面しなかった。
オンコートインタビューでは「今日は一度もブレークポイントも握られなかったと思うので…」と言ったが、先述のようにブレークをされているので、そこは記憶違いだ。ただ、それくらい気分的に圧倒していたということだろう。本人のみならず、誰が見ても文句なしの勝利だった。
そして、4回戦の舞台は整った。相手は17回のグランドスラム優勝を誇るフェデラーだ。錦織は過去2勝4敗だが、グランドスラムで対戦するのは初めてとなる。
フェデラーは「ケイのことは17歳のときから知っているけど、僕は彼のテニスがすごく好きだ」と言い、錦織のほうは「純粋に楽しみですし、ランキングは関係ないと思うので、しっかり集中して、思いきってプレーしたい」と話した。
語気以上に強く、熱い思いを感じる言葉だった。
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日本女子はシングルスで全滅したが、ダブルスで希望をつないでいる。強風が吹く難しいコンディションの中、穂積と加藤は、ていねいさと積極性のバランスで相手チームにまさった。
両チームともにアンフォーストエラーの目立つ試合ではあったが、よりムードを下げていったのはコルネ/リネッテのほうだった。最終セット第3ゲームでブレークに成功した穂積/加藤は、第7ゲームで2度目のブレークに成功。すぐにブレークバックされたが、最後はリネッテのサービスゲームで相手のミスを誘って、ふたたびブレークで試合を締めくくった。
全豪オープンはジュニア時代にこのペアで準優勝した場所だ。
「いい思い出です」と言う加藤に対し、穂積は加藤がミスしたイージーなボレーのことが今でも忘れられないようで、ことあるたびに持ち出す。そんなことを言えるのも、長い間コンビを組んでいるからこそ。遠慮の必要がない関係を武器に、今度はグランドスラム初のベスト8入りを狙う。
準々決勝の相手はダブルス元世界1位のサーニャ・ミルザ(インド)とバーボラ・ストリコバ(チェコ)という強敵だ。
(テニスマガジン/ライター◎山口奈緒美)