オーストラリア・メルボルンで開催されている「全豪オープン」(1月16~29日/ハードコート)の男子シングルス2回戦で、これまで6度全豪を制してきた第2シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)がワイルドカード(主催者推薦枠)で出場した世界…
オーストラリア・メルボルンで開催されている「全豪オープン」(1月16~29日/ハードコート)の男子シングルス2回戦で、これまで6度全豪を制してきた第2シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)がワイルドカード(主催者推薦枠)で出場した世界ランク117位の30歳、デニス・イストミン(ウズベキスタン)に敗れるという衝撃の番狂わせが起きた。
ジョコビッチは全豪で7度優勝した最初の男子プレーヤーとなることを目指していた。その彼はイストミンと対戦した過去5度のケースで、1セットしか落としたことがなかったのである。
それはジョコビッチにとって、ロッド・レーバー・アリーナで長い午後を過ごすことを運命づけられていた日だった。彼は第1ゲームでサービスをキープするのに6度ブレークポイントをセーブし、24本のファーストサービスと9本のセカンドサービス、15分の奮闘を必要としたのである。
そして4時間48分の戦いのあと、ジョコビッチはサービスリターンをアウトし、イストミンに7-6 (8) 5-7 2-6 7-6 (5) 6-4の勝利を手渡してしまった。
「素晴らしいプレーをしたデニスを称えたい。彼は勝利に値した。今日の彼は大事な状況において、よりすぐれたプレーヤーだった。彼は臆さず、アグレッシブにプレーしてきた」と試合後、ジョコビッチは言った。
「当然ながら、僕は自分の全体的なパフォーマンスをうれしく思っていないが、対戦相手を祝福しなければならない。肝心な瞬間、必要なときに決まって彼は、素晴らしいサービスと素晴らしいプレーを持ち出してきた」
昨年トップ100の外に滑り落ちたイストミンは、これまで一度もグランドスラム大会でトップ10プレーヤーを倒したことがなかった。
「これは僕にとって最大の勝利だ。すごく大きな意味を持つものだよ」とイストミン。「今、僕は自分がこれらの(トップ)選手たちと戦えると、彼らと同じレベルでプレーできると感じている」。
イストミンのトップ10プレーヤーに対する33試合で、これ以前の唯一の勝利が2012年インディアンウェルズで、当時5位だったダビド・フェレール(スペイン)を倒したときのみだった。
ジョコビッチは2011年からの全豪オープン6大会のうち5大会で優勝しており、2007年以来、毎年4回戦かそれ以上まで勝ち上がっていた。2007年は彼がメルボルンパークで最初のグランドスラム・タイトルを獲得する一年前に当たる。
「僕は全豪オープンの2回戦で負けることに慣れていない。ここではいつも非常にいい成績を挙げてきたから」とジョコビッチは言った。
これ以前に彼がグランドスラム大会で2回戦を越えることに失敗したのは、2008年ウィンブルドンにおいてだった。その年、彼は第3シードだったが、当時世界75位だったものの2度グランドスラム大会を制したマラト・サフィン(ロシア)に敗れた。
ジョコビッチがイストミンに敗れたこの試合で、ロッド・レーバー・アリーナは完全に満杯ではなく、最終セットの段階で少なくとも1万5000席の5分の1ほどが空席になっていた。
セルビアの旗を振っていた数人の女性がいただけで、通常は騒々しいジョコビッチのセルビア人ファンたちの姿もなかった。第5セットでは番狂わせの予感に、観客の大部分は「カモン、デニス!」と叫びつつ、イストミンを後押ししていた。
最終セットでイストミンがバックハンドのダウン・ザ・ラインを決めてジョコビッチのサービスをブレークして3-2とリードを奪ったとき、イストミンが雄叫びをあげると観客たちも立ち上がってともに吠えた。
セットが進む中、ジョコビッチはポイント間に頭を垂れ、リターンの準備のためベースラインの後ろをゆっくりと歩きながら感情を抑えているように見えた。
ジョコビッチの最後のボールが浮いてアウトとなったとき、イストミンが腕を空に突き上げる中、観客たちは跳び上がって歓声を上げた。
「第一に、ノバクに申し訳なく思う。僕は今日、本当にいいプレーをした」とイストミン。「僕自身もすごく驚いているんだ」。
30歳のイストミンは次の3回戦で、第30シードのパブロ・カレーニョ ブスタ(スペイン)と対戦する。
この試合から何をつかむのかと聞かれたジョコビッチは「荷物をつかんで家に帰る」と答えた。(C)AP(テニスマガジン)