オーストラリア・メルボルンで開幕した 「全豪オープン」(本戦1月16~29日/ハードコート)のシングルスには、男女合わせて9人の日本選手が本戦出場。 初日は錦織圭(日清食品)をはじめ6人が登場した。錦織は昨年同様、準センターコートである…
オーストラリア・メルボルンで開幕した 「全豪オープン」(本戦1月16~29日/ハードコート)のシングルスには、男女合わせて9人の日本選手が本戦出場。
初日は錦織圭(日清食品)をはじめ6人が登場した。錦織は昨年同様、準センターコートであるハイセンス・アリーナの開幕試合を戦い、世界ランク48位のアンドレイ・クズネツォフ(ロシア)に5-7 6-1 6-4 6-7(6) 6-2と大苦戦したが、無事2回戦に駒を進めた。
グランドスラム8大会連続の初戦突破を目指した奈良くるみ(安藤証券)は予選勝者のシュテファニー・フォーゲレ(スイス)に6-2 2-6 3-6の逆転負けを喫し、グランドスラム・デビューから2年目に入った日比野菜緒(LuLuLun)は第32シードのアナスタシア・セバストワ(ラトビア)に第1セットを4-6で奪われたあと、腰痛のために棄権した。
日本女子のエース土居美咲(ミキハウス)は67位のポリーヌ・パルモンティエ(フランス)に5-7 5-7。予選を突破してグランドスラム初出場を果たした穂積絵莉(橋本総業ホールディングス)は89位のカリナ・ビットヘフト(ドイツ)に善戦したが、5-7 6-7(6)で逃げ切られた。
予選突破で2年ぶりの全豪出場を果たした添田豪(GODAI)はマレク・ジャジリ(チュニジア)に3-6 4-6 3-6の完敗。結局、錦織以外は全滅の初日となった。
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3時間34分のタフマッチ。約2時間経ってインタビュールームに現れた錦織の表情には、もっと早く締めくくれなかった後悔や反省よりも、難しい局面を乗り切った満足の色がより濃く表れていた。
クズネツォフはそれだけ嫌な相手だった。昨年の全仏とウィンブルドンで対戦し、いずれも錦織がストレート勝ちしているが、サービス力とフラットの強打が強みで、錦織が「1回戦ではあんまりやりたくない選手」と感じていた分だけ、クズネツォフのほうは手応えがあったのではないだろうか。チャレンジャーの立場も生かし、過去2回にも増して強気で攻める25歳に、錦織は得意のラリーで押されがちだった。
第1セット、第9ゲームで両者を通じて初めてのブレークポイントはクズネツォフが握り、これを生かした。錦織もすぐにブレークバックするが、ふたたびラブゲームでのブレークを許し、5-7でセットを失う。
第2、第3セットを連取した錦織は第4セットのタイブレークを5-2とリード。錦織のダウン・ザ・ラインは頻繁に効いたが、ここにきてもクズネツォフのショットは深く、角度も鋭い。錦織は4ポイントを奪われ、自分のマッチポイントより先にセットポイントを握られた。ここはしのいだものの結局、勝負はファイナルセットへ。
失意からすぐに気持ちを切り替え、「集中することができた」のは「体のコンディションは問題なかった。メンタルで攻めきれていなかった」と原因を分析できていたからだろう。
その後は集中力の差が勝敗を分けた。最終セットのクズネツォフのファーストサービスの確率は48%と落ち、錦織にチャンスが巡ってきた。第4ゲームをラブゲークでブレークすると、第5ゲームはブレークバックのピンチをしのいだ。クズネツォフの攻めの姿勢は変わらなかったが、錦織のディフェンスからの切り返し力が上回り、最後はクズネツォフがダブルフォールトで力尽きた。
2回戦の相手はジェレミー・シャルディ(フランス)。対戦相手のニコラス・アルマグロ(スペイン)が途中棄権し、わずか23分で勝利した。錦織とは対照的な勝ち上がりだが、「まあ1回戦なので。これが3、4回戦なら恨みますけど…」と錦織。疲れや痛みなど、明日以降に出てくるかもしれない影響についても一切不安を口にしなかったのが印象的だ。むしろ、苦手意識のあった相手と激しく打ち合い、勝ちきったことに、2回戦以降に向けていいリズムと自信を得たように見えた。
(テニスマガジン/ライター◎山口奈緒美)