専門誌では読めない雑学コラム木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第291回 今回は"なぞかけ"から、始めましょう。「ゴルフのホームコースとかけて、自分のペットと解く」 その心は?「なんだかんだ言って、褒めてほしい」となります。 ゴルフ場のメンバ…

専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第291回

 今回は"なぞかけ"から、始めましょう。

「ゴルフのホームコースとかけて、自分のペットと解く」
 その心は?
「なんだかんだ言って、褒めてほしい」となります。

 ゴルフ場のメンバーになった暁には、友だちをホームコースに呼びたいじゃないですか。そしてその際には、たとえアップダウンがキツくても、料金がバカ高くても、ガラの悪い客が多くても、「なかなか素敵なコースですね」と言われたいんですね。

 ペットを溺愛する人も、たとえ、飼っている犬がずんぐりむっくりしていても、ちょっとブサイクな顔をしていても、「可愛いワンちゃんですね」と言われたい。ホームコースを持っている人たちの気持ちは、それとほとんど同じです。

 私も過去に2回、倶楽部のメンバーになりました。やっぱり連れてきた友だちには、褒めてほしい。というか、褒めてほしいから呼んだ、と言っても差し支えないでしょう。

 私の所属していたコースは、そこそこ名の通ったコースで、褒める箇所もわかりやすく、連れて来られた人も、お世辞ポイントを探すのに苦労しませんでした。

 もちろん逆に、自分がどこぞのコースに呼ばれて、今度は自分が褒めなければいけない立場になってしまう、ということもあります。多くは無難にコースを褒め称えますが、ごくたまに何をどう褒めていいのか、悩んだりする場合があります。

 そういう時は、どこを褒めたらいいのかヒントをもらいに、呼んでくれた人をヨイショします。「なかなか雰囲気がいいコースですね」と、無難な褒め言葉を散りばめるんですね。

 ただこうした場合はおおよそ、こちらの"誘い"をつかみにして、相手が訳のわからぬ自慢を展開し始めます。「ここはいろんなライから打てて、いい勉強になる」とか。それって、単にアップダウンがきついだけではないか!? と思うんですが、「打ち応えがありますね~」と、お世辞を言っている自分がいたりして......。

 このように、ゴルフ場のコースの褒め方は"ものは言いよう"です。

 そこで今回は、さまざまなパターンに分けて、褒めづらいコースのヨイショの仕方を考えてみました。知り合いのホームコースに呼ばれて、褒めようがない時のネタにでもしてください......って、ほんまかいな。

(1)アップダウンが激しいコース
 昔は乗用カートがなかったので、ものすごく嫌われましたが、今はカートがあるので楽々プレー。結構「楽しい」という人もいます。また、世間一般では平らなコースが人気で、アップダウンのあるコースは、比較的料金がお手頃になっている場合が多いです。

 こうしたコースの褒め方としては、古いコースの場合、こんな感じでしょうか。

「重機がまだ使えない時代の造営で、自然の起伏を巧みに生かし、ゴルフ本来の楽しみを満喫できる」

 どうです? 確かに"ものは言いよう"ですね。さらには――。

「すべてのライがここに詰まっている。スコットランドのリンクスのような、神が創造したような自然のライ。それを満喫できるコースじゃないか」

 こうやって、大げさに褒め称える人もいるでしょうが、実際のところ、単に上り下りが激しいだけのコースですから......。



どんなコースであっても、メンバーさんは褒めてもらいたいんですね...。illustration by Hattori Motonobu

 ついでに言うと、褒め方の話ではありませんが、たまに河川敷コースなどで、フェアウェーがボソボソで、いたるところで芝生がハゲていて、ベアグランドがむき出しのコースがありますよね。そういうコースに出会ったときは、「ここで100を切ったら、他のコースなら80を出せる」と思えばいいのです。

 さすれば、あら不思議、ボソボソの河川敷コースがいつの間にか、全米プロが開催されるコース並みの、難易度の高いコースに思えてきますから......って、これまた、なんだかなぁ~。

(2)非常に簡単なコース
 距離が短くて、簡単なコースってありますよね。ドライバーで打ったら、セカンドはほとんどショートアイアンでグリーンを狙えるようなところです。

 ゴルフは簡単すぎてもつまらないものです。攻略する醍醐味があっての遊びですから。そういうコースを褒める場合はこうです。

「やたらと自信のつくコースだから、スランプに陥ったら、ここでリハビリするといいかも」

 他に「究極のかませ犬コース」とか「『みんなのGOLF』リアル版コース。打ったら、誰もが虹を見る」って、もう褒めすぎで笑い出しそうです。が、度がすぎると、メンバーさんの顔が笑っていない場合があるので、ほどほどに......。

(3)コースに褒めるところがない場合
 どう頭をひねっても、コースにおいてお世辞さえ言えない場合があります。その時は、他の部分を褒めればいいのです。

「キャディーさんやスタッフさんは、みんな若くて綺麗だ」と言うのがいちばん無難で、相手も喜びます。

 最近のゴルフ場は、若い女性を結構雇っています。それは、単に世代交代です。ゴルフ場から見れば、人件費の高い中堅どころを雇い続けるなら、人件費の安い新人を雇ったほうが、経費的に安く済むし、コースも活性化するからです。

 その他、「レストランの食事が安くて美味しい」というのも、定食屋みたいですが、無難な線でアリかと思います。

 ところで、やたら混んでいて、メンバーが多い大衆コースもあります。いつも渋滞ですが、こういうコースのメンバーさんは、メンバーの腕前を自慢してきます。

「うちはメンバーが多いから、層は厚いよ。クラブ対抗は常に上位だから。名前だけの名門コースなんかにゃ負けいないよ」ってね。そういうあなたは、クラブ代表ですか? と聞きたくなりますが、そこは突っ込まないでおきましょう。

(4)名物ホールを褒める
 たいてい、どんなコースでも"名物ホール"というものがあります。そこを褒めてあげるのが、最も無難で賢い方法だと思います。

 私が以前メンバーだった鶴舞カントリー倶楽部にも、「鶴舞のアーメンコーナー」と言われるポイントがあります。東の12番から数ホールが微妙に曲がりくねったレイアウトになっていて、刻みどころを間違えると、大変なことになりました。「アーメンコーナー」と呼ぶのは大げさですが、競技の時は確かに厄介でした。

 このようなシグネチャーホールというのは、必ずあります。大概、お茶屋が前にある池越えのショートホールなんかがそうで、そこで「うっとりしますね。しばらくここに佇んでいたい」と言えば、メンバーさんが売店でコーヒーの一杯でもおごってくれるんじゃないでしょうか。

 メンバーさんにコースに誘われたら、そこはかとなくコースを褒める――これぞ、最大にして、最も重要なマナーです。それさえうまくこなせれば、メンバーさんよりいいスコアを出しても、笑って許してくれますよ。