パラスポーツ大会の“2021年国内初戦”ともいえる大会が、1月30日から31日に東京都内で開催予定の、「第21回全日本パラ・パワーリフティング国際招待選手権大会」だ。残念ながら、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から海外選手の招待は見送…


パラスポーツ大会の“2021年国内初戦”ともいえる大会が、1月30日から31日に東京都内で開催予定の、「第21回全日本パラ・パワーリフティング国際招待選手権大会」だ。残念ながら、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から海外選手の招待は見送られ、大会も無観客開催となるが、試合の模様はWEBで配信される。日本一をかけたパラ・パワーリフターたちの熱い戦いを全国各地どこからでも観戦できるのだ。

パラ・パワーリフティングは台上に仰向けに横たわった状態から、いかに重いバーベルを押し挙げるかを競うベンチプレス競技で、下半身に障がいのある選手が対象なので、腕力など上半身だけで行う点が特徴だ。障がいによるクラス分けはなく、体重別に男女それぞれ10階級に分かれて競う。他競技の選手がトレーニングメニューとして取り入れることも多いパワーリフティングは急速に発展したパラ競技の一つで、現在は約100カ国で実施され、日本の選手層も近年、厚みを増している。

固定した台上で試合が展開し、1回の試技の成否が数分間で決するパワーリフティングはWEB配信とも相性の良い競技のひとつだ。画面を通して選手の表情や動作をつぶさに観ることができ、緊張感や迫力も十分に共有できる。今大会を主催する日本パラ・パワーリフティング連盟では昨年10月の国内大会でもWEB配信の実績があり、今大会ではさらにWEB配信に特化した趣向も凝らしているという。例えば、スマートフォンがあれば、どこからでも会場に声援を届けられるリモート応援システム「Remote Cheerer powered by SoundUD」を導入予定。「新様式」の観戦体験もできそうだ。


昨年10月に開催された第3回パラ・パワーリフティングチャレンジカップ京都大会

■「3秒のドラマ」の簡単ルールと見どころ

パラ・パワーリフティング競技はシンプルだが、奥深い。選手は台上に横たわってバーベルをラックから外し肘を伸ばして待つ。主審の「スタート」の合図後、1)まずは肘を十分に曲げてバーベルを胸の位置まで下ろして静止し、2)次に両肘が伸び切るまで一気に押し挙げて静止する。再び、主審の「ラック」の声でバーベルを戻して試技は終了し、判定を待つ。1)から2)までの時間はほんの一瞬で、パワーリフティングが、「3秒のドラマ」と言われるゆえんだ。上半身の筋力や瞬発力に加え、メンタル面での高い集中力も求められる。

成否の判定ポイントもバーベルが挙がればよいわけでなく、「押し挙げるときにバーベルが傾いていないか」「動きはスムーズか」などが厳しく審査される。3人の審判がそれぞれ判定し、白ランプが2つ以上点灯すれば、「グッド・リフト(成功)」、赤ランプが2つ以上なら、「ノーリフト(失敗)」を意味する。

各選手は3回の試技を行い、最終的に最も重いバーベルを挙げた選手が勝ちとなる。世界トップクラスになると、自身の体重3倍分の重量を挙げる選手もいるから驚きだ。また、「新記録」への挑戦として審判が認めたときは4回目の試技が行われることもある。ただし、成功してもその重量は順位決定には考慮されない。