復活への足がかりとする挑戦だった。ソフトバンクの松坂大輔。「平成の怪物」と呼ばれ、球界を代表する投手だった右腕が、相当の覚悟を胸に秘めて挑んだ異例の舞台。それが日本から遠く離れたプエルトリコの地で行われていたウィンターリーグへの参戦だった。…

復活への足がかりとする挑戦だった。ソフトバンクの松坂大輔。「平成の怪物」と呼ばれ、球界を代表する投手だった右腕が、相当の覚悟を胸に秘めて挑んだ異例の舞台。それが日本から遠く離れたプエルトリコの地で行われていたウィンターリーグへの参戦だった。

■今季37歳、復活への足がかりに…異例のウィンターリーグ挑戦

 復活への足がかりとする挑戦だった。ソフトバンクの松坂大輔。「平成の怪物」と呼ばれ、球界を代表する投手だった右腕が、相当の覚悟を胸に秘めて挑んだ異例の舞台。それが日本から遠く離れたプエルトリコの地で行われていたウィンターリーグへの参戦だった。

 松坂が在籍したのは、カリブ海に浮かぶプエルトリコの北東海岸に位置するカロリーナを本拠地とする「ヒガンテス・デ・カロリーナ」。岡本和真ら巨人の3選手も武者修行に来ていたチームである。昨年11月下旬、家族がいるアメリカから当地へ渡り、36歳のチャレンジは始まった。

 初登板の舞台は、当地の12月3日(日本時間4日)のクリオーヨス・カグアス戦。先発のマウンドに立ったが、内容は決して良いものではなかった。初回。2死から四球を与えると、4番打者に2ランを食らう立ち上がり。2回には失点こそ与えなかったが、3つの四球を与え、満塁のピンチを招いた。4回まで投げ、被安打は本塁打のみの1安打だったが、6四球。制球に課題を残した。

 変化を見せたのは2度目の登板となった当地13日(日本時間14日)、相手は同じカグアス戦だった。この日の松坂はこれまでのワインドアップから、ノーワインドアップをテスト。すると、前回から一転、制球が安定するようになった。5回を投げ、3安打2四球で1失点。チームが敗れ、黒星がついたものの、好投した。3度目の先発はサン・フアンを本拠地とするサントゥルス戦。4回を投げ、6安打を許したものの、2失点に切り抜けた。内容は着実に良化の兆しを見せていた。

 そして、ウィンターリーグ4度目、当地で最後の先発となったのが28日(日本時間29日)のアグアディージャ戦。ここで、来季への可能性を感じさせる投球を見せる。

■投球スタイルも変化…かつての剛球ではなく多投した球種とは

 初回を三者凡退に切って取ると、その後も凡打の山を築く。6回まで無失点投球。7回に連打を浴びるなどして1点を失ったが、右肩手術後最長となる7イニングを投げ、3安打1失点。課題だった制球も2四球にまとめた。

 最終的にプエルトリコでは4試合に投げ、投球回は20。被安打13、四死球11で防御率2.70だった。初登板時の内容が成績を押し下げているが、カロリーナ側から、プレーオフでの戦力としてチームへの残留を求められたことからも、投球に安定感が出てきている証左であるといえる。

 当地での登板で変化したのはノーワインドアップだけではない。投球スタイルにも変化があった。150キロ超のストレートの剛球で打者を封じてきたが、プエルトリコではツーシームを多投していたという。これまでもツーシームはカットボールとともに松坂の持ち球にはあった。だが、配球の中心はやはりストレート、そしてスライダーだった。

 それがプエルトリコではツーシームを多く織り混ぜ、打たせて取るピッチングを見せたのだ。今季で37歳となる右腕。これまでの真っすぐで押すスタイルからのマイナーチェンジが、復活への足がかりとなるのか。

 3年契約最終年。1月は米国でトレーニングに励み、下旬に日本へと戻るものとみられる。背水の陣に立たされていると言っても過言ではない右腕が、どんな2017年を送るだろうか。