専門誌では読めない雑学コラム木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第288回 ゴルフ会員権は通常、一年を通じていつでもプレーできる「正会員」がメインです。 他にどんな種類があるかというと、平日のみプレー可能な「平日会員権」があり、さらに平日と土曜…

専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第288回

 ゴルフ会員権は通常、一年を通じていつでもプレーできる「正会員」がメインです。

 他にどんな種類があるかというと、平日のみプレー可能な「平日会員権」があり、さらに平日と土曜日にプレーできる、俗に言う「土付き会員権」(土曜プレー可能平日会員権)があります。ひとつのメンバーシップのコースに、それら3タイプの会員権が混在しているというケースが多いです。

 メンバー数は、コースによって全然違います。

 よくあるパターンとして例に挙げられているのは、開業40年の、会員権が200万円程度で売買されている準名門のコースだと、正会員がざっと1500名、土付き会員権が300名、平日会員権が500名って感じでしょうか。

 おおよそ、土付き会員権、平日会員権の価格は安く、正会員の半分程度か、それ以下、というのが多いです。

 そして、土付き会員や平日会員は、日曜日に開催される月例競技や理事長杯、スクラッチ選手権、クラブ選手権といった正式競技には参加できません。

 その代わり、祝日杯、平日杯などの競技には参加できます。平日競技は、以前参加したことがありますが、わりとアットホームで、バックティーよりもレギュラーティーで行なわれることが多く、なかには新ペリア競技もありました。

 あと、家族を呼んでのチーム戦とか、お酒が振舞われる桜花杯みたいな、季節ごとのイベントもあって、なかなか面白いです。

 ここまでが平日会員権のおおまかな概要ですが、ではなぜ、平日会員権が存在して、売買されているのでしょうか。

 簡単に言えば、ほとんどのコースは土日と平日との来場者に差がありすぎて、平日はさほど埋まりません。だから、割安な平日会員権を販売して「平日にもたくさんお客さんを呼ぼう」という考えから"平日権"が生まれたのです。

 ゴルフ場から見れば、平日会員権は当初、お金のなる木でした。正会員とは別に発生する会員権で、仮に土付き会員権の額面が100万円として、500人の会員を集めれば、5億円の収入になりますからね。

 預託金はメンバーの退会時に返還するルールですが、健全な経営をしているコースなら、額面100万円のところを、市場価格では150万円で売買できたりしていました。そうなると、やめる時は皆、会員権市場で高く売りますから、誰も預託金をゴルフ場には請求しません。

 結果、コースもお金を返さなくて済んで、双方ウハウハだったのです。

 ところが、時代が変わってバブルが崩壊すると、ゴルフ場に預託金請求が殺到。コース側の多くが「預託金返還猶予期間10年延長」などの手段を取って逃げたりしたのですが、最終的には「預託金の額面95%カット」などという強硬手段に出て、雀の涙ほどのお金をメンバーに返して終わりにしたのです。すべて時代のせい、と言いたいわけです。

 結局、プレー権だけが残って、売買しても値段がつかない平日会員権が、今でも全国にたくさんあります。それが、現状です。

 だいたい、現在はネット予約が全盛。ビジターでも普通に予約してプレーできる時代となりました。平日会員権を買うメリットは、一段と薄れています。

 では、いまだ売買されている平日会員権はどうなっているのか? そして、誰が買うのでしょうか?

 平日会員権がしっかりと売買されているのは、正会員価格が200万円以上の名門、準名門コースです。つまり、ネットでも平日での予約が取りづらいから、会員権を買う人がいるのです。

 平日会員でもメンバーですから、ステイタスはものすごくあります。だったら、平日に仲間を連れて、気軽にプライベートラウンドを楽しむ分には、平日会員で十分じゃないですか。

 そもそも名門コースの土日は、ビジター料金が3万5000円とかしますからね。プレー代が滅茶苦茶高いです。そうなると、一緒にお付き合いするビジターも平日プレーを望みますから、なおさら平日会員のほうがよかったりします。

 以前、超のつく名門コースに何度か行きましたが、ラウンドするのは真冬の2月と、くそ暑い8月と、相場が決まっていました。というのも、冬と夏はお金持ちのメンバーさんたちは、どこぞのリゾート地へと出かけていて、あまりコースには来ないからです。その間、コース側は割引券を配布。「滅多に来られないビジターさん、遊びに来てくださいね」と、なっているわけですな。

 ゴルフ場は、アクティブメンバーが2割もいれば御の字と言われています。だいたい、月例などの競技参加者は、A組(ハンデ12以上)、B組(ハンデ13以下)に分けて、スタートもアウトとインで分けたとしても、トータル50組(18ホールの場合、約200名)を越えることはないです。

 もしあったら、出場枠満杯ということですが、私がかつて所属していたコースではなかったです。コースに10時前に行って受付しても、競技に参加できました。

 さて、平日会員の話に戻しましょう。

 正会員は週末にふらっとひとりでコースに行っても、メンバーと一緒の組み合わせでラウンドできる気軽さがあります。けど、平日会員の場合はそうはいきません。

 もちろん制度的には、平日にふらっとひとりでコースに来ても問題はありません。でも、肝心な、お相手をしてくれるメンバーがいないのです。

 平日にひとりで来るメンバーは非常に少ないです。そうなると、仕方がないので、どこかの2サムのビジターに組んでもらうことに......。

 すると、そのカップルは「せっかくふたりでラウンドできると思ったのに、変なオジサンが紛れ込んできた」と心の中で文句を言って、迷惑そうな視線を投げかけてきます。

「おいおい、こっちはメンバーだけど」といった顔をしたところで、「あの人、友だちいないのね。可哀相」と同情されたりするんですな。



ひとりでふらっとコースに行ってもプレーできるのがメンバーの醍醐味ですが、平日だと肩身の狭い思いをすることも...。illustration by Hattori Motonobu

 というわけで、平日会員はコースの実情を調べて、自分の用途と照らし合わせて合致するようなら、購入するのはアリです。平日会員になるかどうか、チェックするポイントとしては、以下のような感じでしょうか。

(1)購入予定のコースをネットで調べてみる。平日にネット予約できるようなら、それでいいんじゃないですか。会員になるまでもないでしょう。

(2)『プレミアクラブ』という、年2万円ぐらいの会費で名門コースの予約できる倶楽部があります。そこで、狙っているコースの予約が取れるかどうか、聞いてみるのもありかと。もし予約できれば、その倶楽部に入会するだけで十分かと。

(3)コースのホームページを調べる。最近はコースのウエブ会員になると、予約できる制度があります。調べて損はないですし、それで予約ができるなら、ウエブ会員で十分じゃないですか。

(4)知り合いがいるかを確認。平日はメンバーの紹介でラウンドできますから、そのコースに行って、知り合いがメンバーにいないか、調べてみましょう。もしいれば、メンバーに予約を取ってもらえばいいだけ。会員になるまでもありません。その知り合いに、盆暮れに高級ウイスキーの1本でも送っておけば、常日頃から予約が取れるってものです。

(5)ひとりで行く予定なら、コースに行って、平日にひとりで来るメンバーに聞くのもありです。平日もメンバーで賑わっているなら、会員権を買ってもいいかも。

(6)ひとりで行くなら、ひとり予約システムを使って、そのコースに行けるのかどうかも調べましょう。そのシステムが使えるなら、あえてメンバーになる必要はないですよね。

 大金を叩いて、厳しい審査を通って平日メンバーになったのに、ビジターで溢れかえっていた――そうならないように、購入予定のコースがある場合は、事前にしっかり調べましょう。